2009年07月19日

英語の授業で使える映画はどれだ?

1学期の最後に映画『麗しのサブリナ』を教材にした授業を実験的にやってみた。生き生きとした会話が続く5分くらいの場面を見せ、その後、スクリプトを使って英会話練習や文法解説をするという授業だ。

今日、ほとんどすべての映画スクリプトがネットで検索でき、大量の懐かしの名画がYouTubeでダウンロードできる。もし、映画中心に授業を進めてもOKならば、無数のスクリーンの遺産の中から、何を選んだらいいだろうか。

まずは、近年すでに教科書で使われた映画を調べてみた。1983〜2005年に中学・高校の検定教科書で取り上げられた映画だ。(引用元:『映画を教材とした英語教育に関する研究』)

■頻度順
  • 13回・・・ET (高校10回、中学3回)
  • 13回・・・ローマの休日 Roman Holiday (高13)
  • 8回・・・風と共に去りぬ Gone with the Wind (高8)
  • 7回・・・独裁者 Great Dictator (高8)
  • 7回・・・バック・トゥー・ザ・フューチャー Back to the Future (高7)
  • 6回・・・ライムライト Limelight (高5、中1)
  • 6回・・・ある愛の詩 Love Story (高6)
  • 6回・・・サウンド・オブ・ミュージック Sound of Music (高4、中2)
  • 5回・・・いまを生きる Dead Poet Society (高5)
  • 5回・・・タイタニック Titanic (高5)
  • 4回・・・ジョーイ Something for Joey (高1、中3)
  • 3回・・・エデンの東 East of Eden (高3)
  • 3回・・・ホームアローン Home Alone (高3)
  • 3回・・・マイフェア・レディ My Fair Lady (高3)
  • 3回・・・草原の輝き Splendor in the Grass (高3)
  • 3回・・・スタンド・バイミー Stand By Me (高2、中1)
  • 3回・・・奇跡の人 Miracle Worker (高3)
  • 3回・・・老人と海 Old Man and the Sea (高3)

    オードリー・ヘップバーンの『ローマの休日』は永遠の芸術作品として私も使いたい映画だ。『風と共に去りぬ(1939)』やチャップリンの『独裁者(1940)』という戦前のモノクロ映画は、さて、どう料理したらいいか。古い映画が多いのは、著作権絡みか、それとも教科書執筆陣のじじばば趣味か。

    『バック・トゥー・ザ・フューチャー(1985)』は私も夢中になったので、若者向けにお奨めできる。『ジョーイ』は文部省特選の映画。ヘレン・ケラーの『奇跡の人』は、いわゆる“教育的配慮”を感じてしまう。

    ユーモアたっぷりのロビン・ウィリアムズの映画は、私の知り合いの高校教師の間でも人気が高い。『ミセスダウト』『ジュマンジ』『トイズ』『フック』『フラバー』『奇蹟の輝き』『パッチ・アダムズ』など。私は米バーモント州の高校を舞台とした『いまを生きる』に狙いを定めていたが、すでに高校教科書で5回も使われていたとは!

    私の選択基準は、会話が速すぎない、発音が聴き取りやすい、英語圏の文化理解を深められる、映像にインパクトがあるが暴力やセックスは避ける、など。当然のことながら、教える側の私に思い入れがあり、数回は見ているもの。最終的に「残りは見てのお楽しみ」と鑑賞を薦める可能性もあるので、個々の場面がいかにすばらしい教材でも『Sex and the City』などからコマ取りするのはまずい。

    映画で英語を勉強しようという試みは、戦後に雑誌『時事英語研究』あたりから重い腰を上げ、1960〜70年に南雲堂の対訳シリーズで花開いた。同シリーズの46作品は以下の通り。

