高校生ぐらいになると「一体どうして勉強するんだろう」「今やっていることが何の役に立つのだろう」という疑問が頭をもたげてくる。そんな問いに大人はどう答えたらいいか。
『リング』『らせん』などで有名な教育パパ作家・鈴木光司は、2人の娘に対して次のように答える。「理解力、想像力、表現力という3つの能力を高めるため」だ。この3つの力があれば、世界の仕組みに対する理解度が増し、生きる力に通じ、ひいては社会をよくすることにつながっていく、と。
歌手MISIAの小学校のときの先生は、いろんな科目を学ぶのはいろんな“回路”をつくるためであり、覚えることが目的というよりも、いろんな回路があることで、問題解決の回路や人生を楽しむ回路が開けていくのだよ、と語る。
売れっ子の有名教授や塾講師に、各教科を学ぶ意味について語らせるとどうなるか。『16歳の教科書』は、落ちこぼれ校を有名校に変身させるプロセスを表現した『ドラゴン桜』という漫画とタイアップした企画だ。
■国語・・・金田一秀穂(きんだいち ひでほ)
言語能力の中でコミュニケーションの力がもっとも重要だ。自分の意見や感想を入れずに「目に見えるものをそのままコトバに変換する」訓練を奨める。1枚の絵をコトバにしたり、時刻表・図鑑・地図・数式などを“読んでみる”。
読書感想文的な「気持ち」や「感動」はまず脇へ置け、ということだ。マニュアルや新聞記事の訓練のようになると私は辟易してしまうが、「最近見た映画を表現せよ」という話だったら、乗ってもいい。
■数学1・・・高濱正伸(たかはま まさのぶ)
数学は「見える力」と「詰める力」を鍛えるためのもの。「見える」ためには、図形センス、空間把握力、試行錯誤力、発見力が必要となる。「詰める」ためには、論理的整合性、要約力、精読力、意志力を培いたい。
補助線を引いたり、回転させたり、場合分けをしたり、切り口を工夫したり。何かが「ユリイカ!」とひらめいても、これを人に伝えるためには、地道なステップが必要となる。
■数学2・・・鍵本聡(かぎもと さとし)
数学的思考によって「真実を見抜く力」を養え! 真実を見抜く目がないと、世渡りは大変だぞ。怪しい儲け話、インチキ宗教、詐欺メールを撃退しつつ、商品の選択、就職・転職の判断、マイホームや投資の決定をどうこなしていくか。
この先生は、生徒に他の生徒のテストを採点させることも奨める。何事も好きになるためには、プロセスをつぶさに観察する姿勢が必要。できる生徒のプロセスをしっかり見るという経験をさせてあげたい。
■英語・・・大西泰斗(おおにし ひろと)
感性の英語が大事だ。たとえば「to不定詞」は○○用法みたいな説明がたくさんあるが、すべて「詳しく展開する」ための機能にすぎない。一方で英語は語順(並べ方)に意味があるので、文型はしっかりやれ。単語はとにかく5000語以上覚えろ、そうすれば語根の知識でその先が楽になる。
『ネイティブスピーカーの英文法』の著者だ。構造と語彙だけで手いっぱいになりがちなところに、いかにして感性や表現力を展開していくのか、各教師の手腕が問われるところ。
■理科・・・竹内薫(たけうち かおる)
この世の常識の99.9%は仮設だ。日常生活や社会ネタも科学の目で見つめ、疑問をぶつける。中学高校は「型を覚える」時期だけど、いずれ「型を破る」ときがやってくる。大学で物理をやりたい人は、とにかく微積分を徹底的に。
大学非常勤講師の先生だが、10年前に生徒の質がガラッと一気に変わった経験を述懐する。大学生の物理学の基礎がガックリと抜け落ちた感じがあり、「ゆとりの教育」の影響は大きいという。
■社会・・・藤原和博(ふじわら かずひろ)
正解のない課題に取り組む訓練だ。「早く」「ちゃんと」「いい子に」で通用するのは今だけで、社会に出ると「もっとたくさん」「もっと安く」「もっと効率的に」という課題が待っている。社会科は“世の中科”であり、「君がハンバーガー店の店長ならば、どこに出店するか」、「自分が住みたい家はどんな家か」などを考えてみよ。
杉並区の校長を務めるこの先生は、東京都公立中で初の民間出身校長。年間の授業の3分の1はディベート、さらに3分の1は現実社会のゲストを呼んで話を聞くという。本物のホームレスの男性を教室に呼んだこともある。技術と経験の積み重ねのない夢は“幻想”に過ぎないと言い切る。
小中までは集中力とバランス感覚が大切であり、テレビと携帯へのアクセスを制限せよ、といっている。シュタイナー教育的なところがある先生だ。
2009年07月05日
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