2007年06月23日

シュタイナーの逆転の発想:因果律と主体意識を見直す

今日1日を振り返るとき、ほとんどの人は朝起きてから寝るまでの「順行」で想起する。シュタイナーは時間の流れを「逆向き」にして振り返るように勧めている。英語では「backward review」と呼んでいるが、日本語では仮に「逆向きレビュー」としておこう。

催眠では逆向きに遡る「退行催眠」と呼ばれるものがあり、ここから母体回帰や前世療法を連想する人もいる。が、シュタイナーが「逆向き」を勧める理由は、人が死んでから後に経験するという、壮大な「反省セッション」に備えてほしいからだという。

この反省プログラムには、以下の2つの特徴がある。

  • 因果の逆転・・・・時間の流れを逆転させて、人生の詳細を振り返る
  • 主体と客体の逆転・・・・自分と関わったあらゆる人の視点から「私」の人生を振り返る

    人生で人を傷つけた場面があるとする。反省セッションでは、傷つけられた人の意識(視点)でこの場面をありありと思い出す。しかもアンプ(増幅器)がついているので、自分が傷つけた相手の痛みは、数倍になって感じられるという。

    この反省パノラマショーは、人生の3分の1の時間(シュタイナーによれば睡眠時間の総計)を掛けるということなので、60年生きた人は、約20年間、延々と「私という名の人生劇場」を何千・何万というオムニバス形式で鑑賞することになる。

    「人の気持ちをわかりなさい」という道徳譚や、「相手の立場に立って考えよ」というビジネス訓話にもつながる逆転の発想だが、今日1日を振り返るときに、自分とつながっているネットワークを感じながら、主に「相手から私への流れ」を強く意識してみるのも悪くないかもしれない。

    逆向きレビューというと、歩く姿も「逆向きに歩いている私」を思い浮かべるのか、とマニアックに考える人もいる。ビデオの巻き戻しのような映像までイメージできる方は、どうぞご自由に。

    今日の話に少し関係あるビデオを2本用意したので、以下、お楽しみあれ。


    僕の彼女が怒った理由(2分)

    Women in Art(3分)

    ■人生で出会ったすべての女性を振り返りたい人のために・・・
  • 「Women In Art」の静止画一覧

  • posted by ヒロさん at 18:33 | Comment(3) | TrackBack(0) | イメージ創生力

    2007年06月21日

    食物連鎖の形態学:ヤドリギの王権神授パワーを戴き!

    ナポレオン・ヒルは「人間とは考えていることがすべてだ」と言った。一方、近所の自然食品店のオバサンは「人間とは食べているものがすべてだ」と言いながら、これも買え、あれも買えという。

    食べた物の「気質」が体内に宿り、その人の人生をかたどっていく、ということだ。シュタイナーのアントロポゾフィー医学に言わせると、同じ糖分を摂るにしても「サトウキビ・ハチミツ・甜菜」はそれぞれ「茎・花・根」から取れるものなので、それぞれに対応する体の局部に影響を与えるという。

    日本人が柔和(優柔不断?)なのは、海産物の摂取量が多いからだという説もある。貝のように口を閉ざし、昆布のように状況になびき、マグロのように横たわる・・・。韓国人の気性が激しいのは、牛肉(牛骨)・ニンニク・トウガラシが原因だという人もいるが、確かに思い当たるフシはある。

    子供の本棚から抜きとって読んでみた『ぽっぺん先生と帰らずの沼』も食べ物の話、とりわけ食物連鎖の話だった。このストーリーはとても変り種で、食べられた方の意識が食べたほうに乗り移っていく。主人公のカゲロウが魚に食べられて、ああ、もうおしまいだ、と思いきや、自分が魚になっている。

    この魚がトリに食べられるとトリが「私」になり、このトリがイタチに食われるとイタチが「私」になってしまう。つまり食物連鎖による輪廻転生、生まれ変わりだ。そのうちに人間になりたいという欲が出て、どうやったら人間に食べてもらえるものか、あれこれ策を巡らせるいう設定になっている。

    ◆舟崎克彦『ぽっぺん先生と帰らずの沼』(岩波少年文庫)p143
    「ああ。なんて孤独なんだ・・・」 先生はためいきをつくと、やがてめざすケヤキのいちばん高いこずれにゆれているヤドリ木にたどりつきました。この、どこへいってもいやされない孤独な心がけっきょくゆきつくところは、どの鳥からもきらわれる悪魔の木よりほかにないのです。