  • 1962・・・ローマの休日(Roman Holiday 1953)
  • 1963・・・誇り高き男(Proud Ones 1956)、鳥(Birds 1963)、蜜の味(Taste of Honey 1961)、ハイヌーン(High Noon 1952)、第三の男(Third Man 1949)
  • 1964・・・バイ・バイ・バーディ(Bye Bye Birdie 1963)、エデンの東(East of Eden 1955)、シャレード(Charade 1963)、パリで一緒に(Paris When in Sizzles 1963)、マンハッタン物語(Love with the Proper Stranger 1963)、誰がために鐘は鳴る(For Whom the Bell Tolls 1943)、野のユリ(Lilies of the Field(1963)、トム・ジョーンズの華麗な冒険(Tom Jones 1963)
  • 1965・・・わかれ道(One Potato, Two Potato 1964)、西部戦線異状なし(All Quiet on the Western Front 1930)、昼下がりの情事(Love in the Afternoon 1957)、星空(Ballad in Blue 1964)、生きる情熱(A Rage to Live 1964)、慕情(Love Is a Many-Splendored Thing 1955)、北北西に進路をとれ(North by Northwest 1959)、道(La Strada 1954)
  • 1966・・・嵐が丘(Wuthering Heights 1939)、市民ケーン(Citizen Kane 1941)、オセロー(Othello 1964)、赤と黒(Le Rouge et le Noir 1954)、アンネの日記(Diary of Anne Frank 1959)、レベッカ(Rebecca 1940)、足ながおじさん(Daddy Long Legs 1955)
  • 1967・・・ジェーン・エア(Jane Eyre 1944)、ふたりだけの窓(Family Way 1966)、ロミオとジュリエット(Romeo and Julliet ?)、居酒屋(Gervaise 1956)
  • 1973・・・バラキ(Valachi 1972)、ゲッタウェイ(Getaway 1972)、赤ちゃんよ永遠に(Zero Population Growth 1972)、ロイビーン(Judge Roy Bean 1972)、赤い仔馬(Red Pony 1973)
  • 1974・・・小さな恋のメロディ(Melody SWALK 1971)、小さな貝殻、宝島(Treasure Island 1972)
  • 1975・・・別離(Ash Wednesday 1974)、怒りの日(Hennessy 1975)
  • 1976・・・暗闇にベルが鳴る(Black Christmas 1975)、ベンジー(Benji 1975)
  • 1977・・・リーインカネーション(Reincarnation of Peter Proud 1975)、さすらいの航海(Voyage of the Damned 1976)

    題名だけは知っているが、見たことのない映画がたくさんある。上記の中から隠れた名場面を探すのも悪くない。

    1978年は、日本テレビが音声多重放送を開始した記念すべき年だ。ビデオの多重録音(副音声)で映画を楽しむことができるようになるが、英語の字幕が出るわけでなし、初学者には敷居の高い学習方法だった。これを補うべく、私も『スクリーン・イングリッシュ』という雑誌を山ほど買ったが、散財に終わった感がある。


  • posted by ヒロさん at 22:52 | Comment(8) | TrackBack(0) | Learning English
    この記事へのコメント
    TITLE: 映画100選
    The Top 100 of All Time
    http://www.tccandler.com/columns/top_100_films_of_all_time.htm
    1. Shawshank Redemption, The
    2. Casablanca
    3. Schindler's List
    4. Pulp Fiction
    5. City Lights
    6. Eyes Wide Shut
    7. Great Escape, The (大脱走)
    8. Irreversible (アレックス)
    9. Graduate, The
    10. 2001: A Space Odyssey
    11. ・・・・・・・
    Posted by Hiro-san★ブログ主 at 2009年07月22日 00:01
    TITLE: りすとについて
    英語教師の皆様は結構、映画を題材に使っておられるんですねえ。

    日記を拝見して思ったことが二つあります。

    1.映画館で同じ映画を一日中居座って見たり、その映画をウオークマンでテープに録音して始終聞きながら原作を読んだりして勉強できた日々(また、帰国後も力を落とさないためにそうやった日々)は、今はもう実施できないこと。映画館で録音を行うと犯罪だそうですから・・・ちと、寂しい。

    2.引用された頻度リストのある種の偏り。例をあげると、ウッディアレンもトラボルタもランク入りしていないこと。クリントイーストウッドなどもってのほか?
    いつかはアレンなみの英語に触れる機会が必要、(というか、あの映画でのアレン達のしゃべるスピードが普通の会話スピードですが)かと。トラボルタのBaby Talk 1, 2などは判りやすい英語なのにねえ。英語の先生の嗜好と日常思考まで透けて見えそうな引用リストですね。

    映画「今を生きる」は、アメリカのプレップスクールを舞台とした映画のように記憶していますが・・・
    Posted by ぼやーじゅ at 2009年07月24日 05:48
    TITLE: >りすとについて
    あまり「結構」は使われていないと思いますよ。リストは教科書に掲載されているものなので、扱わざるを得ないというシロモノです。さらに、映画を要約的に紹介したもの、映画の時代背景を取り上げたもの、実際にスクリプトを乗せているものなど、さまざまです。

    値段の安い名画座で同じ映画を一日中居座って見る・・・なんて懐かしいですね。今や映画館で頑張らずとも、DVDやネット配信サイト(Gyaoなど)でいくらでも勉強できますが、やはりあの大画面の臨場感がほしい。私もかつて、レコーダーを携えて最前列近くでよく見ておりました。

    洋画100年の歴史から何を選ぶかですが、教材的・教育的な配慮を伴うとなると、偏りは免れないでしょう。教科書掲載2回以下のリストをザーッと眺めましたが、イーストウッド、アレン、トラボルタは入っておりません。イースウッドは何がよいでしょうね。トラボルタの「Baby Talk」、ご紹介ありがとうございます。

    リスト2回以下では、「Independence Day」、「ハリーポッター」、「流されて Cast Away」、「スターウォーズ」、「Apollo 13」、「アウトサイダー」などもあります。

