2006年06月30日

夢分析から始まった、スクワットに賭ける人生

近場の本屋をのぞいてみれば、能力開発、成功哲学、心の癒しなどのコーナーが必ずあるはずである。

速読法、お金持ちになる方法、人間関係の改善・・・など具体的な関心はさまざまだが、「願望達成」「目標達成」で必ずキーになっているのが、「コトバ」「イメージ」「感情」である。とりわけ、「感情」と直結しているのが「体の状態」である。

ひどい肩こりをもっている人、眼精疲労で目がショボショボしている人、腰痛や歯痛で苦しんでいる人に、「ありがたいなぁ、ゆたかだなぁ、しあわせだなぁ〜」としみじみと唱えることを奨めても、コトバばかりが空回りする。「自分は心と裏腹のことを言っている」と感じた瞬間に、いわゆる「よいコトバ」が自分の首を真綿のように絞めてしまうのである。

表現されない深い「感情」は、よく夢の中でメッセージとして現れる。私は1年半のあいだ、ほぼ毎日、パソコンで「夢日記」をつけたことがある。けっこう時間のかかる作業であるが、毎日、枕元にメモ帳を置いて、1〜4個の夢を収穫し、時間をみてパチパチとパソコンに入力する。

ほんとうは見た夢を「絵に描く」ところまでやれば、いろいろ面白いことがわかるのだが、あまりにも時間がかかるので、コトバでまとめることで妥協せざるを得ない。夢には通し番号、タイトルをつけ、夢の内容を詳しく記述し、気づきやコメントがあれば追加する。

パソコンに入力する理由は、夢の「デジャビュ」をチェックするためである。この夢、以前にも同じようなのを見たことがあるなぁ・・・、というときに、検索をかけて、昔の記録を読んでみると、思わぬ発見をすることがある。

私の場合は、こんな経験があった。中学ではバスケットボール部に入っていた。最初は強いチームで、新人戦では全県3位ぐらいまでいったが、最後は地区2回戦で敗退という、悔しい思い出がいっぱいの、青春の1ページである。このバスケットの夢を、大人になってから、何度も何度も見るのだが、いったいどうして見るのかわからなかった。

夢日記を詳細に記録したのは、2003年〜2004年だが、このときも、バスケットボールをプレイする夢は、品を変え、形を変え、何度も何度も見ることになった。最初は「何かが達成できないときの、悔しさ、焦りのメッセージだろうか」と思っていた。が、2004年8月になって、ついにメッセージの「意味」に到達した。

その「意味」とは「運動不足」であった。私は体がなまり始めると、股関節が不調になり、足の冷え性が始まり、肩こりになり、目もしょぼしょぼしてくる。デスクワークや読書に夢中になると、ついつい、体を動かさない日々が続いてしまうのである。こんなときに、必ずといっていいほど、中学時代の「バスケットボール」が夢のメッセージという形で、意識に浮上してくるのであった。

「生活の中で健康づくり」:市民健康づくり相談センター (スポーツ医 出雲谷恭子)
 例えば「運動不足」、食習慣の改善に比べると、運動を始めるのは容易ではありません。でも実は、運動を全然していなくて、タバコや健康状態を悪化させるほどのアルコール・間食をストレス発散にしている人にとって、運動はもっともお勧めのストレス発散法です。運動は、身体的にもさまざまな効用がありますが、むしろ精神的な効果のほうが大きいのです。
 運動やスポーツをした後の気持ちよさを知っている人は、ほかの方法とは比べ物にならないほどの充実感や達成感を理解できるでしょう。特別何かのスポーツをしたり、ジムやプールに行ったりできるような、まとまった時間をつくれない人でも、一日二十−三十分のウオーキングくらいなら、始められないでしょうか? それも難しい人は、歩くときには大またで歩くだけでも、意外と効果があります。
 また、スクワット(立ったままで膝=ひざ=の曲げ伸ばし)を二十回するのに、一分もかかりませんし、歯磨きや家事の最中にかかとの上げ下ろしをすれば、脚の筋肉が鍛えられます。歩いたり、立っているとき、座っているときに下腹に意識を集中し、おなかを引っ込めるだけでも、腹筋を鍛え、ウエストを絞る効果がありますのでぜひお試しください。

毎日ジョギングをするのもいいが、仕事が忙しくなると、なかなか続かない。特に真夏の暑い盛りになると、走る気はなかなか起こらない。そんなときに、このスクワットは重宝している。短いスカートの人にはお奨めできないが、ゆったりとしたスラックスやロングスカートなら、女性にもお奨めである。

こころの旅:「がんばるんば」
腹筋は、目標の100回が達成できました♪
今日は家の中で、腹筋100回、ねじり腿上げ50回、スクワット20回。
我ながら、がんばりましたぁ。。。誰かほめてぇ。。。
人間の身体はコア(おなか周り)を鍛えるのが重要なのだそうです。
身体を動かすと、思考回路がすっきりして、こころもリフレッシュできます☆
来週は、忙しくなければ、週3回がんばってみたいなぁと、
希望的目標です。がんばるんば!!!

