初期のボンド映画を2〜3鑑賞してみると、キャラクターの名前はかなりおふざけになっている。『ドクター・ノオ』から長期にわたって登場する秘書は
マニーペニー(MoneyPenny:銭小銭さん)だったり、ジャマイカの漁師は
クオレル(Quarrel:喧嘩さん)だったりする。
海から白いビキニで上がってくるシーンで有名なムチムチのボンドガールは男勝りの
ハニー・ライダー(Honey Rider:ハチミツの馬乗り)で、女性上位を暗示している。だが、この女優の芸名のほうがさらに露骨で、
ウルスラ・アンドレス(Ursula Andress)は「undress=服を脱ぐ」なので、最初からカラダを売り物にしている女優なわけだ。Ursulaの方は「熊」の意味なので、なるほど体格のよいゴッツイ女優さんだった、たしかに。
『ゴールドフィンガー』で鋼入りのシルクハットを投げる大男は
オッドジョブ(Odd Job:変わり者)で、これはまだいいとしても、ボンドガールの
プシー・ガロア(Pussy Galore:女性器いっぱい)は露骨丸出し。一部の国の吹き替えや字幕がキティー・ガロア(Kitty Galore:子猫いっぱい)に修正されたという。
原作者のイアン・フレミングは「○○がいっぱい」が好きなおじさんのようで、『オクトパシー』という作品では、題名そのものが
オクトパシー(Octopussy:8つのプッシー)だし、『ダイヤモンドは永遠に』のボンドガールは
プレンティ・オトゥール(Plenty O'Toole:たくさんのお道具=男性器)だ。
このような下ネタのおふざけは、
ウィリー・ワンカ(Willy Wonka:ちんちんブラブラ)というはしたない名前を使った『チャーリーとチョコレート工場』のロアルド・ダールを思い出させるが、やっぱりというか、ロアルド・ダールとイアン・フレミングは親友同士。日本が舞台になった『007は2度死ぬ』や、フレミングの晩年作『チキチキバンバン(Chitty Chitty Bang Bang)』の映画化で脚本を書いたのはロアルド・ダールだった。
その昔、ショーン・コネリーの007シリーズで「007は殺しの番号」というキャッチフレーズが使われたが、この「007」というコードネームは諸説紛々ながら、フレミングの別宅の近くを走っていた
長距離バス(ロンドン〜ドーヴァー間)のバス路線の番号と一致しているという。
あるいは、ラドヤード・キプリングが1897年に書いた児童小説『.007 ― Story of American Locomotive』に影響を受けたとか、「00」のzero zero は女王陛下の目を表す「your eyes only」で、「7」のほうはフレミングがイギリス海軍志願予備隊の将校だったときのコードネーム「17F」から取ったという憶測もある。
初期のボンド・シリーズ小説が大当たりとなったイアン・フレミングは、かなり懐が豊かになって、1950代後半からジャマイカに移り、「ゴールデンアイ」と命名した別荘で作品を書き続けた。一方、小説&映画『ゴールデンアイ』のボンドガールは
ゼニア・オナトップ(Xenia Onatopp:もてなしの騎馬上位)と命名しており、ほんとにお好きなのね、あなた。
posted by ヒロさん at 12:14
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