週刊トラベルメールマガジン:「メール イカロス No.228」(2002/7/5)
韓国を旅行すると「冷麺」というメニューに出会います。ハングルでは「冷麺」と書いて「ネンミョン」発音します。「冷麺」の本場は北朝鮮の平壌。金大中大統領が平城を訪れてまず名物の「冷麺」を食したのは有名な話です。私も昨年、平壌でしっかり食してまいりました。今年の9月には中国の延辺朝鮮族自治州への旅に同行して、ここでも「冷麺」を必ず食するぞと心に決めております。
東アジア「冷麺」文化圏は、中国・朝鮮半島を含み西日本にまで広がり、その東の最果ての飛び地として盛岡冷麺ががんばっています。
盛岡冷麺は戦後、北朝鮮出身の在日朝鮮人がはじめた「ぴょんぴょん舎」が始まりですが、私の住む関西でも、在日韓国・朝鮮人が多く暮らし、半島の文化を身近に体験できるため、韓国料理店、朝鮮料理店で「冷麺」と注文すると半島風の、例のバトミントンのラケットのネットをそのまま茹でたのではないかと思うほど腰のある麺が登場します。
東アジア「冷麺」文化圏は、中国・朝鮮半島を含み西日本にまで広がり、その東の最果ての飛び地として盛岡冷麺ががんばっています。
盛岡冷麺は戦後、北朝鮮出身の在日朝鮮人がはじめた「ぴょんぴょん舎」が始まりですが、私の住む関西でも、在日韓国・朝鮮人が多く暮らし、半島の文化を身近に体験できるため、韓国料理店、朝鮮料理店で「冷麺」と注文すると半島風の、例のバトミントンのラケットのネットをそのまま茹でたのではないかと思うほど腰のある麺が登場します。
注(2005/11/30):コメント(ノーマターさん)のご指摘で、盛岡最初の冷麺は「食道園」が正しいようです。(参照)
冷麺は韓国料理かと思っていたのだが、主に「北」が本場の食べ物だという。下宿している学生さんいわく、港町の宮古では在日の人が多いですよ、とのこと。岩手県境を越えてお隣の宮城になるが、「嫁に来ないか〜」と歌った新沼謙治が出身の気仙沼でも在日の人が多いという。
もう1つ、岩手の名産といえば「南部せんべい」。南部せんべいといえば「南部藩」、南部藩といえば「靖国神社」。
盛岡タイムス:南部利昭氏が靖国神社に 「大変名誉なこと」と抱負(2004/7/4)
南部家第45代当主の南部利昭さん(68)=東京都=は3日、盛岡市内で記者会見し、靖国神社の宮司に9月12日付で就任すると発表した。同神社宮司はほとんど旧華族出身者が就任しており、南部さんは9代目となる。「大任を全うしなければならないと考えている」と抱負を語った。
会見した南部さんによると、現宮司が9月11日で75歳の定年を迎え、この際、旧華族出身者がなり元に戻してほしいと願い出たという。現宮司は旧華族出身ではなかった。
南部さんが所属する旧華族出身者の社団法人霞会舘(旧華族会館)は同神社に推薦を求められ理事会で南部さんが推薦された。推薦を受け、同神社の宮司推薦会議、総代会が満場一致で内定した。
会見した南部さんによると、現宮司が9月11日で75歳の定年を迎え、この際、旧華族出身者がなり元に戻してほしいと願い出たという。現宮司は旧華族出身ではなかった。
南部さんが所属する旧華族出身者の社団法人霞会舘(旧華族会館)は同神社に推薦を求められ理事会で南部さんが推薦された。推薦を受け、同神社の宮司推薦会議、総代会が満場一致で内定した。
私は靖国問題をあまり追いかけていないので、南部藩の「華族」さまのことを知って、ほ〜ぅと驚いている。靖国神社の宮司は、本来「華族」さまが基本のようだ。
◆毎日新聞:インタビュー記事「靖国神社第9代宮司の南部氏に聞く」(2004/12/29)(ネットソース)
今年9月に靖国神社の第9代宮司に就任した南部利昭氏(69)に現状と課題を聞いた。明治維新で「賊軍」とされた旧盛岡藩・南部家の第45代当主で、広告代理店電通に約23年間勤務したという異色の経歴の持ち主だ。
−−中国が首相の参拝を問題視しています。
