2007年06月03日

司法機関をわがものにするネオコンの夢、破れたり

ブッシュ政権のネオコンが壊滅する日は近い。ゴンザレス司法長官の弾劾とチェイニー副大統領への裁判の行方が注目されている。

◆ニューズウィーク日本語版 2007.6.6号:periscope
連邦検事8人の不当解任疑惑で窮地に立つゴンザレス米司法長官に、5月に入って新たな疑惑が浮上した。ブッシュ大統領の顧問だった04年3月、入院中のアシュクロフト司法長官(当時)の病室に押しかけ、令状なしでの盗聴活動を承認するよう迫ったという(アシュクロフトは違法だとしてこれを拒否)。ゴンザレスへの辞任圧力が強まるのは必至だ。民主党はこれを受け、上院に不信任決議案の提出準備を進めている。

令状なしで盗聴が自由自在になるという一歩手前まで進んでいたアメリカだが、昨年秋からこの動きに「待った」がかかった。これに対する逆襲のつもりだろうか、ゴンザレス司法長官は、昨年12月に8人の連邦検事を政治的な理由で解雇したという。

現在この不当解雇疑惑が火を噴いて、5月14日までにマクナルティ司法副長官(=No2)、ゴンザレス司法長官の主席補佐官と顧問も辞任。しかしゴンザレス自身は6月1日に「私は絶対辞めません」と宣言したため、議会は弾劾に向けて動き始めている。

8人の解雇のあとに新たに任命された検事の1人は、ブッシュの右腕(または影の大統領)カール・ローブ(Karl Rove)に仕えるティモシー・グリフィンだった。このグリフィンも6月1日付で「検事を辞めます」と宣言をするに至った。

911後のアメリカは愛国法(Patriot Act)によって、安全保障の印籠をかざせば「情報公開法」を制限できるようになった。そして次に国家安全保障局(NSA)による令状なしの盗聴疑惑。そして反ブッシュの検事を次々に解雇し、司法を骨抜きにしようというのが今回の疑惑だ。

このような司法への攻撃に敢然と立ち向かう急先鋒がパトリック・フィッツジェラルド(Patrick Fitzgerald)検事だ。「パトリック」も「フィッツジェラルド」もアイルランド系のカトリックの名前だ。ケネディ家との直接の関連は見当たらないが、彼をバックアップする勢力にケネディ派・海軍情報部・フランス諜報部などがあるのではないか、と私は想像している。

このフィッツジェラルド検事の裁判で、今週、チェイニー副大統領の元首席補佐官ルイス・リビー(通称スクーター)の刑務所行きが確定する。すでに3月6日に偽証罪などで有罪判決が出されていたが、今回はその量刑(予想3年)の言い渡しとなる。

5月29日付のワシントンポスト紙などが報じているように、フィッツジェラルド検事は「リビーだけでは終わらせない」と言っている。チェイニーにも飛び火するということだ。

チェイニーの右腕を刑務所に送り込むことになる「プレイム事件」を簡単にまとめると以下のようになる。

  • ブッシュ政権は、サダム・フセインが大量破壊兵器を保有している証拠がほしい。
  • 核兵器製造のウラン(イエローケーキ)をナイジェリアから密輸している疑惑を探れ!
  • ガボン特命大使のウィルソンが「ウラン密輸の事実はない」と国務省に報告。
  • ブッシュ政権はウラン密輸の事実はあるという主張を続け、イラクを侵攻。
  • 2003年7月6日のNYT紙上で、ウィルソンが「イエローケーキはでっち上げ」と告発。
  • 6日後に政治評論家ボブ・ノバックが「ウィルソンの妻ヴァレリー・プレイム(Valerie Plame)はCIAの覆面スパイ」と暴露。

    国家安全保障と情報ソース確保の観点から、民間外交で活躍してきた人物の素性を漏洩するのはいただけない。一体、誰がこの情報を流したのか。ボブ・ノバックをはじめ、報道した記者や評論家は誰からこの情報を聞いたのか・・・、と犯人探しが始まった。

    同じくヴァレリー・プレイムの素性を暴いたNYTのジュディス・ミラー記者は「情報源は明かせない」として大陪審で証言を拒否した。しかしフィッツジェラルド検事は容赦しない。法廷侮辱罪などを理由に彼女を刑務所に送り込んだ。ここから流れは一転し、情報の漏洩元はチェイニーの子分、ルイス・リビーだったことが発覚していく。そして現在、そのリビーもさらに「上層部」から聞いたという方向で展開中だ。