1日30分とか、週3回とかになると、私の場合は続かないので、「お茶のお湯を沸かすとき」に必ずやるようにしている。1回あたりのスクワットは、30回ほど。1日5回お茶を飲むと、150回もやることになるので、ちょっとしたジョギング並の効果がある。

霊媒体質、ひきこもり、躁うつ病などで悩んでいる人、最近仕事がうまく行かないという人、とにかく自分を変えたいと頑張っている人、あるいは、本を読む「知的生活」の能率をあげたい人は、「体をコントロールする」ことを日課に入れたほうがよい。

思考の強化因子:「テキストを頭に」
 筋肉を鍛えることで、体や心をコントロールできるという満足感が得られるようで、それが仕事にも役立つという。
 「筋肉が育っていくような感じがおもしろい」 ベンチプレスなどで、重いものが少しずつ上げられたり、動かしたりできるようになる快感がストレス解消になる。
 筋トレは、力が加わったときに筋肉がイメージできていて付加による刺激がもたらす「つらい」とも似た感覚なのに「快感」が存在する。そういった、普通にしていると味わえない感覚がスキなのだ。
 筋トレ楽しいよね。クセになる。やらないと気がすまなくなる。初めはこんなの 持ち上げられないって思っていてもドンドンスムーズになっていく。それが快感になるんですよ。
 運動は継続していくと、快感を起こすホルモン(βエンドルフィン)の分泌が増え、運動する事で爽快感を得られるようになり、ストレスも溜まりにくくなるんです。また運動習慣の無い人に比べ、ある人の方が長生きしやすいんだそうです。
 運動をすると、私たちの脳の中でβエンドルフィンと呼ばれるホルモンの分泌が盛んになります。このホルモンは、快感を起すホルモンとして知られていて、運動中に気持ちよいと感じるのはこのためです。また、運動でからだを鍛えることによって、気持ちが前向きになるという効果もあります。

今日、「体を鍛える」ことを書いているのも、何を隠そう、じじぃばばぁの年齢に近づいてきたからである。いい仕事、新しい出会い、鋭いヒラメキなどは、まず体が生き生きと動いてくれればこそ、の世界である。

算数だより:65.算数と体育@ 〜頭も体も鍛える〜
 先日,いつも体育科授業研修でお世話になっている印西市教育委員会伊東洋樹指導主事が,「体育と算数はつながりが深いのかもしれませんね。」と,新しい視点を示してくださいました。そのような目で思い起こしてみると,算数と体育のつながりが見られる事例がいくつもありました。
@算数科の教科書の導入には,体育科の場面を扱っているものが多くある。
A体育科で重視される時間・距離・回数といったことは,算数で処理できる。
B体育科の球技等の場も図形である。
C女子柔道金メダリスト(最も有名な方)は,筋トレをしながら暗算をしている。
(「相手がこう攻めてきたら,こう返す。」という一瞬の判断力を鍛えるのに効果的なのだそうです。)
  本校の陸上練習でも,時々「計算の答えを言ってからスタートする。」「ペナルティーのスクワットをしながらかけ算九九を言う。」といった工夫をしてくださっています。

「体育と算数はつながりが深い」というのは、シュタイナー教育に通じるものがある。筋トレで暗算している金メダリストとは、ヤワラちゃんのことか?まさか九九をやっているとは思えないので、20×20の掛け算などをやっているのだろうか。

私も、スクワットや腹筋の回数を、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、ヒンディー語で数えることは、よくやっているが、最近飽きてきたので、何か別の「知的トレーニング」を考えることにしよう。

■いきなりスクワットは無理という方は・・・
  • お手つき、スクワット:足腰の筋力を短時間でつける、家の中で出来る体操です!

    ■私ももう少し回数を増やすことにしましょ・・・
    ブランネージュ化粧品 ユキコスメティックス
    少し前にテレビで見たんですけど、女優の「森 光子」さんは 毎日、寝る前に「スクワット」を何と150回もやっているんだそうですよ! 150回・・・・って、本当に凄い!!だからとても80歳には見えないですよねぇ。。。。

    ■若い人たちは、もっともっと志しを高く!
    「Coach Carter(コーチ・カーター)」という、高校のバスケットドラマ。学業には縁のないワルガキどもが、バスケット地区優勝をめざしながら、ついには大学に入り、なかにはMBA(経営学修士)まで取ってしまうという、実話に基づいた感動の物語。DVDで「映画の背景説明」を見てみたが、1999年にカリフォルニア州リッチモンドで起こった、本当の実話である。「限界」に挑戦する心意気がひしひしと伝わってくる。スクワットをするに気になれない人は、まずこの映画をみるべし!みたあとに、まちがいなく、体を鍛えようという気持ちになりますよ!
  • posted by ヒロさん at 23:52 | Comment(3) | TrackBack(0) | 眠り&くつろぎ

    2006年06月28日

    「あなた」好みの暴走族・・・汝、シェークスピアを観るべし

    「シェークスピアは人殺し(1564年)に生まれて、いろいろ(1616年)あって死んだのよ」

    高校2年のときに、留学帰りの同級生がシェークスピアのことを楽しそうに語っていたが、そもそも、そんな古典のどこが面白いんだ〜、16世紀後半の英語を学んでどうするんだ〜、と抵抗していた私である。

    イギリスに来て、シェークスピア専門の「グローブ座」にも行ってみたが、5ポンドの立ち席は疲れ果てるし、値段の張る椅子席でも目の前のドーンと柱があったりする。

    舞台の回りはこんな感じ(写真)
    舞台のヨコの座席に座るとこんな感じ(写真)

    しゃべっている英語はさっぱりわからない。意味を理解しようと頑張っていると、気疲れして、そのうち眠気がさしてくる。日本でいえば、豊臣秀吉のころの英語なので、理解しようと思ったら、やはりお勉強は必須である。

    最近、シェークスピア劇のDVD全集を購入したので、『夏の夜の夢(Midsummer Night's Dream)』の最初の30分を眺めて、基本語を拾ってみる。

  • ere・・・・before
  • erewhile・・・・a while ago
  • erelong・・・・before long
  • hither・・・・here
  • thither・・・・there
  • whither・・・・where
  • betwixt・・・・between
  • for aye・・・・forever
  • for aught・・・・for all
  • forsooth・・・・for sure
  • anon・・・・soon
  • o'er・・・・over
  • oft・・・・often
  • perforce・・・・by force

    「whither」は「whether」かと思ったら、「where(どこ)」のことである。「hither(ここ)」「thither(あそこ)」とセットで覚えるに限る。「ere(前に)」「for aye(ずっーと)」「anon(もうすぐ)」も何十回も出てくるので、必須単語だ。

    その他、現代語と綴りが同じでも、意味が違ったりすることもあるので、マジメに勉強したい人は、The Shakespeare Glossaryを調べることになるだろう。仮に単語が全部わかったとしても、次のような「言葉の弾丸」をかわすべきか、受け止めるべきか、それが問題だ。

    ■■■■■■十■■■■■■  

    『ヘンリー4世』第4幕・第3場:ペトルーキオのセリフ
    O monstrous arrogance! Thou liest, thou thread, thou thimble,
    Thou yard, three-quarters, half-yard, quarter, nail!
    Thou flea, thou nit, thou winter-cricket thou!
    Braved in mine own house with a skein of thread?
    Away, thou rag, thou quantity, thou remnant;
    Or I shall so be-mete thee with thy yard
    As thou shalt think on prating whilst thou livest!
    I tell thee, I, that thou hast marr'd her gown.

