
私もチョコレートマニア(中毒)のような人間なので、共鳴するところはたくさんある。ウィリー・ワンカの工場に招待されるラッキーな5人の子供たちの中には、お菓子中毒でブクブクに太っている Augustus Gloop とか、1年中ガムを噛んでいる Violet Beauregarde などがいる。
柳瀬尚紀訳では、Augustus Gloop を「オーガスタス・ブクブトリー」と意訳している。「aug-」は増大を意味する語根で、さらに「glop」がドロドロ、「goop」がベタベタなので、デブ・ドロドロ・ベタベタを意識して付けられた名前に違いない。
Violet Beauregarde の名前は紫色のバイオレットで、苗字はフランス風の「これ見よがし beau + regard」なので、全身がブルーベリー色に変色していく運命を暗示している。
原作も映画も高校英語の授業に使えるではないか、と目論んでいるところだが、少々気になることが出てきた。たまたまの偶然でイギリスの小説『Chocolate Run』(邦訳なし)を読んでいたら、「shagger」と「wanker」という単語が出てきた。前者はイギリスのスラングでエッチをしまくる人、後者は1人でしまくる人の意味だ。一方、ウィリー・ワンカの「willy」はイギリスの幼児語で「おチンチン」の意味で、「wonka」 は wanker とほぼ同じ発音だ。
作者のロアルド・ダールは子供心を忘れない、いたずら大好きな作家だが、児童文学の主人公の名前にこんなはしたない名前をつけるなんて、あんまりじゃないの!!・・・と、頭に血がのぼった私だが、あれこれと調べてみての結論は以下のようになった。
『Charlie and Chocolate Factory』が書かれたのは1964年で、このときに「wanker」という隠語はまだ普及していなかった。「willy」はウィリアムの愛称という言い訳は立つものの、「チンチン、ぶ〜らぶら」を意味する「willy wonky」を元にしたという見方が有力。ということで、ウィリー・ワンカという名前の意味は「チンチン・ブラブラおじさん」に落ち着きそうだ。
「willy wonky」を扱ったBBCの子供向け番組はこちら。
■チンコレート工場のつぶやき
もしも日本の児童文学で、マラ・ベッチョさん、オソソ・ホウミさん、ガモウ・ダンベさんみたいな名前が出てきたら、どうしよう・・・
初めまして、ちょいと失礼いたします
WonkaとWankerとは違う発音ではないでしょうか?
Wonの”o”はWantのa、また“Wanker”の”a”はAppleのaと
おなじ発音ではないかと。
映画でもそう発音していたと思いますし、
またもしもそこまでアブナイ内容であれば、
とてもジョニーデップやヘレナボーナムカーターがでるような
「普通の」映画として製作できるはずはないような気もするのですが…
もしも間違いでしたらばご容赦下さい。
>Wonの”o”はWantのa、また“Wanker”の”a”はAppleのaとおなじ発音ではないかと。
一般に“wo”の発音はwonderなどの「ワ」で、“wa”の発音はwashなどの「ウォ」です。
ただ「wonky」の場合は「ウォ」の発音で、「wanker」という危ない単語(辞書を引いてください)と母音が同じです。もし「wanker」という単語を意識させるような狙いがある映画ならば、大問題でしょう。
しかし「チンチンブラブラ」のほうは「willy wonky」で、危ないフレーズというよりも、微笑ましいフレーズ。音は違っても綴り字から、あ〜そっか、と頷くところ。しかもイギリス方言ですから、アメリカで大騒ぎされないのですよ。この映画は『Willy Wonka and the Chocolate Factory』として1971年にも製作されています。
ご趣旨はわかりました。たしかにWillyがつけばニヤリと言うわけですね。
ただ一点だけ、私も英国に住んでいましたが、
私の知る限り英国人は大学の英語講師を含め、
wankおよびwankerのaはaとeの中間の音
(つまりappleのaと同じa)で発音していました。
一方Wonkaの"o"は「オ」に近い発音(米国だと「ア」に近くなる音)ですよね。
これ以上書いてもどちらにしろご迷惑でしょうから、もうこれ以上本件は投稿いたしません。失礼いたしました。これからも貴ブログ、勉強・楽しみに拝読させていただきます。
>私の知る限り英国人は大学の英語講師を含め、wankおよびwankerのaはaとeの中間の音
>(つまりappleのaと同じa)で発音していました。
そうなんですか。私はこの単語はオーディオブックで一瞬聞いただけで、実際の会話で聞いたことはありません(危ない会話ですから)。まして大学の英語講師から聞くなんて想像もできません・・・ので、私も無知でごめんなさい。
本文の<「wonka」 は wanker と同じ発音だ>の部分は、<ほぼ同じ発音だ>に訂正しておきます。
Charlieはコカインの隠語、Chocolateは大麻の隠語。
で、このサイトで知ったwillyが「チンチン、ぶ〜らぶら」で、
ウィリー・ワンカという名前の意味は「チンチン・ブラブラおじさん」w
つまり、この映画はこっそりと・・・
「チンチン・ブラブラおじさんのコカイン・大麻工場」
って題名にしていたということですね。勉強になりました。
この映画が大好きな娘たちには教えられませんがw