ラテン十字架(パッションクロスとも言う)が今ではキリスト教の主要なシンボルとなっているが、6世紀まではキリスト教美術には現れていなかった。キリスト教の時代より遥か昔においては、この十字架は、ヨーロッパや西アジアにおいては、異教のシンボルであった。初期キリスト教徒たちは、それが異教のものであったために、排斥さえした。3世紀のキリスト教会の神父であったミヌキウス・フェリクスは、キリスト教徒たちがラテン十字架を崇拝することに憤慨して、次のように言った。「お前たち、それでは異教徒ではないか。木の十字架を崇拝するなんて、それはまさに異教徒のすることだ……お前たちの記章や旗や標識と言えばただぴかぴかの美しい十字架だけではないか。そしてお前たちの勝利の記念品はただの十字架だけではなく、その上に人間を乗せている」
十字架がキリスト教のシンボルとして使われ始めるのは、キリスト教がローマ帝国の国教となった4世紀以降のことである。タテ長の十字架を「ラテン十字架(passion cross)」というが、3世紀までの主流は、タテヨコが同じ長さの「ギリシャ十字架」であった。
円形の中に十字形を内包する文様は「ヴォータンの十字形(Wotan's cross)」と呼ばれ、太古の昔から使われている。「ケルトの十字架」では、輪つきのタテ長十字架が使われている。十字に円形の回転運動を加えると、風車やかざぐるまのように回りはじめるが、これを象徴しているのが「卍(まんじ)」である。「卍」の場合は、カギが左回り(逆時計回り)に伸びているが、右回りの方は「スワスティカ(swastika)」と呼ばれ、これを45度傾けて、ナチス・ドイツの「ハーケンクロイツ」紋章がつくられた。
窓の杜:マイクロソフト、「Microsoft Office 2003」からハーケンクロイツの記号を削除(2004/2/13)
マイクロソフト(株)は11日、同社製品「Microsoft Office 2003」に付属している記号フォント“Bookshelf Symbol 7(以下、Bssym7.ttf)”から不適切な記号を削除するツールを“重要な更新”として公開した。同ツールを実行すると“Bssym7.ttf”から、寺院記号の卍(まんじ)とは回転方向が逆向きの“逆卍”、逆卍を45度右方向へ回転させた“ハーケンクロイツ”、正三角形と逆三角形を組み合わせた星形の“ダビデの星”という3つの記号が削除される。<中略>
削除されたのは「特殊記号」としての「右回りまんじ」なので、日本語IMEから「卍」が消滅したわけではない。それにしても物騒な話である。「ハーケンクロイツ」はユダヤ人に配慮して削除し、「ダビデの星」はイスラム圏に配慮して削除したのだろうが、とっばちりを食ったのは罪なき「右回りまんじ(逆まんじ)」である。ウィキペディア:「卍」から、おもしろそうな部分を拾ってみた。
卍の由来は諸説ありヒンドゥー教ではヴィシュヌ神の胸の旋毛(つむじ)、仏教では釈迦の胸の瑞相が由来で、左旋回の卍は「和」の元といわれ、右旋回の逆卍は、「力」の元といわれる。名前の「まんじ」が暗示するように、「万」の元ともいわれる。
「卍」と「万」という字は似ている。とくに「逆卍」の場合はそっくりである。
中国には仏典を通して伝わったが、音訳で「室利靺蹉」、意訳で「吉祥喜旋」「吉祥海雲」などと漢訳された。鳩摩羅什や玄奘はこれを「徳」で訳したが、北魏の菩提流支は『十地経論』のなかで「万(萬)」で訳している。武則天の長寿2年(693年)、「卍」字を「万(呉音:マン;漢音:バン;ピンイン:wa`n)」と読むことが定められた。
「卍」は記号ではなく漢字である。日本では「卍山下(まんざんか)」という苗字がある。宮下あきらの『魁!男塾』では「卍丸」というキャラクターもある。
日本では、寺院の象徴として地図記号にも使用されている。認識の相違から起きた事件として、ポケットモンスターのカードゲーム用カードに卍が印刷されていたため、欧米ではデザインが変更されたことがある。また日本の少林寺拳法が、ヨーロッパでの普及にナチスのイメージが付きまとう等の理由から卍のマークを2005年度より新マークへ変更した。