    トリになった主人公がヤドリギを目指す場面だ。ヤドリギは寄生植物なので、廂(ひさし)を貸すくらいならいいが、母屋を乗っ取るような輩がいると、「悪魔の木」として嫌われる。特にリンゴについたりすると、農家の人にいやがられる。

    どの鳥にも嫌われるというのはウソで、ヤドリギの英語名「mistletoe」は「mistle thrush(ツグミの一種)+枝(toe)」から来ている。ツグミがヤドリギの実をせっせと食べて、ほかの木の上でトイレ休憩をすると子種が枝に付着する仕掛けになっている。

    欧州ではヤドリギは縁起物だ。キリスト教以前の古代ケルトにドルイド教があり、カシ(オーク)の巨木を神樹として崇めていた。ヤドリギは樫の木にはめったにつかないが、たまにつくことがあると、神様についた「聖なる存在」として珍重された。

    フィールドワークを全くしない文化人類学者として有名なフレーザーは『金枝篇(Golden Bough)』を著したが、この「金の枝」とはヤドリギのことだ。ヤドリギは刈り取ってからしばらくすると「金色」に変わるものがあり、この名称がつけられたという。クリスマスの飾りとしてもよく使われる。


    イギリスの浪漫派の画家ターナーが描いた『金枝』。私が好きな絵の1つだ。ギリシャ神話のいち場面を描いたもので、左下の女性が掲げているのがヤドリギである。

    北欧神話ではこのヤドリギが「神の魂」として表現されている。神樹(カシの巨木)についたヤドリギは単なる「聖なるもの」ではなく、「神の本体」「神力の中心」と見なされていた。

    古文献の一節に、司祭殺しの儀式でヤドリギが使われたという話がある。「司祭殺し」とは、シャーマンが老害を発する前に死んでもらい、その魂(神のパワー)をピチピチとした肉体をもった次の後継者に移すという儀式だ。後継者は前任者を殺す前に、ヤドリギを折り、その神魂パワーを増幅させた上で「神の代行者」となった。

    ヤドリギは地に根を生やさないので「地のもの」ではない。かといって空に飛翔する「天のもの」でもない。シュタイナー医学では、地のエネルギー(アーリマン)と天のエネルギー(ルシファー)の均衡のとれた存在としてヤドリギに注目している。このヤドリギの抽出成分を使った『イスカドール』という医薬品もある。

    ここでも気質や形態のアナロジーがあり、乳がんの女性にはリンゴのヤドリギの成分を使い、丈夫な体格を持ちながら内臓の弱っている男性にはカシのヤドリギを使ったりするという。

    フレーザー著『図説 金枝篇』(東京書籍)は、ヤドリギの採集の時期について、次のように説明している。(第9章:p370)
    • ヤドリギも、シダの種と同じように、聖ヨハネの祝日かクリスマスに−つまり、夏至か冬至に−採取され・・・
    • スエーデンの人々は夏至祭の前夜にヤドリギで、宝探しのための占い杖をつくる
    • ウェールズでも聖ヨハネの祝日の前夜に採取したヤドリギの小枝を枕の下に入れて寝ると、未来を占う夢を見るとされている
    ということで、私も夏至にそなえてヤドリギを探しに行ってきます。枕の下において、いい夢を見たいので・・・。

    ■注意:
    巨木のカシのヤドリギで一攫千金のパワーを狙うのは大いに結構だが、カシの枝はポキッと折れやすいので要注意。神の代行者としてのパワーを顕現する前に、あの世に召されてしまうことがありませぬよう。

    posted by ヒロさん at 05:37 | Comment(14) | TrackBack(0) | シュタイナー

    2007年06月16日

    慰安婦問題で6月14日付ワシントンポストに反論広告!

