2006年05月14日

連立微分方程式が解けないときの「人生」の居直り方

先日、回転ゆで卵がジャンプすることを木走日記さんに教えてもらい、わが家の食卓でも「タマゴ大回転ジャンプ」が流行している。流行している、といっても、やるのは私だけで、配偶者のほうは「すごいね」と傍観するだけだし、子供は恐れをなして挑戦しない。

確かに、ゆでタマゴは食べるものであって、回すものではない。イギリスでは食卓のマナーがうるさいので、基本的に食事のときに許される遊びではない。とはいえ、今借りている家具つきの家は、食卓が結構大きいので、高速で上手に回せば、場外乱闘を起こさずにタマゴショーを楽しむことができる。

木走日記が「タマゴ大回転ジャンプ」を取り上げた理由は、私のように回して喜ぶためではなく、この運動を表す「非線型連立微分方程式」が解けたことに祝杯を上げるためである。

私も数学は嫌いではない。いちおう微分・積分は何となく意味がわかっている。日本で美容院に行ったときも「クセ毛ですね〜」と言われたので、「高校のときに微分を習わなかったんですか?どんなにカーブしているクセ毛でも、微分して短くカットすれば、直線なんですよ」と逆襲した。

生徒の心が歪んでるとか、根性が捻じ曲がっているとか、ブツクサ言っている高校の先生がいたので、「どんなに捻じ曲がっているように見えても、細かいところを(微分して)見れば、まっすぐな子もたくさんいますよ」と、かなりヒネッた説教をしたこともある。(実は私、曲線を短く切ると直線になる、という話以外、知りませんねん・・・)

そんなノリで、子供の同級生の家に遊びに行ったときに、「hard-boiled eggをspinすると、わずかにjumpするのはご存知?連立微分方程式が解けたんですってよ・・・ホホホ」とちょっといい気になって、英語で初めて「連立微分方程式(simultaneous differencial equation)」という単語を使う練習をしてみたのだが、そこの家のお父さんに軽く一蹴されてしまった。

「あっ、そう?それよりも、クマンバチが、航空力学の微分方程式では絶対に飛べないことになっているのに、飛べるんだってよ、ってこと、知ってた?」

何だって!クマンバチは飛べないはずなのに、飛んでいるとは、どういうことだ〜!!

日日光進:一日一案 1月16日 熊蜂
  アメリカ最大の企業GMの入り口に、「現代の航空力学をもってすれば、クマンバチは空がとべない」と書いてあるという。大きなずうたいと小さな羽だからである。
  三恵技研といえば、日本一の消音器(マフラー)メーカーである。マフラーについては、エンジンの爆発音をちいさくして、なおかつエンジンの力を落とさないようにと、世界中がしのぎをけずっている。ところが三恵技研の提案制度で、「マフラーの出口を角形にしたらどうか?」という案が出た。理論的には同じだが、やってみると、なんと五%も能率アップ。そこで、すぐ特許に出した。今、これが、世界中にうれているという。意外なところにクマンバチがいたのである。あなたも、身近なところで見つけよう。

研究開発の最前線では、「不可能を可能にせよ」というプロジェクトXの合言葉として、クマンバチがよく引き合いに出されているらしい。

推薦入試受験に踏み切る前に:熊ン蜂は、なぜ飛べる?
  熊蜂の姿を思い浮かべることが出来ますか?腹部が黒色で光沢があり、胸部背面に黄色の毛が密集している、あの大型のハチです。彼らの羽は、身体の大きさに比べると、極端に小さく、航空力学的には、あの図体・重さを支えて飛ぶことは不可能な大きさだそうです。けれども、彼らは自由に飛んでいる・・・。なぜ、極端に小さな羽しか持っていない熊蜂が飛べるのか・・・? 答えは一つ。彼らは、「自分は飛べる!」と信じているからです。
  もし、彼らが自分の羽の大きさを気にして考え込むばかりで、いっこうに羽を動かさなかったら、熊蜂は離陸することは出来ません。羽を動かすスピードや動かす回数を気にしてばかりいたら、重い体を支えて飛び続けることは出来ないでしょう。しかし、彼らは必死に(本能的に)羽を動かします。親蜂も兄弟蜂も先輩蜂も、みんな飛んでいる。だから、自分も飛べるはず!と信じて羽を動かしています。その時点で、羽の大きさなどは、もはや関係ありません。航空力学など机上の空論です。理屈・理論よりも「信じること」の方が大きな意味を持っていることを、この例からおわかりいただけるでしょう。