◆国のために命をささげた英霊を祭っているのだから、国の代表として首相が参拝するのは当然だ。亡くなった先人に敬意を表すのも人間として当たり前。「内政問題であり、余計なお世話だ」と突っ張ねるべきだ。
−−首相にはいつ参拝してほしいですか。
◆春秋の例大祭に欠かさず参拝してほしい。「不戦の誓い」と説明しているのだから、8月15日にも参拝されたらいい。
−−中国が求めているA級戦犯の分祀(ぶんし)についてどう思いますか。
◆分祀はあり得ない。他の神社で祭神が気に入らないから、替えてくれとは言えないはずだ。東京裁判で連合国がA級、B級などと決めたもので、一緒に日本人が言うことはない。(終戦記念日に行う)全国戦没者追悼式には、いわゆるA級戦犯らを含んでいる。天皇・皇后両陛下、首相も出席するが、誰も文句を言わないではないか。
−−戦没者追悼目的の「国立無宗教施設」構想をどう考えますか。
◆靖国神社が戦没者を祭る日本の中心的神社との考えが定着しており、全くナンセンスだ。若い人に靖国神社というものを教えていかなければならない。「靖国に行くな」とか営業妨害はやめてもらいたい。【聞き手・田所柳子】
−−中国が首相の参拝を問題視しています。
◆国のために命をささげた英霊を祭っているのだから、国の代表として首相が参拝するのは当然だ。亡くなった先人に敬意を表すのも人間として当たり前。「内政問題であり、余計なお世話だ」と突っ張ねるべきだ。
−−首相にはいつ参拝してほしいですか。
◆春秋の例大祭に欠かさず参拝してほしい。「不戦の誓い」と説明しているのだから、8月15日にも参拝されたらいい。
−−中国が求めているA級戦犯の分祀(ぶんし)についてどう思いますか。
◆分祀はあり得ない。他の神社で祭神が気に入らないから、替えてくれとは言えないはずだ。東京裁判で連合国がA級、B級などと決めたもので、一緒に日本人が言うことはない。(終戦記念日に行う)全国戦没者追悼式には、いわゆるA級戦犯らを含んでいる。天皇・皇后両陛下、首相も出席するが、誰も文句を言わないではないか。
−−戦没者追悼目的の「国立無宗教施設」構想をどう考えますか。
◆靖国神社が戦没者を祭る日本の中心的神社との考えが定着しており、全くナンセンスだ。若い人に靖国神社というものを教えていかなければならない。「靖国に行くな」とか営業妨害はやめてもらいたい。【聞き手・田所柳子】
「賊軍」出身なのに宮司を引き受けるとは、なんと心の広い方だろう。毅然とした信念の持ち主で、しかも電通の出身とあっては、話題性にこと欠かない。毎日新聞がどんなに突っ込んでもひるまないとすると、ここで秘密兵器「Norimitsu Onishi」を投入するしかあるまい。
New York Times:(SATURDAY PROFILE) 「Ad Man-Turned-Priest Tackles His Hardest Sales Job」(2005/2/12)有料記事
To that end, it is not surprising that, for the first time in Yasukuni's history, its new chief priest is not only a salaryman but a former advertising man as well. ''I cannot take advantage of my experience on issues such as China's opposition to the prime minister's visit to Yasukuni,'' Mr. Nambu said of his time at Dentsu. ''That is a matter for the country to deal with. But I can help in making efforts to promote awareness among young people.''
