最近『Economist』を定期購読し始めたが、英文雑誌の定期購読は十数年ぶりである。『Economist』はなかなかよい。カナダの選挙の話や、カザフスタン、スーダン、国連改革、イラン情勢など、少なくとも日本語のブログやニュースを読んでいる限りにおいては、理解が深まりにくい話がキャッチできる。
この1年私が「定期購読」してきたのは、ネット上の数十のブログであった。時事系のブログ、韓国トンデモ専門のブログ、海外生活を中心としたブログなどいろいろだが、出てくるテーマは、何が飛び出すのかわからないほど「多様」で「拡散的」である。
ネットでは、検索を使って1つのテーマを「徹底追及」することもできるが、検索をすると次から次へと「意外な話」にぶち当たるので、1つのテーマに関して、まとまった形で「読める量」は少ない。読みながら下線を引いたり、欄外にメモを取ることもできない。長時間がんばると、体の姿勢が固定され、目の負担も大きい。じっくりと1つのテーマを掘り下げるときは「紙の読書」も必要だ。
1日4時間、自由時間があったら何に使うだろうか?ほとんどインターネットに張りつく。いや、2時間はテレビ、残りはネット。だめだめ、読書に3時間、ピアノに1時間、ネットは会社で見るだけ・・・と人さまざまだが、私としては「紙の読書」の時間をもっと増やそうと考えている。
『Economist』もこの「紙の読書」の仲間入りをしたわけであるが、自分の無知には驚きの連続である。記事を読むと、いろんな「形容詞句」で満ち溢れている。たとえばASEAN(東南アジア諸国連合)の記事を読むと、「the 10-nation ASEAN」となっていて、ん? アセアンって5ヵ国じゃなかったの? とあまりにも古い知識が修正されることになる。(参考:アセアンに関する基礎知識)
「Universal Pictures, a studio owned jointly by General Electric and Vivendi Universal」 と書いてあると、ユニバーサルはGE系列だったのか、とうなずいたり。ウォルマートの記事で「the global employer of 1.4m people」とあると、先日DVDを買ったあのウォルマートには、世界中で140万人がぶら下がっているのか、へーっ、と思ったり。「Volkswagen, Europe's biggest carmaker」とあると、フォルクスワーゲンがトップなんだ、ルノーやダイムラーベンツじゃないんだ、納得したり。
書評は少ないが、本のリストは山ほど紹介してくれる。サイエンス系の話では「動物界で、オスの精巣の重さと脳の重さは反比例しており、オスの精巣の重量はメスの淫乱度に依存する」という面白い記事もある。→Economist:「Bats and balls -- Bigger testes mean smaller brains」(2005/12/8)
これらはすべてトリビア的な知識だが、この手の知識ベースの積み重ねは、じわじわといろんなところで生きてくる。先日は「ユーロ」の話を読んだが、私はイギリスにいるので、そういえば「ユーロ」なる紙幣やコインは見たことがなかったので、ネット検索すると、ユーロというコインは表のデザインは同じだが、裏は発行国で全部異なることを最近知って驚いていたりする。(参考:Euro Coins)
『Economist』は見出しにひねりが利いていて、これを理解できれば「上級者」ということになるが、文体はとてもよい。『Time』はスタイルにクセがありすぎるし、『Newsweek』はアメリカに偏りすぎている。両者とも日本関連の記事は、NYTのオーニシほどひどくはないにしても、ロクなものがない。「英語の勉強のため」にジャパン・タイムズを取っている人もいると思うが、「KYODO(共同)」発の記事は歪みまくっているし、文体はジャーナリズム用の紋切り型なので、入れ込むのはほどほどにした方がよい。
海外のメディアが日本をどう扱っているか、外国語のできる日本人はみんな気になっている。以前、この需要にこたえる商売をしたことがあって、世界7ヵ国語の新聞15紙、週刊誌40誌のすべての記事に目を通して、日本関連の記事を全部教えてあげる、顧客から要望があれば「要約」という形で翻訳もしましょう、ということをしていた。(著作権スレスレの危ないお仕事ではあるが)