    【拙訳】途方もない傲慢のウソツキ野郎!おめーなんぞ、糸くず、糸抜き、三尺、二尺、一尺、一寸の、ノミ、ウジ、冬コオロギ!よくも俺様の家に糸束持って来れたな、出て行け、ボロ切れ、ボロかせ、切れっぱし野郎!生きて無駄口を抜かしている間に、おめーの3尺でおめぇさまを計ってやろうか!妻のガウンをよくも台無しにしてくれやがったな!

    仕立て屋を叱る「罵倒」のシーンだが、シェークスピアはある意味で「言葉の暴走族」である。舞台装置も、照明器具も、背景画も使われていない時代なので、昼夜の場面転換も、周辺風景の説明も、すべて「セリフの中の言葉」が頼りだが、それにも増して、シェークスピアは「饒舌」なのである。

    しかしながら、この「饒舌」で注目すべきは、セリフ1行の「定型的」な長さである。

    弱強五歩格 iambic pentameter
    韻文でもっとも大切な要素はリズムだ。専門的には韻律(meter)と呼ぶ。弱い音、強い音を交互に5回くり返して一行を作る。これを「弱強5歩格」(iambic pentameter)という。シェイクスピアが最も愛用したリズムであり、信じられないかも知れないがシェイクスピア劇のせりふのほとんどがこのリズムで書かれている。

    詩学では、韻律のことを「meter」と呼ぶが、これは長さの「メートル」と同じ単語である。詩の長さを示す単位のようなもので、以下のようなものがある。

  • Iambic・・・・弱強(・●) 例「resolve」
  • Trochaic・・・・強弱(●・) 「forward」
  • Anapestic・・・・弱弱強(・・●) 「re-possese」
  • Dactylic・・・・強弱弱(●・・) 「pulverize」
  • Amphibrachic・・・・弱強弱(・●・) 「re-double」
  • Spondaic・・・・強強(●●) 「no more」

    『ハムレット』の有名な独白は
    “To(・) be(●) or(・) not(●) to(・) be(●), that(・) is(●) the(・) question(●)”
    と読まれる。

    つまり、シェークスピアは「弱強(・●)」を5単位使った詩文形式を多用したということ。(「pentameter」は「5歩格」とも「5詩脚」ともという)

    言語の岸辺で:(4)定形と韻律と
      定形詩は長詩や劇詩の部類では単調さがさけられず、一定の律格(弱強五歩格)に基づきながら脚韻を不規則に用いる無韻詩がうまれた。シェークスピアの劇や、ミルトンの『失楽園』はこれが使われて書かれている。くわえて韻律の要素をもたない散文形式で効果を求める散文詩がつくられる。自由詩も韻律からはなれ、口語のリズムを駆使して自由にして闊達であった。
      これもアメリカの詩人フロスト(1874〜1963)は、「自由詩はネットを使わないでテニスをするようなものだ。韻律の価値はテニスにおけるネットと同じで、それを使ったほうがはるかに楽しい」と定形詩を擁護した。定形は日本以外の国のほうが重んじられているようだ。
      押韻は語頭にあるものをアリタレーション(頭韻)、語尾にあるものをライム(脚韻)、母音だけの押韻、類音の一致をアソナンス(半諧音)というが、西欧のような意識的な詩作はわが国ではごくまれで日本語ではむずかしいとされている。

    脚韻(ライム)なしの5歩格を「無韻詩(Blank Verse)」と呼んでいる。マザーグースの童謡などをのぞいてみれば、ライムの嵐である。シェークスピアの場合は、ライムというある意味で「単調になりがちな型」を破って、リズムオンリーで「5歩格」を徹底的に展開したということだ。

    たぶん、「祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ・・・(平家物語)」という感じの、生き生きとしたリズムに溢れていたのだろう。

    映画『恋におちたシェイクスピア』-- Shakespeare in Love
    1592年にシェイクスピアの先輩の作家、ロバート・グリーンが赤貧洗う失意のどん底で書いた文章が残っている。

    There is an upstart crow, beautified with our feathers, that with his Tygers heart wrapt in a Players hide supposes he is as well able to bombast out a blank verse as the best of you; and, being an absolute Johannes Factotum, is in his own conceit the only Shake-scene in a country.
    それというのも、ここに一羽の成り上がり者の烏がいる。われわれの羽で美しく身を飾り、その虎の心を役者の皮で包んで、諸君の誰にも負けずみごとに無韻詩を、大げさな調子で述べたてることができると思っている。また驚くべき「何でも屋」で、この国の舞台をゆり動かせる【シェイク・シーン】のは自分ひとりだ、とうぬぼれている。(小津次郎他訳)

    ここで「虎の心」と出てくるのは『ヘンリー六世第三部』の中の言葉のもじりであるし、何よりもシェイク・シーンというのはシェイク・スピア(「槍を振るう」という意味の名前)から「舞台を震えさせる」とかけているものでシェイクスピアを揶揄していることは明らかだ。

