DNA「二重らせん構造」の発見でノーベル賞を受賞したイギリスのクリック(Francis Crick)にも、「死後限定公開」の秘密のエピソードが隠されていた。
◆グラハム・ハンコック/エハン・デラヴィ著 『人類の発祥、神々の叡智、文明の創造、すべての起源は「異次元(スーパーナチュラル)」にあった』(徳間書店) p358
彼がDNA分子の「二重らせん構造」を発見したときの状況です。その有名なエピソードは以前からよく広まっていました。クリックとともにノーベル賞を受賞した同僚のワトソンは、ビールを飲み、それでインスピレーションを受けたということです。1日の仕事を終えると2人は、地元ケンブリッジにあるパブ、「イーグル」に立ち寄って、ビールを飲んでいました。ビールからインスピレーションを得て、DNA分子が二重らせん構造であることに気づいたというストーリーです。
しかし真実はクリックの死の8日後に明らかになりました。死ぬ前に打ち明けていたのですが、自分が死ぬ前にそれを公表するのは許さなかったのです。死の8日後になって、クリックにインスピレーションを与えたのはビールではなかったことが判明したのです。1950年代、クリックは強力な幻覚剤を常用していたのです。
クリックは2004年7月28日にこの世を去ったが、その2週間後に「秘密のエピソード」が報道された。
◆Nobel Prize genius Crick was high on LSD (2004/8/8)
FRANCIS CRICK, the Nobel Prize-winning father of modern genetics, was under the influence of LSD when he first deduced the double-helix structure of DNA nearly 50 years ago.・・・・・
この報道を要約すると以下のようになる。
- クリックは作家オルダス・ハクスリー(Aldous Huxley)を愛読していた。LSD体験を書いたハクスリーの『Doors of Perception』や『Heaven and Hell』は60〜70年代にヒッピーの聖典となった。
- クリックは「大麻の合法化」を目指すグループ「ソーマ(Soma)」の設立メンバーとなり、1967年にはTimes紙に麻薬合法化を訴える寄稿も。
- ケンブリッジにある米作家David Solomon宅がサークルの拠点となる。SolomonはLSDの教祖Timothy Leary(ハーバード大心理学教授)の友人。
- このサークルはケンブリッジ大学をはじめ、若手の生化学者を数多く引き寄せる。その中でRichard Kempが低コストのLSD製造法を開発し、Solomonと共にビジネスを開始。
- ウェールズのTregaronに研究所を置き、1973年には250万ポンド相当のLSDを生産。
- 1977年に警察が摘発、関係者が逮捕。
イギリスのウェールズに「世界最大の生産拠点」を置いていたLSDだが、これを最初に発見したのはスイス化学者アルベルト・ホフマンで、1938年のことだ。彼は100歳を超えて今なお健在である。2006年1月13〜15日に、彼の100歳の誕生日を記念する『LSD:問題児にして驚異の薬』という国際シンポジウムがスイスのバーゼルで開かれている。
◆LSDを学問的に論じる国際シンポジウム(下)
シンポジウムのある討論会では、初期のコンピューター開発の先駆者たちがどのようにLSDを使ってひらめきを得ていたかが話題となった。例えば、マウスを発明したダグラス・エンゲルバート氏や、米アンペックス社の元技術者で今回のシンポジウムにも参加しているLSD研究者のマイロン・ストラロフ氏、米アップルコンピュータ社の共同創立者であるスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)などの人々だ。『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者、ジョン・マーコフ氏は2005年の著書『眠りネズミが言ったこと』(What the Dormouse Said)の中で、ジョブズCEOが自身のLSD体験を「人生で実行したとりわけ重要な2つか3つの事柄のうちの1つ」と評した言葉を引用している。
パソコンの「マウス」の発明はLSDのおかげで、さらにアップルコンピュータの「マック」もLSDの産物かもしれない。発見者のホフマンは100歳の長寿だが、もしかしたらLSDは長寿の妙薬?