これは過剰な「自主規制」だ。キリスト教が嫌いだからといって、算数から「+」記号を撤廃するようなもの。「日の丸反対」の日教組に配慮して、「日の丸弁当」を自主規制するようなものだ。
フィンランドでは1918年から1944年まで鈎十字に類似した「ハカリスティ」が空軍および陸軍の国章として使用された。青いハカリスティはフィンランド内戦中、白軍に最初の航空機を寄贈したスウェーデンの伯爵エリック・フォン・ローゼンによって使用された幸運のシンボルだった。青いハカリスティはナチスのハーケンクロイツとは無関係であった。現在もフィンランドのメダルおよび装飾物に目立たない形で使用されている。
第2共和制のポーランド(1918-1939)でも、山岳歩兵部隊などで「逆卍」は使われていたという。古き良き、吉祥と幸運のマークであればこそだ。
スワスチカ(Swastika)は、カナダのオンタリオ州北部に存在する町の名である。トロントの北およそ580Km、カークランド湖の5Km西に位置し、1906年に成立した。近くで金鉱が発見され、スワスチカ・マイニング・カンパニーが1908年に設立された。オンタリオ州政府は第二次大戦中に町の名を変更しようとしたが町は抵抗した。
日本の地名でいえば、東京都の吉祥寺あたりか。神道系新宗教の人が、長野県の諏訪は「スワスチカ」の語源で世界の回転の中心である、と言っていた。にわかには信じがたいが。
第二次大戦の直後、いくつかのアメリカインディアンの種族は、美術品に卍を使用しないとする法令に署名した。卍がナチをイメージすることによるものだった。
禁止されたのは「逆卍」だけなのか、それとも「正卍」も対象になったのか、興味がある。かざぐるまも書いてはいけないのか?
『卍』 谷崎潤一郎の小説。昭和39年(1964年)、大映にて映画化された。
監督:増村保造 脚本:新藤兼人 出演:若尾文子、岸田今日子、川津祐介、船越英二、山茶花究
監督:増村保造 脚本:新藤兼人 出演:若尾文子、岸田今日子、川津祐介、船越英二、山茶花究
青森県弘前市の市章として採用されている。青森県西部を領地としていた津軽氏の旗印として採用されていたため、それを採用したようである。
弘前の『卍』市章に抗議する外国人がいると聞くが、余計なお世話である。
最後に、ウィキペディアに、アントニオ猪木の「卍固め」が記述されていないのが気になる。なぜだ? 猪木といえば「メルクリウスの蛇」もお忘れなく。
■お奨め1:「まんじ」にもいろいろある。それぞれのシンボル解説はSymbols.com:Group 15へどうぞ。
■お奨め2:「えの」さんのご推奨サイト=トマソンお地蔵さんの「卍コレクション」
■つぶやき:ハーケンクロイツの画像名を「Naziswastika」にすると、画像を表示できない。ブログ・プロバイダーの自主規制か?(「GermanSwastika」では表示可)
卍の話なら、葛飾北斎の最晩年のペンネーム、画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)もお忘れなく。て、どこかのゲームのキャラクターみたい(^^ヾ
元々はインドを始めとした世界各地で使われていたシンボルであるSwastikaをヒットラーはなぜナチスのシンボルとして利用したのかについて。
http://www.intelinet.org/swastika/
ウェールズとケルト?
http://members.aol.com/Cirmyc/celticwales.html
ユーラシアの美術交流 ケルトから視る(鶴岡真弓)
http://www.wako.ac.jp/souken/touzai02/tz0204.html
No Pussyfooting(Brian Eno & Robert Fripp)
http://neo.main.jp/no.html
1.Heavenly music corporation
2.Swastika girls
聖処女13騎士団
http://www.ne.jp/asahi/abyu/abe/seishojo.html