    素性をばらされたヴァレリーは自伝を出版しようとしているが、CIAはこれを差し止めるべく動いているので、当分はすったもんだが続きそうだ。ハリウッドで映画化も検討中で、この美貌の覆面スパイの配役はシャロン・ストーン、夫役はリチャード・ギアになるとのウワサもある。(実際のカップルはシャロン・ストーンよりいい女、リチャード・ギアを凌ぐいい男だ) 『シリアナ』のようなつまらない映画にならないことを祈りつつ・・・。

    冷泉彰彦:「リビー有罪判決の意味するもの」(2007/3/10)
      また妻のヴァレリーも、NOCとしてCIAの工作に関わる中で、「表の顔」としてはエネルギー問題のアナリスト(まるで映画『シリアナ』でマット・デイモンの演じた役のような話ですが)を務めており、実際にウラニウムを含むエネルギーやWMDのプロだったというのです。ですから、この夫婦というのは「極めて国際的」な活動を行い「現場に潜入したり、敵陣営の内部にも人脈を持っていたり」という「古典的なCIA+国務省」的な仕事のスタイルのカップルだったと言えます(ただ、アーミテージなどによればヴァレリーは夫のニジェールでの調査には同行していないらしいのですが)。
      ウィルソンは「自分は超党派で、ブッシュ(父)政権にも仕えたし、民主党の党略で動くような人間ではない」と言っていますが、確かにここで言う「政治」というのは、「共和党対民主党」という図式の対立ではないでしょう。対立というのは軍事外交とスパイ活動に関する路線闘争です。ウィルソン夫妻の象徴する「古典的な人間の諜報(ヒューミント)を重視するCIA+国務省」方式というのは、「NSAの電子盗聴(シギント)+軍の衛星監視システム+ハイテク兵器」方式という「ブッシュ=ラムズフェルド」戦術に取っては煙たい存在だったのだと言えるのでしょう。

    「CIA+国務省」対「NSA+国防総省」という対立構造はある。現在、後者を牛耳ってきた国防総省のネオコン組みはボロボロ状態だ。No1のラムズフェルドは解任、No2のウォルフォヴィッツは2005年3月に世界銀行(国際復興開発銀行)へ栄転したが、愛人問題で引きずり降ろされた。

    この愛人シャハ・リツァ(Shaha Riza)もただならぬスパイかもしれない。2001年頃から世界銀行の中東・北アフリカ地域の広報担当。2003年には国防総省政策担当次官のオフィスが、有力軍需企業SAICに彼女を雇うように圧力をかけている。そして現在は、チェイニーの娘エリザベスー・チェイニーの元で働いている。

    さらにもう1つの疑惑追及が進行中。かつて国防総省No3であったダグ・フェイス(Doug Faith)が「アルカイダとサダム・フセインの関係」を捏造した疑惑だ。

    2002年7月25日のこと、No3のダグ・フェイスは「フセインとアルカイダは、オランダの会社 Vlemmo NVでつながっている」という声明を発表した。フセインがこの企業に金を流し、アルカイダが武器を購入するフロント企業になっていたという主張だ。この説明を受けたチェイニーは「よっしゃ、これこそが証拠だ」として、911→アルカイダ→イラク、というストーリーを強化した。

    しかし、2007年5月23日にオランダ外相が声明を発表し「オランダにはVlemmo NVという会社は存在しません」とキッパリと否定されてしまった。しかし、ネットで調べる人はいるもので、この会社は実はベルギーに1997〜2004年に存在していた会社かもしれないという。(ソースはこちら)

    No3のダグ・フェイスがマヌケで、ベルギーでもオランダ語(フラマン語)を使われていることを知らずに、オランダ風の企業名=「オランダの会社」としてしまったのか。あるいは、情報撹乱のためにわざと「ベルギー」を「オランダ」にして発表したのか。

    私の想像だが、このベルギー企業も闇の諜報機関が設立したフロント企業ではないか。「911→イラン」を主張するからには、さすがに実在しない会社を捏造するわけにはゆかない。用済みとなったこの会社は2004年に倒産を偽装して店仕舞いとなったのだろう。このベルギー企業を追及するブロガーたちの調査を待ちたいところだ。

    ウソと捏造と謀略で走ってきたブッシュ政権だが、その政権が発表した「911調査報告書」に限っては、公正であり、真実であると信じたい夢見るユメ子さんたちがいる。もうそろそろ、お目覚めのお時間ですよ。