    >映画「今を生きる」は、アメリカのプレップスクールを舞台とした映画のように記憶していますが・・・
    ご指摘のとおり、舞台は米バーモント州でした。本文を訂正します。
    Posted by Hiro-san★ブログ主 at 2009年07月24日 09:10
    TITLE: イーストウッドと言っておきながら・・
    アレンは、マンハッタン、ではいかがでしょうか。現在、映画館で上映中の「バルセロナ・・」も面白いですが、高校生には刺激が強すぎるかと存じます(学校でじょうえいするのは無理かと)。

    イーストウッド、と自分で言っておきながら何ですが、これもまた高校生には見せてはいけないかも知れない「ガントレット」、「ファイヤーフォックス」、「ザ・シークレット・サービス 」ではいかがでしょうか。これらは英語学習ではなくて好みの映画になってしまいますね、すいません。

    「スペースカーボーイ」のようなB級作品は、とっても易しい英語でありラストも微笑ましいから、それの方が良いかも知れませんね。

    文科省が何とおっしゃっているのか存じませんが、映画の放つ社会性や生活感も含めて映画を観た方が(つまり、社会派の映画やちょっとエッチな映画もある映画も含めてみると)、記憶に残るような機がしますが・・・・

    プチ理系映画なら、昨日TV放映があった「X men」か「X men 2」。えっ、それなら「Fantastic 4」や「Lord of the Ring」も「Matrix」も「Twenty four(TVどらま)」もですね。

    ませた高校生なら、「West Wing」(邦題、ザ・ホワイトハウス)か「フレンズ」、もっとませた生徒なら「Desparte wives」で決まりでしょうか。West wingに登場する英単語は結構な勉強をさせていただきました。

    文科省リストと聞くとどうもあまのじゃくになってしまいます。「シュレック」や「Mr.インクレディブル」も判りやすい英語と良く理解できるストーリーなので楽しめるかもしれませんね。

    未来ある少年少女にたいして、無責任なコメントをしてしまいました。ここらで退散いたします。脱線こめんと、お許しください。
    Posted by ぼやーじゅ at 2009年07月25日 23:47
    TITLE: マンハッタン、インクレディブル、16才の母親
    ぼやーじゅさん、「マンハッタン」「シュレック」「インクレディブル」のご紹介、ありがとうございます。聞きやすい英語でした。
    Mahattan (1/10)...1979
    http://www.youtube.com/watch?v=mzIzjfkBOBc
    Shrek 2 (2/11)...2004
    http://www.youtube.com/watch?v=DesbLyLmWWs
    Incredibles (2/11)...2004
    http://www.youtube.com/watch?v=wSxR2RBqi6U

    以下はTVものの「16才の母親」ですが、私も勇気をもって扱ってみようかしら、という内容です。
    Mon at Sixteen (8/10)...2005年TV
    http://www.youtube.com/watch?v=LcK9I_Szn4E
    Posted by Hiro-san★ブログ主 at 2009年07月26日 14:26
    TITLE: はじめまして
    予備校の英語講師をしています。
    それとは別に私塾で大学受験生を指導しています。

    私は映画に詳しくないのでそれほど多くの映画から選んだわけではありませんが
    「13デイズ」を教材に使います。セックスシーンなどがないという条件はもちろんクリア
    していますが、この映画はひっきりなしに誰か喋っているというくらい台詞が多く、
    早送りしなくていいというのがいいです。
    アクションものだと「あー」とか「きゃー」みたいなのばっかり
    の場面が使えません。
    あと、受験英語でいう「名詞構文」が多いのも
    私としては気に入っています。
    いかがでしょう?
    Posted by なおさん at 2009年09月14日 06:22
    TITLE: 英語教材ですか・・
    お久しぶりです。
    いつの間に、先生になられたんですか〜。ちょっとびっくり。
    映画を英語の教材でということで、仕事上知っている雑誌があります。
    学研の英語耳&英語舌シリーズのムックですが、今年は、映画を題材にしています。
    年4回発行で、すでに今年は2回発行されています。
    DVDがセットになっており、一度、本屋で見てみてはいかがでしょう??
    ちょっと、高いですけど・・・1500円します。仕事の関係上、ただで手に入りますが、
    いるようでしたら、差し上げます。英語教材にはなりませんが、NHKの語学テキストも進呈できますよ〜。ってどんな仕事してるんだって感じですかね・・・(笑)
    Posted by ゆきろう at 2009年09月30日 03:04
    TITLE: 映画、洋楽DVDの英語教育への利用、著作権
    どなたか、映画や洋楽のDVDを英語の学校で使用するさいに、何か手続きが必要なのか、あるいはまったく問題なく英会話学校でも使えるのか教えてください。
    Posted by Kent at 2010年05月07日 14:48
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