    詳細は、西村幸祐・酔夢ing Voice を参照のこと。



    慰安婦問題で英語による議論に興味のある方は、以下のビデオがお勧め。字幕つき。


    http://www.youtube.com/watch?v=Z9VFiNPe4do (13分)
    posted by ヒロさん at 14:21 | Comment(2) | TrackBack(2) | 報道・メディア論

    2007年06月15日

    「イスラエルは地図から抹消されるべき」というプロパガンダ報道

    イラン大統領の過激発言を憶えておられるだろうか。

    IDCJ/最近の中東情勢から(2005年10月28日)
     イランのアフマディネジャド大統領が2005年10月26日、テヘランで開かれた「シオニズムなき世界」と題する集会で「イスラエルは地図から抹消されるべきだ」と演説したことが、世界各国から批判されている。同日の集会には主として学生からなる3000人の聴衆が参加していた。

    佐藤優も2007年4月の「毎日21世紀フォーラム第61回例会」(大阪市天王寺)で「イスラエルは地図から抹消」の話を取り上げ、「心理分析によると、(イラン大統領は)言っていることを本当に信じている」とつけ加えている。この話は世界中で広まっていて、日本でもGoogleで「アフマディネジャド イスラエル 地図 抹消」を検索するとたくさんヒットする。

    アフマディネジャド大統領はさらに「ホロコーストは作り話」と発言したという。私がイスラエルの友人にこの話を伝えると「奴に本当のことが何がわかるんだ!」と立腹していた。

    しかし、どちらも言葉のギャップを利用した歪曲であり、プロパガンダだ。真相はこうだ。

    Does Iran's President Want Israel Wiped Of The Map - Does He Deny The Holocaust?
    The term 'map' to which the media refer at length does not even appear. Whereas the 'New York Times' said: "Our dear Imam said that the occupying regime must be wiped off the map" the version by MEMRI is: "Imam [Khomeini] said: This regime that is occupying Qods [Jerusalem] must be eliminated from the pages of history."

    アフマディネジャドはホメイニ師の言葉を引用し、「エルサレムを占拠している体制は歴史のページから削除されなければならない」と言った。「歴史のページ」であって「地図」ではない。削除されるべきは「シオニスト政体」であって、「イスラエルという国家」ではない、ということだ。

    もちろんイスラエル右派政権からすれば、「シオニスト政権の排除」=「イスラエルを武力で滅亡させる」と考えるのは当然のことではあるが、ともあれ、この誤訳の犯人はニューヨークタイムズなどだった。

    さらに「パレスチナでの攻撃の波がイスラエルをイスラム世界から消し去る」という発言があったとされているが、これも「パレスチナの波(=運動)が、汚点をイスラム世界から消し去る」が正しいという。攻撃を意味する「assault」という単語は翻訳で付け足されたものだった。

    1ヵ月半後に別の演説で言及したという「ホロコーストは作り話」はどうだったのか。

    ◆朝日:「大虐殺は作り話」 発言エスカレート(2005/12/15)
     イランのアフマディネジャド大統領は14日、南東部シスタンバルチスタン州の州都ザヘダンで演説し、「ユダヤ人大虐殺(ホロコースト)は作り話だ」と述べた。国営テレビが実況中継した。同大統領の一連の反イスラエル発言はエスカレートしており、イスラエルや欧州各国から激しい怒りの声が起こっている。(ネットソース)

    この発言の全体の文脈がわかるように、「れんだいこ」サイトから要約を引用したい。

    「いくつかのヨーロッパ諸国は、ヒトラーが無実のユダヤ人数百万人を焼却炉で虐殺したと主張している。そして彼らは、もし誰かが何がしか反対の見解を論証しようとしたら、そういう人たちを非難し、監獄にぶち込んでいる。我々は、彼らの主張を認めないのだけれど、それが真実だと仮定した場合でさえ、我々は連中に次のように質問してみたい。ヒトラーによって無実のユダヤ人が殺されたとして、そのことが、ユダヤ人のエルサレム占領を支持する理由になるのか。もし、君たちが自分たちの論に正直であるなら、罪滅ぼしでヨーロッパの田舎のどこぞの地域をシオニストどもに与えるべきではないのか。例えば、ドイツ、オーストリア、その他のシオニストどもは、ヨーロッパにこそ彼らの国家を樹立すべきだ。君たちはヨーロッパの一部を提供することを申し出よ。そしたら我々はそれを支持しよう」(ソース:れんだいこ)

    アフマディネジャドが「数百万人の虐殺」に疑問を呈しているのはまちがいないだろうが、ドイツの通信社DPAは、元発言の「ホロコーストの名の下に神話を作り上げた」を「ホロコーストは作り話だ(神話だ)」に歪曲している。

    Does Iran's President Want Israel Wiped Of The Map - Does He Deny The Holocaust?
    There again we find the quotation already rendered by n24: "In the name of the Holocaust they created a myth." We can see that this is completely different from what is published by e.g. the DPA - the massacre against the Jews is a fairy-tale.

    ドイツの通信社DPAがこれを報じたのは2005年12月14日だが、これはデンマークのユランズ・ポステン紙(Jyllands-Posten)が風刺画でイスラム圏を挑発した2005年9月からの流れとして捉える必要があるだろう。

    慰安婦論争でも安倍首相の発言が正しく英語に翻訳されているか、という問題もあった。翻訳された英語ソースには、もっと慎重に取り組みたい。イスラエルの友人にも「翻訳に歪曲があった」ことをこれから説明するつもりだ。

    posted by ヒロさん at 19:42 | Comment(16) | TrackBack(0) | 報道・メディア論

    2007年06月14日

    「7/7テロ」の偽装トリック、有効期限切れが迫る!

    ロンドン「7/7テロ」からもうじき2年を迎えようとしている。この事件がテロ演習を隠れ蓑にした自作自演であることが徐々にバレ始めている。

    事件を簡単に復習しよう。リーズ(Leeds)を拠点とする4人のイスラム過激派が、七夕の日の朝、ルートン(Luton)から列車に乗り、ロンドンのキングスクロス(King's Cross)で下車。そこから別々の地下鉄に乗って、ほぼ同時に自爆テロを実行。ところが、1人が乗ろうとした地下鉄は運行がなく、彼は地上に出てフラフラしたあとにバスに乗車。このバスがタヴィストック広場(Tavistock Square)を通過したところで爆弾のスイッチを押し、1時間遅れで仲間の後を追った・・・というお話だ。

    右は7時21分にルートン駅入口で監視カメラが捉えた映像だ。ロンドンに山ほど監視カメラが設置されているにもかかわらず、地下鉄を爆破した3人の映像はこのルートンのスチル映像のみ。この映像も合成ではないかと疑われている。(例:London was attacked by a faceless coward !

    さらに、犯人が乗ったとされる7時40分発の列車は、当日キャンセルされていることが判明。爆破した地下鉄に乗り込むのは不可能と主張するサイトもある。(ソースはこちら

    ロンドンで撮られた映像は、4人目の犯人のスチル映像しかない。この犯人が乗ったという「ルート30番」はユーストン(Euston)からキングスクロス(King's Cross)方面に向かうバスだが、このバスに乗っていた目撃者がインターネットサイトを立ち上げ、公式発表のウソを告発している。また、アレックス・ジョーンズとのインタビューで詳細を報告している。

    このバスはキングスクロスに向けて大通りをまっすぐ走っていたのに、なぜタヴィストック方面に右に曲がったのか、以前から謎になっていた。2階建てバスの1階の中央ドア付近に立っていた目撃者のタイムラインは以下の通りだ。

  • 9:40・・・・大通りを走っていたバスが停止、前方には黒いBMWが止まり、さらにもう1台のネイビーブルーのBMWが進路をふさぐように止まっていた。
  • 9:43・・・・サイレンと共に白バイが現れ、BMWの1台のドライバーと会話。ドライバーはIDカードのようなものを手にしており、白バイはすぐに走り去る。
  • 9:45・・・・BMWの誘導でバスは右に曲がり、Upper Woburn Place通りへ。バスはタヴィストック広場のコーナーで止まり、行き先が違うことがわかった多数の乗客がバスから下車。
  • 9:46・・・・ドライバーが道行く人に大声で道を尋ねる。
  • 9:47・・・・バス後部が爆発、13人が死亡。

    彼の証言によると、バスの中でアジア系でリュックを背負った人物は1人も見ていないという。このバスは公安当局の要請で路線変更という「演習」に参加させられたことになる。タヴィストック広場の近くでは偽証人・救出作業班・撮影クルーなどが待ち構えていたのだろう。ちなみに、当日のロンドンではまったく同じ時間帯に「地下鉄爆弾テロの演習」が行われている。

    この偽装テロ事件はロンドンのイスラム教徒たちが積極的に真相究明に乗り出している。この事件の警察発表は911テロよりもさらに証拠に乏しい。以下のビデオの最初の10分間をご覧あれ。


    Ludicrous Diversion - 7/7 London Bombings Documentary (28分)

  • posted by ヒロさん at 00:08 | Comment(8) | TrackBack(0) | 国際政治/謀略
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