    大学も出ていない「成り上がり者」のシェークスピアなので、同業者から皮肉や嫉妬の陰口を叩かれたことは、想像に難くない。

    ■■■■■■十■■■■■■  

    もう1つ文法で、必ず押さえておくべきは、2人称の古い形である。

  • thou(主格)、thy(所有格)、thee(目的格)
  • thou art・・・・you art
  • thou hast・・・・you have
  • thou wilt・・・・you will
  • thou shalt・・・・you shall
  • thou canst・・・・you can
  • thou didst・・・・you did

    主語に「thou(ザウ)」を使った場合は、動詞変化は「〜st」が基本形となる。

    慣れるのに時間がかかる「2人称」表現だが、すべて「thou、thy、thee」で統一されているなら、お気楽なのに、「thou」と「you」が混在しているので、やっかいである。

    もともと「thou」は2人称単数で、「you (ye)」が2人称複数を意味していた。しかしシェークスピアの時代のころに、「thou」=「親しい間柄」、「you」=「丁寧で正式な用法」に変化していくのである。フランス語の「tu」「vous」、スペイン語の「tu」「usted」、ドイツ語の「du」「Sie」の違いに相当する。

    『ロミオとジュリエット』や『夏の夜の夢』でも、「thou」と「you」が入り乱れている。2つの「あなた」の使用頻度を調べている論文があるので、これをもとに「あなた」のニュアンスを解明してみたい。(参考:シェイクスピアの作品における二人称代名詞―『ロミオとジュリエット』と『夏の夜の夢』を中心に― pdfファイル)

    まずは『ロミオとジュリエット』で、ジュリエットいるキャピレット家における「親子の会話」である。( )の数字は、使われた回数を示す。

    ★親子の会話
  • 子 → 親・・・・thou(0)/you(24)
  • 親 → 子・・・・thou(29)/you(32)

    子が親を呼ぶときは「you」が基本形で、親が子を呼ぶときは「thou」が基本形である。しかし、親が子に「you」を使うときもあり、このときは、「よそよそしさ」「心理的な距離」「突き放した感じ」などを表している。

    次に、キャピレット家の夫婦の会話は次のようになっている。

    ★夫婦の会話
  • 妻 → 夫・・・・thou(0)/you(17)
  • 夫 → 妻・・・・thou(2)/you(11)

    夫婦の間では「you」が基本形である。妻が夫を呼ぶときは一貫して「you」だが、夫の場合は妻を「子供」のように「thou」で呼びつけるケースもある。

    ご主人様と使用人の上下関係では、どうだろうか。身の回りの世話をやく「乳母」とジュリエットとの関係である。

    ★ジュリエットと乳母の会話
  • J → 乳母・・・・thou(33)/you(5)
  • 乳母 → J・・・・thou(9)/you(50)

    基本形は「上位→下位」は「thou」で呼び、「下位→上位」は「you」で呼ぶ。親子関係のケースに類似する。しかし、家族のように生活していると、場面場面で心は揺れ動くものだ。乳母がジュリエットの結婚を喜ぶシーンでは「thou」が使われる。一方、ジュリエットが乳母に敬意を表すシーンでは「you」も登場する。

    フランス語などをやったことがある人はお分かりだと思うが、「you=あなた」で、「thou=おまえ」と、上下関係で線引きするわけにはいかない。自分に「距離の近い存在」が「thou」なので、神様も「How great thou art(なんとあなたは偉大なお方)」と表現されるわけである。

    この「thou」と「you」の使い分けは、17世紀以降に一気に廃れて、英語圏は「オ〜ンリ〜、ユ〜〜」(Only You)の世界に染まった感がある。神も仏も、先生も旦那も、子供もペットも、み〜んな杓子定規に「you、you、you」と呼びまくっておりますよ(笑)。

    注:ただしキリスト教の世界では、ジェームズ1世時代の「欽定訳聖書」の影響は、いまだに濃厚。クウェーカー教徒ではとくに)

    状況によって、2人称を微妙に使い分ける「人情の機微」「心のひだ」がわからない、とノタマッテいる鈍感な英語のネイティブがおりましたら、
    「汝、シェークスピアを観るべし」
    と、どうか、みなさまからも、ご一喝をお願い致します。

    ■参考:3人称の動詞の使い分けもある
    英語の歴史:シェークスピアの英語
    動詞の三人称単数現在の接辞にも二つあり、 "-(e)th" を付けて maketh のように書かれたり、 "-(e)s" を伴い、 makes と表現する場合があるが、前者は固苦しい場面で、後者はくだけた場面で使い分ける傾向があったようです。

    ■シェークスピアの全文テキストと全文検索
  • The Collected Works of Shakespeare
  • Complete Works of Shakespeare, Biography, Study Guides

    ■関連記事:
  • 「聖母マリア崇拝」と「中世騎士道精神」のシェークスピア

      
  • posted by ヒロさん at 22:10 | Comment(5) | TrackBack(0) | Learning English

    2006年06月26日

    「月収150円」のアフィリエイトを10倍楽しむ方法

    拙ブログの一番上に、なにやら広告のようなものが出ている。私自身、めったにクリックすることはないが、表示されている記事に合わせて、グーグルが適当な広告を引っ張ってくる仕組みだという。

    最近、「聖ジョルジョ」とか「聖ヨハネ」について書いたせいだろうか、「キリスト教信仰研究」というサイトへのお誘いも時々出ている。プロフィールに「イギリス在住」という表示があるので、「イギリスのホテル簡単予約」も顔をのぞかせる。ダ・ヴィンチ・・・と書こうものなら、すかさず「ダ・ヴィンチ・コード特集」が飛んでくる。

    ヒマなので、各記事をクリックして、どんな広告が出るか、遊んでみる。

  • ピース・コーヒー
  • 日本骨髄バンク
  • ロンドン英国欧州現地通訳
  • 完璧な迷惑メール対策
  • 日本盲導犬協会
  • プラン・スポンサーシップ
  • ピースウィンズ・ジャパン
  • ・・・・・・・

    個別記事にマッチした広告はなかなか出ない。「部落解放同盟の記事」をクリックしても、「部落解放同盟中央本部」の宣伝も、『同和利権の真相』の広告も出てこない。広告主が、グーグルのアドワーズ(AdWords)に登録していなければ、もちろん出るはずもないのだが。

    このようなグーグル広告をクリックすると、広告主からチャリンとお金が落ちるのだが、落ちる先はブログ運営会社(=マイぷれす)であって、私には1円もお恵みが回ってこない。しかしながら、各記事の中に「アフィリエイト広告」を自分で仕込むのは自由なので、今年の1月からアマゾンのアフィリエイトを始めてみた。(注:アマゾンでは「アソシエイト」と呼んでいる)

    ★第1四半期(1月〜3月)の収益・・・・733円
    ★第2四半期(4月〜6月)の収益・・・・289円(6月26日現在)

    儲かりまっせ!