音楽界での使用は凄まじい。万が一、麻薬アーティストの作品を発禁処分にする法律ができたとしたら、ビートルズ、ローリング・ストーン、ピンク・フロイド、ボブ・ディラン・・・など、過去の作品はボコボコでしょう。
◆LSDを学問的に論じる国際シンポジウム(上)
LSD(リゼルギン(リゼルグ)酸ジエチルアミド)――麦角菌が生成する麦角アルカロイドから発見されたリゼルギン酸の合成物――は、1960年代の半ばから世界各国で使用が禁止されているが、現在も何かと物議を醸している。ドラッグ使用に反対するサイエントロジー教会の分派は14日、シンポジウム会場近くにピケを張った。<中略>
1950年代から1960年代にかけて、LSDは精神医学や精神療法の領域で有望なツールとなりうることがわかり、米国の中央情報局(CIA)は強力な自白薬として研究した。だが、実験室から流出したLSDが若者文化によって広く信奉されるようになると、その所持や使用は処罰の対象になった。
トム・クルーズが信奉するサイエントロジーは、「ドラッグ反対」をアピールしたいようだ。LSDは「リゼルギン酸ジエチルアミド(Lysergic acid diethylamide)」だが、略語の元はドイツ語の「Lysergsaure-diethylamid」である。
私は、CIAとMI6が世界中で大規模な麻薬取引に関わっていると考えているが、大衆には質の悪いクスリをばら撒き、財閥の息のかかった研究者たちには良質のLSDを配布しているのではないか、と想像している。
◆ソース同上
ホフマン博士によると、LSDはこれまで数え切れないほどの人々が摂取してきたが、そのうちの一部の人が、まがいもののLSDを摂取してバッドトリップを経験したのだという。博士は、現代に「エレウシス」を蘇えらせることを望んでいる。エレウシスとは、古代ギリシャの地名で、紀元前1500年から2000年間にわたって秘密の儀式が行なわれていた場所だ。今回のLSDシンポジウムで、神話学者のカール・P・ラック氏と化学者のピーター・ウェブスター氏は、この「エレウシスの密儀」で使われたキケオンという飲料の有効成分が麦角製剤だったと示唆する研究を発表した。
『エレウシスへの道』(The Road To Eleusis)という著書があるラック氏は「ホフマン博士は、LSDという化学物質を合成したとき、4000年前の秘密も偶然発見していたのだ」と語った。
ホフマン博士は、1958年にはメキシコの幻覚キノコの一種(psilocybe mexicana)からシロシビン(サイロシビン)とサイロシンという向精神物質を初めて抽出した。世界では、恍惚とした霊的体験に導く目的で、さまざまな植物が使われ、神聖視されているが、この幻覚キノコもその一種だ。
米国の連邦最高裁判所は現在、宗教団体『ウニアン・ド・ベジェタル』(UDV)のニューメキシコ支部による上告を審理している。UDVは、米国の法律で禁止されている植物、アヤワスカから作った飲み物を儀式に使っており、意識を変容させる宗教儀式の先例としてエレウシスの密儀を引き合いに出している。
アヤワスカは中南米では禁止されていない。アヤワスカを飲んだ場合、変性意識状態で「巨大な蛇」に出会うという。
◆上述:グラハム・ハンコック『異次元(スーパーナチュラル)』(徳間書店) p354
世界中で異なる文化背景をもつ100人を集めても、アヤワスカを飲むと変性意識状態で知的で巨大な蛇に会います。この普遍的な体験はどのように説明されるべきなのでしょうか? あるいは私たちの脳内には、蛇のイメージを発生させるある種のモジュールがあるのでしょうか。進化や従来の科学的モデルではとても説明できません。
アヤワスカは、DMT(ジメチルトリプタミン)を含む植物と、MAO(モノアミン酸化酵素)阻害剤を含む植物の混合エキスである。これを摂取すると、例外なく「知的生命体としての大蛇」に出会うというのだが、そのメカニズムはいかに?
グラハム・ハンコックらは、アヤワスカで「大蛇」に出会うとすれば、LSDを使って垣間見た「二重らせん」もヘビの変形ではないかと推理している。不思議なことに、ヨガの世界では、仙骨にクンダリーニというヘビが眠り、覚醒すると脊髄をらせん状に上っていくという。
■参考: