パパ ― Look, Chihiro, there is your new school. It looks great, doesn't it?
ママ ― It doesn't look so bad.
千尋 ― It's gonna stink. I liked my old school.
車の中で交わされる冒頭の会話だが、「stinkって何ですか」という質問が入ったので「これはsmellと同じで臭うって意味ですけどね・・・」と説明しようとすると、別の生徒から「stinkっていうのは子供が使う用語で、『しょぼい』みたいな意味のはず」といきなり先取り解説が入った。私は「no good」程度で説明するつもりだったが、いきなり「しょぼい」と来たか。帰国子女の多いクラスは恐るべし。
英語の最良の勉強法は、自分の大好きな映画またはドラマを英語と日本語で交互に見るに尽きる。2時間の映画の場合、アクションシーンが多いと会話を聞き取る練習としては効率が悪い。そこでお勧めできるのは、20〜25分ものの連続ドラマだ。

ドラマのシーズン1を「Gyao」(映画・ドラマの無料視聴サイト)で見たあとに、YouTubeにころがっていた全シリーズをゲットした。
最近は便利になったもので、ほとんどすべてのスクリプト(台本)をネットでチェックすることができる。例えば、ドラマの中で「(彼を)じらしてるのよ」という字幕が入ったが、英語で聞き取れなかった。「じらす」は「play hard to get」がよく使われるが、もっと短い“何か”だった。
そこで Sex and the City Transcripts というサイトで調べると、「I'm a trailer」の訳と判明。映画の予告編の意味でよく使われる単語だが、本番は見てのお楽しみというわけだ。このサイトはオーディオも完備していおり、ドラマを1本見た後に、ここで音声だけを流しながら、スクリプト全文を目で追いながら復習することもできる。
こういった総ざらいの“復習”は、20分番組でこそできる芸当だ。40分ものになると、時間がかかりすぎて少々厳しい。2時間映画では、よっぽど暇でない限り不可能だ。
日本語吹き替え版のあるDVDを買えば、日本語の会話や英語の字幕も楽しむことができる。「Our smugness is a little premature.(得意になったつもりが、少々早計だった)」の部分が、「詰めが甘かった」という簡潔な名訳になっていたりと、感心することしきり。
『Sex and the City』は、コラムニスト、画廊アーティスト、弁護士、PR会社社長という30代半ばの女性4人が繰り広げる下ネタコメディ。ウィットと皮肉の会話が満載で、バブル崩壊前のニューヨークのさまざまな実写シーンを楽しむことができる。友人と見る場合は同性同士で見た方が無難かも。
下ネタをもっとカムフラージュしたい人は『Friends』がいいかもしれない。これは10年間続いた人気のシットコム(sitcom=situation comedy)で、観客を模した合成の笑い声が入る。以前『Full House』を購入したときに、この笑い声が馴染めずにシットコムはボツだったのだが、『フレンズ』には私の好きなジェニファー・アニストン(Jeniffer Aniston)が出演しており、見ている間に気にならなくなった。
思えば、マイケル・J・フォックスの『Family Ties』もシットコムだったが、マイケルのことが大好きだったので合成の笑い声は気にならなかった。『Family Ties』もすでにDVD化されている。
もう1つの私のお薦めは『Gilmore Girls』。主人公に扮するローレン・グラハム(Lauren Graham)が弾丸のようにしゃべりまくり、暴力的なシーンは皆無なので、ほのぼのと楽しめる。7シーズン続いた母娘のドラマだが、日本語化はこれからだ。