    日々是チナヲチ:『業務連絡:「義理ブクマ」について』(2006/6/18)
      事の起こりは以前、当ブログがいくつかの雑誌に紹介されたことによります。親孝行のつもりでそれを送ってやったのがそもそもの誤りでした。アフィリエイト、というのでしょうか。家族にすでにその道に踏み込んでしまった不届き者がいまして、
      「チナヲチぐらい人が集まっているのなら月15万は固いね」(ページビュー1日平均1万前後)
      と、ふと口にしたのです。私は笑い飛ばしました。なるほど私もアマゾンのリンクなどを張っていますが、営利意欲が希薄なためか、毎月1万円はおろか、せいぜいタバコ銭程度にしかなりません。そんな甘いものではないのです。
      ところがその場に父と配偶者が居合わせていて、「月15万は固い」という言葉にピクンと敏感に反応した模様です。ほどなく配偶者の書架に「1日5分で月15万稼げるアフィリエイト」のような本が何冊か出現し、私は嫌な予感に襲われました。

    「日々是チナヲチ」ブログでは、「月15万円」のデマが流れたため、親族や友人が寄ってたかって「ブログにリンクを張らせろ!」と、管理人さんを脅しているという、微笑ましい話。

    しかしながら、世の中には「タバコ銭」以上に稼いでいる、商売上手な方々がたくさんいらっしゃる。

    「真.net」ブログの現四半期収益
    4月1日〜6月20日のデータ
    ・売上・・・・67,183円
    ・紹介料・・・・3,014円

    今日の役に立たない一言(2006/6/20)
    ・測定単位: ページビュー不明
    ・クリック数: 約1200クリック
    ・注文数: 約70点
    ・アマゾンの売り上げ: 約13万円
    ・紹介料: 約5000円

    Life is beautiful: Amazon AffiliateがGoogle AdSenseに勝てる理由
     まずは、このブログでの過去数ヶ月の実データを元に、Amazon Affiliateの結果をまとめると以下のようになる。
    ・測定単位: 10万ページビュー
    ・クリック数: 約2500クリック
    ・注文数: 約150点
    ・アマゾンの売り上げ: 約25万円
    ・紹介料: 約1万5千円
     まあ妥当な数値である。クリック率は約2.5%。クリックから実際の注文へのコンバージョン率は約6%である。この高いコンバージョン率のおかげで、1クリック平均で約100円がアマゾンの売り上げになり、そのうち5〜6円がアフィリエーターに紹介料として還元されるのである。

    最後の方の「数ヶ月」が「3ヵ月」だとすると、上記のデータは、3つとも四半期あたりの紹介料である。10万ページビューで1万5千円を稼ぐというのは、すごい! たぶん「書評ブログ」としての認知度が高いのだろう。

    アマゾンの紹介料は、「リンクの種類」と「売上数」で決定される。(参考:Amazon.co.jp:「パフォーマンスプランでは紹介料はどのように計算されますか?」

    「リンクの種類」というのは、「直接リンク」による売上の場合は「2%」、「イージーリンク」といって、リンクした商品とは別の商品が購入された場合は「1%」。

    例えば、最近リンクを張って遊んでみた『高学歴男性におくる弱腰矯正読本―男の解放と変性意識』の場合は、リンクアドレスが、

    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794804733/hirosan-22/503-5152・・・

    のようになり、「hirosan-22」という「ID」がどこまでもついて回る。ブログの訪問客がこの本を買った場合は「2%」、この本はやめて、前から狙っていたエッチなDVDを買った場合は「1%」の1次手数料がつく。

    これに加えて、売上点数ベースの手数料があり、以下のとおり。

  • 1〜10点・・・・1.00%
  • 11〜100・・・・3.25%
  • 101〜300・・・・3.75%
  • 301〜600・・・・4.50%
  • ・・・・・・
  • 7401〜 ・・・・6.00%

    上限は6%である。上記のブロガーの方々は、売上点数が「70」とか「150」とか言っているので、売上ベースの手数料は「3.25%」または「3.75%」ということになる。

    で、「ヒロさん日記」の1月〜3月の驚異的な売上は以下のとおり。

  • 『破天 一億の魂を掴んだ男』・・・・¥4,000×5.25%=¥210
  • 『野生の哲学 野口晴哉の生命宇宙』・・・・¥1,849×3.24%=¥60
  • 『野口整体 病むことは力』・・・・¥1,800×3.28%=¥59
  • 『たった一人の30年戦争』・・・・¥1,602×3.25%=¥52
  • 『アンベードカルの生涯』・・・・¥1,000×3.30%=¥33
  • 『真実のともし火を消してはならない』・・・・¥1,000×3.30%=¥33
  • 『邪宗門〈上〉』・・・・¥920×3.26%=¥30
  • 『吉備の古代史 王国の盛衰』・・・・¥920×5.22%=¥48
  • 『ごろごろにゃーん』・・・・¥800×3.25%=¥26
  • 『神なき神風 〈特攻〉五十年目の鎮魂』・・・・¥700×5.29%=¥37
  • 『日本を動かした大霊脈』・・・・¥698×5.30%=¥37
  • 『回想の野口晴哉 ちくま文庫(の-7-3)』・・・・¥680×3.24%=¥22
  • 『風邪の効用』・・・・¥350×3.14%=¥11
  • 『青磁のひと』・・・・¥269×5.20%=¥14
  • 『夢に飛ぶ鳥』・・・・¥249×3.21%=¥8
  • 『ブルーファイル』(DVD)・・・・¥1,620×3.27%=¥53

