彼のほとんどすべての著作にジョギングや速足ウォーキングの効用が書かれている。佐藤富雄はビタミンEによる若返りの研究に参加したときに、同僚の研究者に走ることも奨められ、40歳頃から毎日ジョギングをするようになった。さらに50近くになってからスキーを始め、スキー学校から上級者の認定まで受けている。
『美肌のチカラ』という本は以前の私ならば、決してマジメに取り合うことがなかったであろうエステ本に見える。が、この本の見どころは、ジョギングなどの有酸素運動がどのようなメカニズムでアンチエイジングの効果をもたらすのか、科学的に説明しているところにある。
ジョギングや速足ウォーキングの効用が、筋肉を鍛えるとか、汗をかいて毒素を出すとか、血液の循環をよくするとか、その程度の話だったとしたならば、中学生以来、継続的な運動などしたことのない今年50歳になる私が、いきなり走り出すわけがない。
ジョギングの第一目的は、大腿筋からある成長ホルモン(サイトカイン)を分泌させることにある。本書によれば、心拍数を徐々に上げて100〜120ぐらいになったときに、このホルモンが急激に分泌され始めるという。家事をしたり、ゆっくり歩く程度では分泌されない。要は最低限うっすらと汗をかく程度に、15〜20分程度連続で大腿筋を動かす有酸素運動をやるべし、ということだ。
この若返りホルモンについて、本書では「サイトカイン10」と書いているが、彼の別の本では「サイトキシン10」と書いてあり、正体がはっきりしない。医学博士の肩書きがつく人の“健康本”は、99%が出版社企画によるゴーストライター本であることは業界の常識なので、あまりめくじらを立てずに、サラリと流したい。
私はミオトニン(またはミオカイン)関連のサイトカインかと今のところ想像している。
◆ITmedia エンタープライズ:貯筋をしよう―筋年齢の評価―(2009/10/24)
●筋力が強くなると若返る
筋肉を保つとほかの部位の若さ度や老化危険因子にさまざまな良い効果をもたらします。運動時に筋肉から放出される乳酸やアデノシンニリン酸(ADP)などの疲労物質は、脳にある下垂体という器官を刺激して、成長ホルモン分泌を促します。これは若さと健康を保つ大切なホルモンであり、ホルモン年齢の若返りをもたらします。筋肉から分泌される血管増生因子(ミオトニン)は血管年齢の若返りに作用します。骨や関節は筋肉によって守られているので、転んでも骨折しにくい身体になります。
筋肉負荷トレーニングを行うと睡眠の質が高まり、ストレスによる心身ダメージからの回復も早まります。これは心身ストレスの対策になり、神経年齢の若さを保ちます。男性も女性もエグゼクティブはストレス負荷が強いので、ストレスに強い身体作りは重要です。
代謝の面からは、筋肉量が多い人は筋肉を維持するための必要エネルギーが高いので基礎代謝が高まり、太りにくい身体になります。筋肉から分泌されるミオカインという物質が脂質代謝を改善し、脂肪分解を助けます。肥満の是正と予防にも、メタボリックシンドローム対策にも筋力増強が大切であることが分かっています。このように筋年齢の若返りは生活の質(QOL)を向上させてくれるのです。
また、有酸素運動をしばらく続けていると、脳内ホルモンの分泌も始まる。目安として、運動を開始して15分後にベータ・エンドルフィン、20分後にはドーパミンの分泌が始まる。この2つだけでかなりハイな気分になってくる。40分ぐらい経つとセロトニンが大量に分泌される。この3つのホルモンは場合によっては数時間の分泌が続き、その日1日を「いい気分」に誘導していく。
若さを保つ方法〜アンチエイジング |
かつて、夏の夕暮れどきにたまにジョギングしたことはあったが、時間を計ったり、「ガンバレ!」「ファイト!」という言葉で自分を励ますようなジョギングだった。継続の秘訣は、頑張るという姿勢をいっさいやめ、少しでも「快」の気分が切れそうになったら、すぐに速足歩きに切り替えること。雨の日には室内でできる代替運動(スクワットやダンベル運動)を用意しておくこと。第一目的は、若返りホルモンと快感ホルモンを分泌させて、1日中ハイな生活を導入することにあるのだから。
■追記:ジョギングに加えて、現在私が愛用しているサプリメントは、ビタミンE、ビタミンC、コエンザイムQ10、スピルリナ、フィッシュオイル(オメガ3脂肪酸)、ビール酵母。昨日の大晦日は親族が一堂に会して健康関連の話題で盛り上がった。栄養学が専門で最近経絡マッサージ師の資格を取った義理の妹、70歳を過ぎてから辻調理学校を主席卒業し、医療・健康情報にうるさい義理の父などもサプリメントを始めることになった。