本書は「音楽で"カラダと時間"を操る」というタイトルが付けられているように、MP3プレイヤーなどでビートの利いた音楽を聴きながら走ることで、短距離走のスピードを引き上げることを狙っている。例えば、1分間に200歩のテンポで走っている場合、音楽を使ってこれを無理なく210歩のテンポに引き上げようとするトレーニングだ。
現在の私は短距離走にはまったく興味がないが、はて、これをジョギングに使ったらどうなるものか、と実験してみた。
まず適当なテンポの曲を数曲選んで、それを聴きながら走ってみる。大好きなロックの曲はいろいろあったが、どう頑張っても、走るときの足のリズムと完全に一致しない。Aという曲は速すぎる、Bはやや遅い、などさまざまだ。
しばらく試してみて、私の脚のテンポは「♪=180」程度ではないか、と見当をつけた。
パソコンのメディアプレイヤーにはよく聴く数百曲が保存されているが、特定のテンポのものだけを絞り込むのは時間がかかる。そこで、1000円程度の電子メトロノームを購入し、ピッピッピという音を聞きながら、曲を徐々に絞り込んだ。
テンポ180ということは、テンポ90のものを選んで、ワンテンポごとに2歩走るようにしてもいいわけだ。そこで、テンポ90〜96の曲を選んで走ってみた。実際に走ってみると、どれも速すぎる。元気なときは脚が動く曲もあるが、上り坂やバテ気味の終盤ではとても無理だった。
試行錯誤を重ねた結果、気楽に走れるテンポは78〜84がベストという結論になり、以下のような曲を選んだ。
テンポにはわずかながらバラツキがあるが、試してみた結果は、最後まで楽しみながら走ることができた。
今後の課題だが、1)上り坂や終盤でテンポが落ちそうな場所で、ペースを維持することに使えるかどうか、あるいは、2)音楽を楽しみながら走行距離を延ばすことができるか、3)テンポ全体を平均80から平均84、88にした場合に、無理なくスピードを上げることは可能か、さらに、4)テンポの緩急に極端なギャップをつけることによって、いわゆるサーキットトレーニングに誘導することができるか、などの実験に挑戦してみたい。
音楽を聴きながらジョギングしている人は山ほどいる。それだけでも十分に楽しめるわけだが、さらにもう1歩進めて、自分の脚のリズムと同じテンポの曲ばかりを集め、音楽と一体となって推進力を生み出せるかどうか。これはなかなか、おもしろい。
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