    直接リンクで身に覚えがあるのは、太字にした4点だけである。リンクした覚えがないのに「5.29%」と高い紹介率がついているものは、リンク先に複数の本の表示があって、訪問者がそのうちの1つを買ったということだろう。それ以外は「イージーリンク」といって、まったく無関係なページに飛んで、たとえば「ブルーファイル」というDVDを買ったようなケースだ。

    この四半期の最高額の売上は、インド仏教徒1億人の指導者となった「佐々井秀嶺」を描いている『破天 一億の魂を掴んだ男』で、売上が4000円、紹介料が210円! ありがとうございます。合掌。(参考:『インドで復活する「プロテスタント」仏教の大潮流』

    見ず知らずの方から、200円という大金をもらえることは、人生でめったにない。公衆電話の前で、小銭がなくて困っている人に「10円」を恵んだことある。駅で財布をなくしたという人に、電車代「100円」を差し上げたこともある。その徳が、めぐりめぐって、戻ってきたのかもしれないと思うと、とてもうれしい。

    現四半期は、徳が枯れ果てたのか、280円ぐらいの低迷であるが、つい最近紹介した『高学歴男性におくる弱腰矯正読本―男の解放と変性意識』が、なんと、4冊というベストセラーになっている。拙ブログに来る人が、いかに「高学歴で知的」な人たちが多いかを、如実に物語るデータとなって、感慨無量である。

    今日の話が面白いと思った方は、左のリンクからポチっと、もう1冊どうぞ。いままで騙しやがって、とお怒りの方は、アマゾンのリンクから「hirosan-22」を削除した上で、有意義なお買い物をお楽しみください。

    ■ご参考:「Google AdSense」と「Amazon Associate」の比較
    404 Blog Not Found:「人を制するのは人」
      Amazonは、広告主=出稿社という、直接広告モデルであるのに対し、Googleは広告主!=出稿社という間接広告モデル。Amazon Affiliateはいわば新聞のチラシの延長であるのに対し、Googleは「電通」。どちらが消費者に近いかは言うまでもない。しかも、Amazonの場合、消費者自身に広告を書かせているのである。
      GoogleのAdsenseは、まずページがあって、それをGooglebotが「読んだ」上で、どんな広告を入れるかを決めるのに対し、Amazon Associateの場合、まず「商品」があって、それにあわせて生身の人間がページを書いてくれる。もちろんdrk7.jpのように、「既存ページにあわせて広告を自動挿入」してくれるサービスもあるが、基本は「記事に合わせた広告」ではなく、「広告に合わせた記事」だ。

    しあわせのくつ:「アフィリエイトとAdsenseとどっちがお得?」
      つまりわかりやすく書くと、Amazonアフィリエイトは『Blogger to Amazon to Consumer』で、Google Adsenseは『Blogger to Google to Advertiser to Consumer』なんです。
      ※もちろんブロガーは企業体ではなく個人がほとんどだけれど、ビジネス活動をしているという意味で企業体(Business)と扱います
      こういった『BtoBtoBtoBto・・・C』というビジネスモデルの中で、『to』の部分が取引条件やビジネスモデルになるわけですが、ここを『成果報酬』にしているがAmazonで、『クリック保証』にしているのがGoogleになります。
  • posted by ヒロさん at 05:57 | Comment(2) | TrackBack(0) | ネット生活と読書

    2006年06月23日

    騙される論理、偏向の論理、時代の変化に合わせる論理

    今日は金曜日。ひさびさに本多勝一センセの「噂の真相」・・・じゃなくて、
    「集金金曜日」が話題になっている。

    毎日:『NHK:集金でウソ…「本多勝一さんも受信料払っている」』(2006/6/23)
      NHK沖縄放送局営業部のスタッフが今年1月、受信料集金の際に「NHK受信料拒否の論理」の著書があるジャーナリスト、本多勝一さんの名前を持ち出して「本多さんはもう受信料を払っています」などと虚偽の説明をして、集金しようとしていたことが分かった。NHKは事実関係を認め、本多さんに文書で謝罪した。<中略>
      本多さんは朝日新聞記者だった73年に著書を出版し、支払い拒否を公表した。本多さんが編集委員を務める「週刊金曜日」には数年前から、同様の問い合わせが複数あるという。本多さんは「そういう使われ方をするとは予想していなかったので、驚いた。私は受信料を支払わないとは言っていない。NHKが本当の公共放送であれば払う」と話している。

    江角マキコだって、国民年金を払ってますよ!
    トヨタ自動車だって、消費税を納めてますよ!
    次期首相候補だって、統一協会を絶賛してますよ!
    テレビ局のアナだって、盗撮をやっていますよ!
    新聞社社長の息子だって、麻薬を吸っていますよ!
    (だから、あなたもどうぞ!)