スタッフはフリーランスを含めて40人くらいに手伝ってもらっていた。もちろん「日本関連」だけは人件費が成り立たないので、数十の多重サービスの1つが「日本関連」だったわけだが、この仕事をしていると面白かったのは、日本の新聞社や週刊誌が、海外の記事をこっそりつかって、数日後あるいは1〜2週間後に「特集」や「コラム」を書くのが、いつも見え見えだったことだ。
ネット時代になって、新聞雑誌の情報収集の「構図」もすっかりと変わってしまった。読みたいニュースサイトは何百とあるが、とりあえず1つ『Economist』という屋台骨をつくってみることにしよう。「紙の読書」で気になることが出てきたら、ネットでさらに深めればよい。
英語の勉強と日本事情チェックの一挙両得を考えている人は、Economist.comで「Japan」と入力して、毎日1本印刷して読むのもお奨めである。(ただしネットで自由に読むのは有料。私は「紙の購読」&「ネットの購読」の両方ができるオプションを申し込んでいるので、念のため)
■追加:過去の記憶で『Time』の悪口を書いたが、『Time』もそんなに悪くないかもね・・・。この記事はよかった。→TIME.com:「Why China Loves to Hate Japan」(2005/12/10)
2005年12月13日
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教養のためのTIME・Economist
Excerpt: 最近毎週TIME誌を読んでいます。日本にいると、とかく国内の出来事にだけ目を向けて、世界は今どうなっているのかということをあまり考えなくなります。確かに世界の出来事など、私たちの生活には直接関係が無い..
Weblog: これは効く!おすすめ英語教材大全集(MBA/TOEFL/TOEIC/英会話)
Tracked: 2007-02-10 22:08
>海外の記事をこっそりつかって、数日後あるいは1〜2週間後に「特集」や「コラム」を書くのが、いつも見え見えだったことだ。
このケースを先月末に発見してすごくびっくりしたのですが、普通にやっていることなんですか!?
私が発見したのはほぼ、丸写しに近い形のもので、事実、写されたほうは「突然、盗用された。」と言い切ってるんですね(写したほうは「提供を受けた」としらきり通してますが・・・おそらく私が何も知らないと思っているのでしょう。)
著作権の問題とか大丈夫なんでしょうか? (すいません。メディアのこの辺の事情には疎いんで・・・)
私はネットでなにか検索すると「枝」の部分で面白いものが見つかること多いので拡散していくことが多いです。
産経新聞が「memri」の記事を盗用(登用?)したのではないか、という事件ですね。
http://hasia.exblog.jp/3788246
---<引用開始>
ご指摘にもありましたように、11月17日付の産経新聞3面<仏暴動 中東
では賛否両論>の記事は、中東報道研究機関MEMRIから産経新聞が提供を
受けた中東関係メディアの論調の要約を参考にカイロ支局がチェックし、まとめた
ものです。この旨は21日付産経新聞・国際面の仏暴動関連記事とともに
「おことわり」として明記し、読者にも告知しました。
産経新聞はこれまでにもMEMRI関係者と意見交換するなどの関係にありますが、
今回の件についてはご指摘の後、MEMRIの代表者と改めて連絡をとり、
上記の「おことわり」の掲載を伝え、了承いただきました。
---<引用終了>
大手マスコミの「海外取材」なるものは、海外の記事を翻訳することが主な仕事ですからね〜。でも翻訳・要約したなら、ソースをつけてもらいたいものです。「著作権」なるものは、「侵害された」と感じる側が訴えたときに問題になるもので、特に言語をまたいだ「翻訳」による著作権、とりわけ「要約」の著作権は、かぎりなくグレーで、野放し状態です。産経もヤバイと思ったのでしょう、『MEMRIの代表者と改めて連絡をとり、上記の「おことわり」の掲載を伝え、了承いただきました。』のように、事後承諾ですみませんが、参考にしました(盗用しました)、と連絡を入れております。
