2005年07月22日

ロンドン爆破テロ:英政府「自作自演」説が早くも大人気

ロンドン爆弾テロから5日後の報道 CBC News:「Evidence indicates 4 suicide attackers carried out London bombings」(2005/7/12)では次のように報じていた。
  • 「自爆犯」の4人のうち3人は、West Yorkshires州Leeds市に住むパキスタン系イギリス人。(同市の市議会員がAP通信にコメント)
  • 4人はレンタカーでLuton(ロンドン北50キロ)に向かい、ここから列車に乗り、ロンドンのKing's Crossへ。
  • 8:30頃、King's Crossの構内監視ビデオが4人の映像をとらえる。

  • 最初の4日間は「1つの可能性」としてノーコメントだった警察当局も、イスラム過激派による「自爆説」を肯定し始めた。リーズ市の6ヶ所で家宅捜査が行われ、「自爆犯」と見られる4人のうち、少なくても3人はこのリーズ市のパキスタン系イギリス人であることが判明した。

    その後、この自爆説を有力とみる報道が進み、犯人4人やその協力者たちの名前も明らかにされる。

    毎日:<ロンドン同時テロ>事件に関与は8人か 未解明の疑問も(2005/7/17)【抜粋】
    自爆犯の4人:
  • モハメド・サディク・カーン容疑者(30)…エッジウェアロード駅付近の爆破に関与
  • シェへザド・タンウィール容疑者(22)…リバプールストリート駅付近の爆破に関与
  • ハシーブ・フセイン容疑者(18)…バスの爆破に関与
  • ジャーメーン・リンゼー容疑者(19)…キングズクロス駅付近の爆破に関与
    爆弾製作の協力者:
  • マグディ・ナシャル容疑者(33)…爆発物製造に関与(警察は未公表)

  • 爆破犯3人と爆弾製造関与1人(マグディ・ナシャル容疑者)が、リーズ市在住のパキスタン系イギリス人。ジャーメーン・リンゼー容疑者のみが、ジャマイカ系イギリス人である。

    ◆ソース同上
     一方、16日付のミラー紙はルートン駅からロンドンに向かう際に実行犯が往復切符を購入し、車の駐車料金も前払いしたと報じた。死を覚悟したはずの自爆テロリストらしからぬ行動で、同紙は「時限式の爆弾と聞かされていたが、即座に爆発したのでは。首謀者は実行犯の口封じを図ったのだろう」との捜査関係者の見方を紹介した。

    このミラー紙(Mirror)では、1)なぜ列車の往復切符? 2)なぜレンタカーの駐車チケットを律義に払う? 3)自爆の前に「アッラーは偉大なり」という言葉を聞いたものはいない、4)自爆ならば、どうして爆弾を体に巻きつけず、リュックを使うのか? などの疑問を挙げている。

    爆破犯の4人は「自爆」ではなく、「タイマーをセットすれば逃げる時間がある」と指示されて、嵌められたのではないか、という推測が強くなってくる。で、誰に嵌められたのか、ということだが、イギリス政府当局も絡んでいる可能性が出てきた。爆破事件のあった当日の夕方、BBC Radio 5 で次のようなインタビューが流されたという。

    ◆ネットソース:Prison Planet Com:London Underground Bombing 'Exercises' Took Place at Same Time as Real Attack (2005/7/13)
    POWER: At half past nine this morning we were actually running an exercise for a company of over a thousand people in London based on simultaneous bombs going off precisely at the railway stations where it happened this morning, so I still have the hairs on the back of my neck standing up right now.
    HOST: To get this quite straight, you were running an exercise to see how you would cope with this and it happened while you were running the exercise?
    POWER: Precisely, and it was about half past nine this morning, we planned this for a company and for obvious reasons I don't want to reveal their name but they're listening and they'll know it. And we had a room full of crisis managers for the first time they'd met and so within five minutes we made a pretty rapid decision that this is the real one and so we went through the correct drills of activating crisis management procedures to jump from slow time to quick time thinking and so on.

    インタビューに答えたのは、ロンドンのセキュリティ・コンサルティング会社(Visor Consultants)の経営者Peter Power氏だ。彼はイギリス警察の元高官で、テロ対策班に従事した経験もある。彼の証言によると、従業員1000人のある会社に対して、7月7日の当日、まったく同じ時間帯に、地下鉄爆弾テロを想定した非常事態訓練を行っていたという。しかも「テロを想定していた駅(複数)がまったく同じだったので、今でも鳥肌の立つ思いだ」というのだ。

    これが本当だとすると、イギリス情報機関による「自作自演説」がこれから執拗に続くことになる。なにしろ、「全く同じ時間帯にテロ対策プログラムを行っていた」というパターンは、2001年9月11日の朝の、まったく同じ時間帯に、ペンタゴンが航空機ハイジャックテロを想定した演習を行っていた(=そのため、空軍機は緊急発進しなかった)というパターンと重なり合うからだ。