信念は岩をも通す!
思ったことは必ず実現する!
竹やりでB29は落とせる!
頑張れ、ニッポン!

ある宗教団体をめぐる掲示板
  金粉については、私は気にしないことにしている。今の科学ではまだ解明できない物理化学の現象なのだろう。後生の科学者に期待するよ。
  知ってるかい。今の航空力学では、熊蜂は飛べないんだってさ。現代工学ではあの体では理論的に飛べないことになっている。しかし、現に熊蜂は飛んでいる。そういうこともあるので、わからないことは気にしないことだと思う。
  黙示録は、これもどうとでも解釈できる内容のものなので、気にしなくていいんじゃないかな。

ある宗教団体で「金粉」が降る現象がある。でも結局、本当のことはわからない。聖書の「黙示録」の解釈はいろいろある。でも結局、本当のことはわからない。クマンバチは飛べないはずなのに、飛んでいる。でも結局、本当のことはわからない。だから、わからないことは気にするな。

Wikipedia(English):Bumblebee
A long-held myth of the bumblebee was that, in terms of theoretical aerodynamics, it did not have the capacity (in terms of wing size or beat per second) to achieve flight with the degree of wing loading necessary. This myth became popular after an aerodynamicist in the 1930s stated that a bumblebee was not capable of flight. The statement was based upon an assumption that the bee's wing could be treated as a static aerofoil. However, in reality the bumblebee's flight is characterized by an oscillating wing that shares more characteristics with a helicopter rotor than an aeroplane wing.

何と、クマンバチ飛行問題は、1930年代以来のミステリーになっているではあーりませんか!航空力学の微分方程式では、クマンバチの羽を「静止翼」のように扱っているが、実際はヘリコプターのように回転している、という話だ。

追加:「bumblebee」は正確には「マルハナバチ」。ハナバチ(=ミツバチ、マルハナバチ、クマバチなど)の全般が「飛べない」という話だが、とりあえず「クマンバチ」を代表選手にしております)

Apologetics Press:The Flight of the Bumblebee(2004)の記事を元に、最先端の研究成果を簡単にまとめると次のようになる。

  • 航空力学に反しているということは、微分方程式のモデルが間違っている。
  • クマンバチ疑惑の発端は1934年に遡り、フランス人昆虫学者 Antoine Magnan が言いだしっぺ。
  • クマンバチの羽は、1秒間に300〜400回振動している。羽先は楕円形を描いて回転しており、通常の羽の上面は、羽を下げるときは上を向いているが、上げるときは下を向いている。
  • このような羽の動きで乱気流が発生する。固定翼の航空機では失速の原因になるが、昆虫はこの乱気流を何らかの形で「揚力」として活用している。

  • という話だそうだ。鶴を真似てクレーンができ、鳥を真似て飛行機ができたのだから、クマンバチを真似れば何ができるのかなぁ。神秘、神秘。

    最後に、微分方程式と人生について。

    微分方程式っていうやつは、それをホニャララと解いて「方程式(関数)」を求めるわけなのだが、制約条件をたくさんつけてあげないと、解けないそうである。今、人生でさまざまな「制約」を感じて生きている人は多いと思うのだが、たくさんの「制約」があればこそ、その解は絞られて、方向が決まっていくのだ。

    「恋愛の方程式」ごときで悩みなさんな。そんなチンケな方程式ではなく、クマンバチのごとく飛翔して、不可能を可能にするような、人生の超絶「連立微分方程式」を解こうではあ〜りませんか!

