ただ「落ち着いている」と思い込む。そして、手足を温かく感じ、鼓動と呼吸を意識し、内蔵を感じ、額をクールにする。こんな単純なことが疲労回復、ストレス緩和、あがり症の克服につながるという。
私は数年前に冷え性の改善から実践が始まった。運動不足に加え、座ったまま仕事が多かったせいであろうか、ある時期から真夏でも足が冷えるようになった。それも右脚のみが冷えるので、不可解かつ不愉快だった。
そこで「右脚が温かい」と想い念じることになるのだが、いままさに冷えているという現実の中で、意識の力だけでこれを逆転させるのは並大抵ではない。そこで、お風呂に入ったときに、ほら、右脚が温かい、まあなんて、こんなにすご〜く温かいと、ことさら想うようにしたら、数日後に冷え性がいったん消滅した。
このときのお風呂体験は私の一生涯の悟りになり、財産になったように思う。
「痛い」ときに「気持ちがいいと思え!」なんて頑張っても、なかなかうまくいかない。だが「そこそこ気持ちいい」ときに「メチャメチャ気持ちいい」と思うと、次の「痛み」が軽減する、あるいは、うまく行けば消滅する。
どんな冷え性の人でも、熱い風呂の中で冷えて冷えて困るとグチる人はいない。まさに脚が温かいと感じるときに、あえて、はっきりと、しっかりと、生き生きと、ありありと、もう天に昇る気持ちで、
あぁ〜、温かいわ〜
と感じる。大げさに感じる。無理やり感じる。これがとてもよく効くのである。
なぜこれが、一生の悟りになったかというと、あらゆる方面で人生がうまく行くコツも、こういうことなんだな、と感じたからだ。
人生苦労に思えることでも、どこか1つ楽しいことを見つけて「捨てたモンじゃないな」「これも悪くないじゃん」と思いながら続けていると、状況が改善していく。そして実際に楽しい場面がやってきたら、増幅させて「メチャメチャ楽しい」とおおいに舞い上がってしまう。不思議なことに、強く「楽しいなぁ」という気持ちを発振していると、さらに楽しいことがやってくる。
何か問題や不愉快なことが起こったときでも、それをやっつけよう、退治しよう、撲滅しよう、と頑張らない。問題の対象となっている人や事柄について、まんざら悪くもないか、いいとこもあるよねと感じつつ、他に楽しいことがあれば、そちらに意識を移す。
これが現状改善の秘訣じゃないかしら?
さて、話を自律訓練法に戻すと、この夏からしっかりと訓練してみて、最大の収穫は就寝後、すとーんと、すぐに眠れるようになったこと。
布団に入ったら、布団って温かいなぁ、幸せだなぁ、と思う。次の瞬間に、目が安らぐ、アゴが安らぐ、肩が安らぐ、そして、その後は、手足が温かい・・・と自律訓練法の順序をたどっていく。最初の数日はしっかりたどれていたが、最近は、「アゴが安らぐ」「手足が温かい」と思った瞬間に、もう意識がなくなっている。
入眠儀式をパターン化すると、よく眠れる。私は決まった入眠音楽も使っているので、CDのボタンを押すと「もう、寝るだけ」になる。さらに、前向きなコトバのアファメーションを加えたければ、
あぁ、今日も最高の1日だった
などがいいかもしれない。今日のことをあれこれ振り返ったり、明日をあれこれ思い煩ったりしていると、意識のポイントがコントロールできなくなるのでやめること。とりあえず「布団気持ちイイー、今日もサイコー」でよろしいのでは?