カロリー制限やレスベラトロールによって活性化されるという長寿遺伝子サーチュイン(Sirtuin)だが、長寿の状態が発現する仕組みについて簡単に整理してみたい。
1)カロリー制限
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2)ミトコンドリアが補酵素NADを放出
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3)第10番染色体上のサーチュイン遺伝子がオン
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4)サーチュイン蛋白(酵素)の製造
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5)DNAが巻き付いているヒストンを脱アセチル化
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6)巻き付きが強化されることで、接合型遺伝子座やテロメア領域などの転写を抑制
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7)アポトーシス(細胞自死)の抑制など、老化スピードが低下
細胞の染色体には、遺伝情報を担うデオキシリボ核酸(DNA)が畳み込まれている。DNAは8量体のヒストンにそれぞれ1.75回巻き付ついている。サーチュイン酵素はこのヒストンの「アセチル化」の部分を取り除くことで巻き付きを強め、DNAの傷つきを遅らせる。
老化抑制にはさまざまな仕組みが働いているが、テロメア領域の仕組みを説明すると以下のようになる。
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レスベラトロール効果研究会:長生きポリフェノール「レスベラトロール」2 (2009/3/2)
近年、長寿・長生きについて、様々な研究が行われています。その研究の中でも、寿命を決めると考えられているテロメアDNAに注目が集まっています。
テロメアとは、染色体末端部位のことで、その部分にある特殊なDNA配列があります。このテロメアDNAは、細胞分裂のたびに少しずつ短くなっていき、それに伴って細胞分裂の間隔も長くなっていきます。そして、最後に、それ以上テロメアDNAが短く出来なくなると細胞分裂が止まります。細胞分裂が行われなくなると老化が始まり、やがて細胞は死んでしまいます。そのため、テロメアDNAをいつまでも長くしておけば、細胞は死なないで分裂を続け、長生きできるはずと考えられています。
染色体末端にあるテロメアDNAは、ヒストンと呼ばれるたんぱく質に囲まれています。このヒストンがアセチル化されるとテロメアDNAは表面に露出するので、酵素の働きによって短くなってしまいます。ところが、sir2と呼ばれる酵素は、このアセチル化を防ぎ、テロメアDNAを露出しにくい構造にするため、テロメアDNAが短くなるのを防ぎ、寿命をのばすことができすのです。
サーチュイン遺伝子は、2000年に酵母菌の遺伝子研究を通して発見された。酵母菌で司令塔となる遺伝子は
Sir2(サーツー)と呼ばれ、Sir1、Sir3・・・など他のサーチュイン遺伝子と連携して働く。1、2、3・・・の数字は、発見された順序を示す。Sir2に相同するヒト(哺乳類)の遺伝子は「Sirt 1」。ヒトのサーチュイン遺伝子は、今のところSirt 1〜7の7種類が発見されている。
「Sir」は Silent Information Regulator の略で、遺伝子情報の転写を抑制する機能をサイレンシングと呼んでいる。1980年代後半から、老化を促進する遺伝子(age-1、daf-2など)が発見されているが、サイレンシングが強化されることで、いままで眠っていた老化促進遺伝子が高齢期に発現することも抑制すると見られている。
サーチュイン遺伝子の画期的なところは、体の
すべての臓器・部位に作用すること。肌、心臓、血管、脳といった部位に限定されるものではないということだ。理屈はともあれ、レスベラトロールは飲むべし。
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posted by ヒロさん at 14:35
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