    posted by ヒロさん at 08:32 | Comment(8) | TrackBack(0) | サイエンス+数学
    この記事へのコメント
    TITLE: コンドルは飛んでいく
    コンドルはグライダーのように風に乗って舞うけれど、自力で飛ぶことはできないそうですよ。日本テレビの科学情報番組、所さんの目がテンでやってたんですけど、聞かされてあのサイモンとガーファンクルの名曲はどうする?って思いました。
    Posted by Kawai Oyaji at 2006年05月14日 09:45
    TITLE: 「乱流翼」
    趣味際的模型航空 「乱流翼」について
    http://shumisaijinn.cocolog-nifty.com/blogs/2005/08/post_c2b5.html
    Posted by えの at 2006年05月14日 10:18
    TITLE: 恐竜だって・・・
    そういえば、恐竜だって歩けるはずないんだってね〜。でも化石はあるし、不思議不思議。
    Posted by ひるこ at 2006年05月14日 15:03
    TITLE: 飛行機とコンドルはなぜ飛ぶのか
    http://plaza.rakuten.co.jp/kazwaka/diary/20060222/
    『例えば、紙を口の前に横にして持ってきて、上側をふーっと吹くと、紙が息を吐いているほうへ浮き上がります。これはまさに、ベルヌーイの定理というもので、早く空気が動いているほうへ揚力が働くのです。ただそうは言っても飛行機が飛ぶのは、いろいろ理由があるそうで、科学者の間でも未だにそれが論争されているとの事。(つまり飛行機の設計は経験則に基づいている部分も多分にあるってことなんだそうです。)』

    飛行機がなぜ飛ぶのかも、厳密な話をするとよくわかっていないのですけど。
    Posted by Hiro-san★ブログ主 at 2006年05月14日 17:13
    TITLE: ヒコーキは飛ぶわけはない
    あれは直前に、「おまえは飛べるんだ、飛ぶんだ」とヒコーキに呪術をかけているというジョークがありますね。
    Posted by グリフイン at 2006年05月14日 20:37
    TITLE: 熊蜂・ヒコーキと来たら・・・・
    【Peaceboatは何故沈まない?】だって研究価値が(ry

    英国は食事のマナーを厳しく(煩く)躾けて味の悪さを誤魔化すのか、それとも味の不味さを忘れるためにマナーが厳しいのか(ry
    Posted by ちゃねらー at 2006年05月15日 13:07
    TITLE: マルハナバチでは
    クマンバチ、熊蜂とされていますが、bumblebeeはマルハナバチと訳されるのではないでしょうか。マルハナバチは、努力する事の大切さを表すシンボルになっていると記憶していましたので、クマンバチと云う表記に違和感を感じました。
    Posted by ogu at 2006年05月20日 09:50
    TITLE: bumblebeeの正体
    >クマンバチ、熊蜂とされていますが、bumblebeeはマルハナバチと訳されるのではないでしょうか。

    なるほど、マルハナバチが正確ですね。「bumblebee」といういうのは、ミツバチ(bee)よりもう少し大きくて、まん丸くて、ケバケバしているやつですね。イギリスでは「bumblebee」は小学低学年でも知っていますが、日本で「マルハナバチ」の定着度はどうなのでしょう。

    今回の「飛べない」の話は、ハナバチ(ミツバチ、クマバチ、マルハナバチ)全般の話なんですね。ですから「ミツバチ・ハッチは飛べない」でもいいんですけど、クマバチのような重量感のあるハチのほうが、「飛べない話」に向いているので、クマバチを選びました。あとで考えて、訂正を入れておきます。

    マルハナバチ
    http://homepage2.nifty.com/takibi_club/hachi/maruhana.html
    ハナバチ(ミツバチ、クマバチ、マルハナバチ)
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%8A%E3%83%90%E3%83%81
    Posted by Hiro-san★ブログ主 at 2006年05月20日 11:35
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