ヒゲモジャのスペイン人いわく、「オヒノ」である、と。これはスペイン語発音なので、正しくは「オギノ(Ogino)」である。基礎体温法・リズム法という「オギノ式避妊法」を世界に知らしめた荻野久作である。
避妊では世界の先進国かと思われた日本だが、小説の世界ではだらしのない「妊娠→中絶」が横行している。先日読んでみた斎藤美奈子の『妊娠小説』は、実のところ「中絶小説」と呼ぶにふさわしい。「望まない妊娠」のほとんどは「中絶」に行き着くからである。
この『妊娠小説』では、「中絶」がからむ青春小説・恋愛小説を以下のように分類している。基本形は「生みたがる女」と「生みたがらない男」の対立構図であり、「メンズ系」とは男性主人公の視点で語られる小説、「レディス系」とは女性主人公の視点で語られるものをさす。
■メンズ系「青年打撃譚」(青年成長譚)
放逸な行動を取る男性主人公が、「受胎告知」で頭をガーンと殴られ、「中絶」によって2人の関係が悪化し、その不幸から立ち上がっていく苦々しい小説である。
■メンズ系「浮気男疲労譚」
中年男がアバンチュールに走るが、「中絶」によって浮気にも生活にも疲れていくパターンである。20代のギンギラギンはもはや存在しない。
■メンズ系「恋愛挫折譚」
男性側も一旦は生むこと決意するが、連ドラによくあるような不幸な事件(彼女の病気、階段からの転落、交通事故など)によって、流産となり、2人の関係も悪化していく。
■メンズ系「中絶疑惑譚」
これは「中絶」に同意して別れた女が、後から子供を連れて再登場するというもの。この類型では、山田太一の『丘の上の向日葵』もこれに入るかもしれない。
■レディス系「おぼこ娘自立譚」
「中絶」をバネに(テコに)して、男から決別する物語。メンズ系とは違って、男を捨てて、あっけらかんと成長していく、フェミニスト向きのすがすがしい展開である。
■レディス系「妊娠無情譚」(中絶したいけど、できない!)
ヤミ堕胎医が見つからず、悲惨な流産を迎えたり、生活が破綻していく物語。安易な交わりを後悔し、自らを罰するように追いつめられていく。女性としては、こういう目にだけは遭いたくないストーリーだ。
いずれの小説も、「中絶」か「流産」で痛い目に遭って初めて目覚めるストーリーになっており、避妊の配慮にとぼしい「青少年有害指定図書」である。ただし「反面教師」としての教育的効果はあるかもしれない。もっとハラハラ、ドキドキさせる展開の中に「有益な知識」が埋め込まれた「避妊小説」はどこかにないものであろうか。(保健体育の教科書よりも面白いヤツ)
一方、「有益な知識」を与えられると、実戦で試したくなるのも人の常である。そんな余計な知識よりも、人を大切にすること、異性を大切にする気持ちを育む「エッチなしの純愛小説」も、チェックしておきたいところだ。
◆bk1はてな 舞台が『現代』以外の純愛小説でお勧めのものがあれば教えてください。ファンタジー調や時代物など、現代以外であればなんでもOKです。【抜粋】
・三島由紀夫 『春の海』
・アンドレ・ジイド 『狭き門』
・恩田陸 『ライオンハート』
・尾之上浩司 『ある日どこかで』
・藤沢周平 『蝉しぐれ』
・ホール・ギャリコ 『ジェニィ』・・・・猫になった少年とメスネコとの恋愛
・国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯・酒中日記』
・小泉八雲 『青柳のはなし』(『小泉八雲集』収録)・・・・15世紀
・高樹のぶ子 『イスタンブールの闇』・・・・16世紀
・京極夏彦 『嗤う伊右衛門』・・・・江戸時代
・井辻朱美 『銀色の恋人』
・樋口一葉 『にごりえ・たけくらべ』
・モンゴメリ 『赤毛のアン3』
・チェーホフ 『桜の園・三人姉妹』
・トマス・ハーディ 『テス』
・福永武彦 『草の花』
・幸田文 『おとうと』・・・・姉弟愛
・デュマ 『椿姫』
・眉村卓 『わがセクソイド』・・・・人間とロボットとの恋愛
・唐十郎 『青春牡丹灯籠』
・三島由紀夫 『潮騒』
・・・・・
・アンドレ・ジイド 『狭き門』
・恩田陸 『ライオンハート』
・尾之上浩司 『ある日どこかで』
・藤沢周平 『蝉しぐれ』
・ホール・ギャリコ 『ジェニィ』・・・・猫になった少年とメスネコとの恋愛
・国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯・酒中日記』
・小泉八雲 『青柳のはなし』(『小泉八雲集』収録)・・・・15世紀
・高樹のぶ子 『イスタンブールの闇』・・・・16世紀
・京極夏彦 『嗤う伊右衛門』・・・・江戸時代
・井辻朱美 『銀色の恋人』
・樋口一葉 『にごりえ・たけくらべ』
・モンゴメリ 『赤毛のアン3』
・チェーホフ 『桜の園・三人姉妹』
・トマス・ハーディ 『テス』
・福永武彦 『草の花』
・幸田文 『おとうと』・・・・姉弟愛
・デュマ 『椿姫』
・眉村卓 『わがセクソイド』・・・・人間とロボットとの恋愛
・唐十郎 『青春牡丹灯籠』
・三島由紀夫 『潮騒』
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これは必ずしも「エッチなし」ではないが、現代以外の「純愛もの」でのお奨めだそうだ。私の個人的なお奨めは、『狭き門』と『ジェニィ』。小説ではないが、純愛系でこれから読みたいものは、愛新覚羅 浩著『流転の王妃の昭和史』(自伝)と、高村光太郎著『智恵子抄 改版』ですね。
■その他、もっといろんな「○○小説」に挑戦したい方のために・・・
×「生みたがらない男」
○「生ませたがらない男」
日本語を大切にw
校正ありがとうございま〜す。
>×「生みたがらない男」
>○「生ませたがらない男」
>日本語を大切にw
子供は女だけで生むものと勘違いしておりませんか?想像力を大切にw
(ちなみに「生みたがらない男」は、斎藤美奈子の用語なんですよ。)
三島由紀夫の『背徳のよろめき』は『美徳のよろめき』に直しておきます。
「中絶小説」うわ、すごいタイトル。
ちょっと前は「エイズ小説」「エイズ演劇」がさかんに作られました。
もっと前だと「梅毒小説」もたくさんありますね。