イギリスでちまちま読んでいるヒマ人(seven seaさん、失礼!)から指摘されようとは、夢にも思わなかっただろうね、産経のカイロ支局さん。
これイコールだとするとネットで手に入る時代になにも現地に取材に行かなくてもいいような気が・・・(笑)
確かに読んでいるほうにすると、要約や引用のソースはつけてほしいですね〜。 もっというと、オリジナルで勝負してほしいですね。 なんかフィルターかかっちゃいそう。
まぁ発見したのはまったくの偶然だったのですが、ちょっと小耳に挟んだところによると、同様の指摘が何件かあったらしく私が問い合わせを行ったときにはすでにワシントンの本部までこの件は届いていたらしいです。 ちなみにmemriからは「産経新聞とはスタッフのやり取りや意見の交換を行った事実はない」という回答が帰ってきました。
・・・・私、しーらないっと(笑)
まぁ、はっきり言えば、国内の競合同士だと問題になるから気をつけるけど、海外だったら何をいわれようと、どうせ海の向こうだからばれないだろうという、ある意味一本スジの通った、「引用」ぶりだと思ったことは思いました(笑)
(なるほどグレーな件だったんですね)
著作権って意外と思ったよりグレーなんですね〜。 ちなみにエコノミスト、よく本屋さんで立ち読みします。 問題はなぜかエコノミストの隣が、ポルノ(に近い)雑誌コーナーなの・・・そちらについつい目・・ではなくて男汁むんむんな男性が隣にいたりしてなかなか笑えるものがあります。
私も先月より購読開始しました。
東アジア関係でもなんにしても、冷静な視点でゆがみが無い感じがします。
あと、定期購読者はWEBで過去記事を検索できるのもうれしいですね。
管理人様のいわれるとおり、海外だったらばれないというのは良い線をついていると思います。(私もビジネスではないですが、引用翻訳ギリギリでやっていることもあります)しかし、Economistは一応自分のことをNewspaperと名乗っておりますので、あくまで「新聞」です。私は、IHTとFTとWSJを購読しておりますので、一週間で時間の無いときにEconomistを読むようにしています。情報の収集の基盤を最近、Financial Timesに置くと良いのではないか、と個人的には思っています。朝日新聞が販売している、IHTはフランスの本社が書いている記事は、深みがあるものの、Newyork Timesの転載記事は底が浅いようです。
日本では海外メディア翻訳雑誌「クーリエ」が発売されたものの、記事には日付が入っていないので原文にあたることが困難であり、講談社も何も判っていないと慨嘆した覚えがあります。
アルルの男・ヒロシさん、ようこそ。日本にいるときは一時フィナンシャル・タイムズを購読していたのですが、あれを読み始めると他の仕事ができなくなります。あの「オレンジ色」の紙面は、麻薬のようにクセになります。いつ読まれるかわわからない新聞の山が毎日たまっていくのは、精神的にもよくありませんので、いまはEconomistが精一杯です。そうですか、Economistは週刊新聞のつもりですか。Newspaperとmagazineの定義のちがいは何なのでしょうね。
最近アルルさんのブログに行っていませんので、そろそろ突入しましょうか。アルルさんところでは、911ドキュメンタリ「Loose Change」は取り上げたのでしょうか・・・。
管理人さま、FTはハマると大変ですね。私も「積ん読」で精神衛生上よくない経験を確かに何度もしました。しかし、さすがは「ロスチャイルド家のお買い物新聞」だけあって、欧州系企業のネタは唸るものばかりです。最近もロスチャイルド家のベルギー分家のランベールの流れを汲む投資ファンドの記事が出たばかりで、スクラップに余念がありません。このファンドはSUEZの大株主になっております。GBLでユーロネクストに公開されております。例の動画はダウンロードしました。じっくり拝見させていただきます。
それにしても、マイケルムーアがハリバートン株の件は爆笑でした。