    本多センセによれば、NHKの「H」は「本当」のH。NHKが、N=日本、H=本当、K=公共放送、に生まれ変わるまでは、受信料を払わないという論理である。

    しかし、精神主義的に「本当」を持ち出されても、その中身がよくわからない。本多センセが納得する理想のメディアとは、どんなものだろうか。

    週刊金曜日:風速計(2006/6/16)
      本誌の北村肇編集長も呼びかけ人の1人となっている討論会「共謀罪をぶっつぶせ!」(今月6日夜・文京シビックホール)のうち、第3部の論議(注)を聞きに行った。会場からの発言として、魚住昭氏(ジャーナリスト)から次のような指摘があった。
      「共謀罪に対しては、国会会期中に『東京新聞』が連日のように問題にしてくれた。対照的に『朝日新聞』はミジメだった。新聞の本来の姿は『東京』だった
      これは私も日ごろ感じていることだ。去年8月5日号の「貧困なる精神」で「『朝日新聞』よ!?」と題して書いた中にこんな一文もある――「購読日刊4紙の中で『朝日』は切り抜きが少ない。一般紙では『東京』に多いようです」
      ごく一般の家庭で日刊紙を2紙以上購読している例は少ないので、こうした違いに気づくところも多くはないだろう。今の『朝日』はそんな状況の上でアグラをかいているかに見える。本誌去年11月4日号での日高六郎氏らとの座談会で、私の発言として「全国紙も結局は『満州事変直前』にあると思います。『朝日』なんかまるで『読売』みたいになったしね」とあるが、実は最近の『読売』はむしろ以前の『朝日』に近くなっていると、本社((株)金曜日)のある社員から指摘された。たとえば、去年からの大型企画連載としてほぼ毎週1回ある見開き特集ページ「検証・戦争責任」を見てほしい、と。
      現役を退いて70歳台もなかばになろうとする者に月給の類などなく、購読日刊紙も4紙だけ(『朝日』『毎日』『東京』『赤旗』)だったから、『読売』のこの特集は知らなかった。その最近の例(6月8日朝刊)をファクスしてもらった。
      うーん。これが『読売』か。まるでかつての『朝日』ではないか。OBとしてはなんだか涙が出そうだ。こうした実態を知れば、『読売』から『朝日』にとりかえる読者よりも、その逆の方が多くなるやもしれぬ。
      虚偽メモ事件やら武富士問題やら、今の『朝日』は倫理的にも上から下まで凋落し、それが紙面にも反映しているのではないか。

    どうやら理想のメディアは、朝日を超える「極左」として名声が高い『東京新聞』らしい。せっかく身銭を切って4紙も取っているのに、「偏向なる精神」がお好きなようだ。読売、産経、世界日報あたりも、ネットでも構わないから、たまには覗いてみれば、もう少し「本当のこと」が見えてくると思うのだが。

    そんな本多センセの『週刊金曜日』で、偉いと思うところは、「マスコミ最大のタブー=電通」を取り上げていることだ。で、本多センセで偉くないと思うところは、以下のとおり。

    ウィキペディア:「本多勝一」
      また、『カンボジア革命の一側面』や『中国の旅』などの自著の内容を、特に注記せずに「時代の変化に合わせる」として変更していることを「改竄」として批判する向きもある。
      以下はそのひとつとされる『カンボジア革命の一側面』の「改竄」の一例である。
      「例によってアメリカが宣伝した『共産主義者による大虐殺』などは全くウソだったが(それを受けて宣伝した日本の反動評論家や反動ジャーナリストの姿はもっとこっけいだったが)、しかし末端にはやはり誤りもあったようだ。」 →「アメリカが宣伝した『共産主義者による大虐殺』によって全市民がただちに虐殺されたとも思われぬが、すべては鎖国状態の中にあっては事実そのものが全くわからず、噂や一方的宣伝ばかりでは軽々に論じられない。」
      このような「改竄」を本多勝一が読者に明記せず行なっていることについては、『週刊金曜日』の初代編集長を務めた和多田進や、本多勝一の著作を多数刊行していることで知られるすずさわ書店の経営者・大矢みかも「フェアとはいえない」とあからさまに批判している。

  • 改変前:「例によってアメリカが宣伝した『共産主義者による大虐殺』などは全くウソだったが(それを受けて宣伝した日本の反動評論家や反動ジャーナリストの姿はもっとこっけいだったが)、しかし末端にはやはり誤りもあったようだ。」
  • 改変後:「アメリカが宣伝した『共産主義者による大虐殺』によって全市民がただちに虐殺されたとも思われぬが、すべては鎖国状態の中にあっては事実そのものが全くわからず、噂や一方的宣伝ばかりでは軽々に論じられない。」

    「改定版」でもないのに、断り書きもなしに、このように何百何千と改変していく魔術師である。

    ■関連記事:
  • ヒロさん日記:「渡部昇一 vs 本多勝一」(2005/3/10)
  • mumurブルログ:「週刊金曜日がマンガ嫌韓流を特集 小林よしのりにマンガ嫌韓流を批判させるも、週刊金曜日も批判される」(2006/6/25)
  • posted by ヒロさん at 19:59 | Comment(18) | TrackBack(1) | 報道・メディア論

    2006年06月22日

    グローバルな地理感覚と、放射状のイメージマップ

    日本の都道府県の位置と名称は、中学生の頃に、ほぼマスターしていたような気がする。で、イギリスの州はどうかというと、現在住んでいるサセックス(Sussex)と、北隣のサーリー(Surrey)、北東隣のケント(Kent)以外は、トント関知していない。

    クイズ・ミリオネアで、イギリスの地名を出されると、私はお手上げである。聞いたことのある地名はたくさんあるが、位置関係がまるでイメージできない。これではいけないと思い、最近わが家では、イギリスの州名地図を印刷して壁に張り出している。しかしイギリス全部の州を覚えるとなると、これは大儀だ。どうしましょ?