【訳】この意味(若者を呼び寄せるという意味)で、靖国史上初のサラリーマンかつ電通マンが宮司になったことは、驚くには至らない。「中国の靖国参拝反対などの問題で、自分の経験を使うことなどあり得ない」と南部氏は電通出身の身の上を語る。「それは国が扱うべきこと。私としては若い人の意識を呼び覚ますお手伝いをしたい」と語る。
【訳】この意味(若者を呼び寄せるという意味)で、靖国史上初のサラリーマンかつ電通マンが宮司になったことは、驚くには至らない。「中国の靖国参拝反対などの問題で、自分の経験を使うことなどあり得ない」と南部氏は電通出身の身の上を語る。「それは国が扱うべきこと。私としては若い人の意識を呼び覚ますお手伝いをしたい」と語る。
最初にこの記事を読んだときは、なかなかいい目のツケドコロだと感心していた。サラリーマンから神官へ。そして、靖国に軍服を着て現れる「保守派」が高齢化する中で、電通のマーケティング手法を生かして、いかに若者を神社に呼び寄せるか・・・。
これは切り口として実にうまい。さすがは New York Times だと感心する。新任の宮司から「若者を惹きつける」ためのさまざまな仕掛けやテクニックを聞き出せれば、最高に面白いだろうと思っていたのだが、なにしろオーニシである。読み進めていくうちに、だんだん面白くなくなっていくのだ。
◆ソース同上
WEEKDAY mornings, a car picks him up at his residence and brings him to the shrine around 9:30 a.m. He changes from a suit to his priest's robe, undergoing purification by pouring water over himself. On weekends, he laments, his new duties often get in the way of his golf game.
平日は宮司の衣装で「ミソギ」の清め祓いを行うが、週末のゴルフがままならなくて可哀想だね、とからかっている。そしてその後は、一番書きたかったであろう靖国神社の解説である。
◆ソース同上
According to the museum at Yasukuni Shrine, Japan waged war against Western powers to liberate Asian countries. It brushes aside Japan's own brutal occupation of Korea and Manchuria and its other aggressive acts against China, like the Rape of Nanking in which 100,000 to 300,000 Chinese were slaughtered.<中略>
After the enshrinement of the 14 in 1978 -- for reasons that have never been explained -- official visits became political minefields that most prime ministers simply avoided. Emperor Akihito has never worshiped at Yasukuni; his father, Emperor Hirohito, paid his last visit in 1975.
After the enshrinement of the 14 in 1978 -- for reasons that have never been explained -- official visits became political minefields that most prime ministers simply avoided. Emperor Akihito has never worshiped at Yasukuni; his father, Emperor Hirohito, paid his last visit in 1975.
文章の構成が、何となく朝日新聞に似ている。いくぶん筆の立つ「天声人語」のような印象を受ける。この記事は「SATURDAY PROFILE」という人物紹介のコラムだが、今話題になっている「時の人」を扱うものだ。
オーニシがこの次に「時の人」として選んだのは、「チョン様」こと鄭香均(チョンヒャンギュン)だった。2005年4月2日の『母国で外国人として生まれて』という記事だ。全般に事実を淡々と書いてあり、気になるところは、以下の記述くらいだった。
New York Times:(SATURDAY PROFILE) 「Born to Be a Foreigner in Her Motherland」(2005/4/2)有料記事
DURING Japan's colonial rule, from 1910 to 1945, some Koreans came here seeking economic opportunities while others were brought as forced laborers.
それにしても、彼女が「日本に来るな」と叫んで66日も経ってから、わざわざ取り上げる理由は何なのだろうか。これは私の邪推だが、毎日新聞の中村イルソン記者が、ほぼ同じ時期に「哀れな国」:都庁国籍任用差別裁判・最高裁大法廷判決が意味するもの(インパクト出版会 2005/4)を出版しているので、日米の(韓カナダの? 韓韓の?)の連係プレイなのかな、と素直に疑ってみたくなるのである。
■つぶやき1:Norimitsu Onishi は2〜3本のエントリに凝縮してまとめようと思ったのだが、なにしろ相手は天下の New York Times である。彼の全記事を読んで、じっくりと攻めることにした。今後のメディア界の「伝説」になるであろうノリミツ・オーニシに敬意を表して、「ヒロさん日記」のカテゴリに「Norimitsu Onishi」を追加しました。
■つぶやき2:まったくの偶然だが「鄭香均」も岩手県出身。鄭香均、南部利昭、東条英機・・・と、いま(ヒロさんの中で)岩手が熱い。(だが、冷麺は寒い、ブルルぅぅ)
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