  • posted by ヒロさん at 23:46 | Comment(6) | TrackBack(0) | 国際政治/謀略
    この記事へのコメント
    TITLE: 5/7
    未だにOur Own Private Bin Laden は5/7という時代遅れな私ですが、一応以上の話は、全部網羅しています。

    何でここまでぼろぼろ、ぼろが出てきているのに、世の中の人達は分からないのでしょう。不思議です。単なる無知であることを願いたいです。
    Posted by Shoon at 2007年06月04日 02:28
    TITLE: 疑惑はつくられるもの
    http://www.rense.com/general76/ft.htm
    ★On May 31, 2007, at 8:32 PM, Sue Arrigo wrote:
    Dear Dr. Cantwell,

    Thank you for your courage and integrity in speaking the truth.

    As an ex-CIA physician with high level access, I wrote a report for DCI Webster in about 1991 arguing for closure of all the US Bio-Warfare Labs. I did that after reviewing the Ft. Detrick and the CIA's Langley Bio-Warfare Labs's research, looking at their own documents. That review was authorized because Bush, Sr. had sold dangerous Bio-Warfare agents to Hussein, which I ended up having to recover from Iraq. Webster, as a former judge, willing to evaluate the evidence, allowed me to research the field and write a report for him of close to 100 pages and 1000 pages of supporting documents.・・・・・

    (the below is from: http://www.alternet.org/rights/27771/)
    ★An American Already Tortured By Cheney's Team in the US
    Posted by: kunzangwangmo on Nov 11, 2005 10:16 PM

    As a coerced CIA asset, I was asked by Cheney in Aug. 2004 to frame Iran as developing nuclear weapons. Because Cheney was afraid of CIA leaks, he gave me the assignment at a Chinese restaurant in DC after hours. It was not the first meeting that I have ever had privately with him as I acted as a negotiator between him and Tenet. Within the CIA I had been an outspoken critic of US wars of aggression, ・・・・・

    I am a doctor and the assignment Cheney gave me was to go to Iran as a physician. Once in Iran, a camera crew would be filming when an Iranian agent would rush in to say that he knew a secret bunker where the Iranian govt. was developing nuclear weapons. Cheney admitted that the rest of the filming would occur in Hollywood with a mock up of said lab. Clearly, this was an immoral assignment.・・・・
    Posted by Hiro-san★ブログ主 at 2007年06月05日 03:08
    TITLE: ルービン逮捕は本当か
    http://angel.ap.teacup.com/gamenotatsujin/639.html
    『レオ・ワンタ元大使の嘆願書(バージニア州東地区米国連邦地方裁判所ファイル)の職務執行令状とアラン・グリーンスパンの逮捕に関して8大諜報機関のうち,情報提供したのは,イギリスのMI6とフランスの国防総省DGSEのDAS(Department des'affaires Strategique)という諜報機関である。僕は,すでに6月の逮捕当日の翌日,フランスの友人からの電話でたたき起こされた。友人は冷静であった。僕は,チェイニーのスケープゴートだろ,というとC'est pas vraiという。フランス語では,否定形が肯定形なのである。まさしくそうだという意味である。友人はいつものようにほろ酔い加減であった・・・・』
    Posted by Hiro-san★ヒロさん日記 at 2007年07月02日 06:40
    TITLE: ワンタ事件はガセですよ
    ポールソンがつかまったということも彼は書いていましたね。つかまってないじゃないか・・・。たぶん、ガセネタ。
    Posted by アルルの男・ヒロシ at 2007年07月02日 10:44
    TITLE: >ワンタ事件はガセですよ
    はいはい、以下のブログを参考にしてください。
    http://amesei.exblog.jp/4681692/
    「International Currency Review」は、あたかも実証を積み上げているかのように記述が細かいので、疲れるサイトですね。Tom Floccoとか、Renseの方がまだマシかしら。
    Posted by Hiro-san★ブログ主 at 2007年07月02日 17:45
    TITLE: ドキュメンタリー:CIA高官の証言「イラクに大量破壊兵器はなかった」
    ドキュメンタリー:CIA高官の証言「イラクに大量破壊兵器はなかった」(英語/日本語)
    http://video.google.com/videoplay?docid=-4807087594147086469
    Posted by Hiro-san★ブログ主 at 2007年12月25日 02:04
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