    情報工学 Passion For The Future:「世界初 地図記憶法―あなたも記憶の天才!」
      この記憶法はとても簡単で誰でもできる。
      円の中に十字を書く。その中心になる地名を決めたら、その上下左右、斜めの線上に、対応する地名を書く。複雑な地図でも、こうすることで、簡単化できる。作図することで記憶にもよく定着する、というもの。
      確かに、曖昧だった関西地方の地理や、アジアの国々の配置が数分で記憶できた。読むだけでは弱いが、実際に作図してみると、ほとんどの人はできるようになるのではないか。歴史を勉強したい人や、地域を回る営業マン、国際関係の教養強化(場所を知っているだけでもだいぶ違う)に役立つ。2,3個覚えれば本代の元はとれるだろう。
      この記憶法あまりに単純なので、やり方を解説する本文は全体の1割もない。残りのページは日本や世界のさまざまな作図練習問題である。最後にわかりやすい地図の書き方指導もついている。

    円を4象限に分割し、中心を決めて作図し、地名も記入していくという「単純な記憶法」らしい。慣れれば頭の中だけでもできそうだが、紙の上に描いたほうが、国や州の「形」も記憶に定着しやすい。連想イメージを使う手もある。例えば、オックスフォードシャー(Oxfordshire)を憶えるときは、「牡牛」「辞書」「オックスフォード大学」のようなイメージを配置する、という感じで。

    古代ギリシャ時代の「記憶術」にも使われているオーソドックスな手法として、「空間にイメージを配置する」という方法がある。

    とっさに10項目の「買い物リスト」を覚えたい場合、頭の中に「時計の文字盤」を思い浮かべて、1時、2時、3時・・・といった場所に、「買うもの」をイメージではめ込んでいく。あるいは、東京の山手線や、大阪の環状線の各駅をすでに知っている人は、その各駅にイメージを連想で埋め込んでいく。

    で、私がこの記憶術を、「10個の買い物リスト」を覚えるために「実戦」で使った経験があるかだが、記憶にない(笑)。項目が4つ以上になると怪しくなるので、必ずメモを取る、あるいはメモを取らせる。紙がなければ、手や腕に書いてしまう。記憶術は、ペンも紙も使えないときの「裏技」ということになるが、普段からある程度練習していないと、「伝家の宝刀」の居合い抜きは難しい。

    25年前のこと、インドの大衆食堂で驚いたことがある。テーブルは50以上はありそうな大きな食堂だ。注文を取っていたのは8〜10才ぐらいの少年だったが、各テーブルで5〜10品目はある注文を、メモなしで、5テーブルぐらいを聞いて回り、たぶん1つの間違いもなく、キッチンに伝えていた。

    日本でも「ラーメン花月」あたりが、これと同じ芸当を売り物にしていたような気がする。注文品がテーブルに並ぶさまを思い浮かべるか、あるいは、注文品と注文した人をなんらかの形でイメージ連結しているのだろう。注文伝票がないので、お金を払うときも、客の顔を見て、暗算で即答するから驚異的である。

    ■■■■■■卍■■■■■■  

    これは私のクセかもしれないが、アイデアをまとめるときも、紙の上に空間的に配置したほうが、考えがまとまりやすい。社会人ホヤホヤのころに読んだ発想法の本がきっかけで、過去20年間、ノートの取り方はこんな感じになっている。

    A4のレポート用紙の中心に「テーマ」を書き、あとは放射状に展開していく。時計の12時から、右回りで書いていくことが多い。枝葉末節な連想は、できるだけ周辺部に記すようにしている。

    「記憶&思考」と「円空間」の関係で気になっているのは、過去の特定の記憶が想起されるときに、「視野内の位置」や「眼球移動方向」がトリガーになっている、という話である。以前、拙ブログにも書いたことがある。

    速読講座2:あなたはどちら系の「斜め上」ですか?(2005/5/26)
      著者(=『Take Off Your Glasses and See』のJacob Liberman 博士)によると、記憶やイメージングには「視野内の位置」があって、眼球運動がそのトリガーとなって記憶を呼び覚ましたり、イメージングを引き出しているのだ、という。<中略>
      シュタイナー系大学では「バイオグラフィー(自分の過去史を振り返る)」の授業があるが、「3才のころの記憶を思い出してください」というセッションを行うと、思い出される記憶が、私の場合は「前方上空」に広がっていくが、ある人は「胸の中(視線では下方)」にあり、別の人は「後頭部(後方)」に感じられるという。

    このテーマもいつかじっくりと研究してみたい。

    最後に「地図に強くなる方法」についてだが、世界地図に強くなるには、平面の地図で遊ぶよりも、地球儀で遊んだほうがよいかもしれない。地球儀といっても、机の上で厳かに回るヤツではなく、蹴ったり、放り投げたり、床に落としたりできる「ビーチボール」タイプがお勧めである。

  • わが家のお奨めタイプ・・・・球形に最も近く、デザインや触感がよい。ただし地図データ(国名)がちょっとだけ古い。
  • 安さで選ぶならこれ・・・・色彩感はいまいちだが、特別価格で1000円以下もあり。
  • テカテカしているタイプ・・・・個人的にはテカテカ反射するのが嫌い。さらに北朝鮮を「北朝鮮民主主義人民共和国」と律儀に記すところが嫌い。
  • 透け透けタイプ・・・・その昔、アメリカの原発がメルトダウンすると、地球の裏側の中国にまで達するという『チャイナ・シンドローム』という映画あったが、アメリカの裏がほんとうに中国かどうか、理解するには最適。だが、色合いが悪い。
  • サンドバッグ型・・・・形がいびつなので、美しくないが、とにかく丈夫で、殴る蹴るを主体に考える人にはお奨め。

    だいたい3才ごろからこのビーチボール地球儀を転がしておけば、子供は50ヵ国ぐらいはすぐ覚えてしまう。わが家では、子供にこのビーチボールを放り投げてキャッチしてもらい、「右手の親指のところにある国(海)はど〜こだ?」みたいに遊んだこともある。

    置き物タイプの地球儀では、以下のようなものもあるので、ご参考に。

  • 目の不自由な方のために・・・・手で凹凸が確認できる。
  • 立体ジグソーパズル・・・・イギリスにも売っているが、あまり地理感覚とは関係ないような。
  • 組み立て式・・・・これはジグソーパズルよりも簡単そうだ。
  • センスのよい透明地球儀・・・・これなら大人用に1つほしい。

    ■追加:マインドマップのわかりやすい解説はこちら
  • 浮遊雲日記:「マインドマップ」(2006/6/22)
  • posted by ヒロさん at 08:45 | Comment(1) | TrackBack(0) | イギリス見聞録
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