    イギリス政府による「自作自演」の陰謀を疑う人たちは、以下のように推理している。

    Paul Joseph Watson:How the Government Staged the London Bombings in Ten Easy Steps 【要約】
  • 危機管理会社を雇い、まったく同一パターンのテロを想定した演習を行う。万が一「アラブ人」が事前に捕まった場合は、警察に対して「彼らは演習の参加者だ」と説明する。
  • 4人のアラブ人を雇い、「ロンドンをテロ攻撃から守るための重要な訓練」に参加してもらう。
  • 確実にビデオカメラに映る場所に、4人を集合させる。
  • 留守中に彼等の自宅に「爆発物」などの証拠を残す。
  • 爆発予定地には、内密に「事前予告」をし、テロに巻き込まれないように警告する。この情報がリークされた場合は、飽くまでもシラを切る。
  • 爆破のあとは「電気障害」というニュースを流しつつ、協力者4人の全員が死亡したことを確認する。その後の「公式発表」と矛盾する監視ビデオがあれば、これを抹消する。
  • 数時間後、「アルカイーダ」の犯行声明をポストに投函する。
  • 最初の4日間は公式発表を控え、あたかも「真相究明」が進んでいるかのように世間に思わせる。

  • 7月21日に、ロンドンで再び爆破事件が起こっているが、「陰謀説」から目をそらすための、追加撹乱措置と考えられなくもない。「自作自演」または「情報局がテロ組織に事前リーク」という線は、今後も要注目である。


    ■関連サイト:
  • ジャパン・ハンドラーズとアメリカ政治情報:海外、独立系メディアで流布される、ロンドン・爆破テロの「語るに落ちる」真相(2005/7/17)
  • 田中宇:怪しさが増すロンドンテロ事件(2005/7/19)

    ■追加1:本文中の「地下鉄爆弾テロを想定した非常事態訓練」は、公共性ある防災訓練ではなく、民間コンサルタント会社が、特定の企業向けに「地下鉄テロを想定した、避難訓練をやっていた」ということです。

    ■追加2:在英大使館からイギリス在留邦人へのメール
    ロンドン地下鉄等での爆発・爆発未遂事件(7月21日)について

    在英国日本国大使館
    7月21日19:00現在

    「当館が報道等をもとに、本件の概要を取り纏めましたので、邦人の皆様に提供致します。」

    1.ロンドン警視庁は、21日午後、ロンドンの地下鉄の3つの駅及びロンドン市内を走るバスにおいて小さな爆発あるいは爆発未遂があったことを確認した。事件があったのは、ロンドン西部のシェファーズ・ブッシュ(Shepherd’s Bush)駅、中心部のウォーレン・ストリート(Warren Street)駅及び南部のオーバル(Oval)駅の3つ。爆発のあったバスはロンドン東部のハックニー(Hackney)地域にあるハックニー・ロード(Hackney Road)を走っていた26号系統である。

    2.報道によれば、目撃者の話として、ウォーレン・ストリート駅では地下鉄が駅に到着した直後、1人の男の乗客の背負っていたリュックサックが爆発したと伝えられ、オーバル駅では地下鉄が発車する直前1人の男の乗客がリュックサックを置いて逃げ、そのリュックサックが爆発したと伝えられている。オーバル駅で当初疑われた化学爆弾の使用はその疑いがないことが分かった。爆発のあったバスは2階建てで2階部分の窓ガラスが吹き飛んだとそのバスを運転していた運転手からバス運行会社に連絡が入ったと報じられている。

    3.事件直後ぶら下がりの記者会見に応じたロンドン警視庁のイアン・ブレア警視総監は、爆発そのものはいずれも今月7日に起こったものよりも小規模だった模様であるが、「重大な事件(serious incident)」であると述べ、市民に今いる場所にとどまるよう呼びかけた。その後、午後4時前に再度ぶら下がりの記者会見に応じたブレア総監は、事態は収束しつつある(the situation was coming under control)と述べた。

    4.訪英中のハワード豪首相と会談中であったブレア首相は、会談を中断し、COBRAと呼ばれる有事対応の会議に出席し、その後3時40分頃から記者会見を行った。同会見の中で、ブレア首相は、この事件を些細なものと見ることはできないが、犯人のねらいは我々をおびえさせることにあり(aim to scare us)、本事件に冷静に対処するよう国民に呼びかけた。

    5.爆発のあった3駅からは乗客が避難し、駅周辺は封鎖されている。ロンドンの地下鉄は爆発のあった駅を通っている路線を中心に5路線の全部又は一部で運行を停止し、爆発のあった3駅以外の駅もいくつか封鎖している。いくつかの鉄道も運行を停止している。

    6.現在までのところ、この事件による負傷者は確認されていない(ウォーレン・ストリート駅で1名が負傷との情報もあり。この1名が上記リュックサックを背負っていた男との情報もあり)。

    7.なお、事件との関係は不明であるが、同日午後3時半頃首相官邸のあるダウニング街から大通りに出たすぐ外のところで1人の男が武装警官によって逮捕されたほか、もう1名がその近くで逮捕されたとの情報がある。上記大通りであるホワイトホール(中央省庁の庁舎が建ち並ぶ通りでもある)も封鎖された。

    8.21日午後17時50分より、ブレア英警視総監及びリビングストン・ロンドン市長の記者会見が行われたところ、要旨以下の通り。
    (1)シェパーズ・ブッシュ、ウォーレン・ストリート、オーバルの各地下鉄駅、及びハックニー・ロードのバスにおいて、爆発の試み(attempt)があった。(質問に対し)「試み」というのは、幾つかの爆発物は爆発しなかったということである。犯罪者は殺戮の意図を有していた。
    (2)警察、救急(消防)当局は迅速かつ適切に対応した。(リビングストン市長より、当局の対応を賞賛するとの発言あり。)
    (3)現場に残された物証は今後の捜査に大いに資するものである。
    (4)ロンドンは(危機の)状況を乗り越えて通常のビジネスに戻っている。
    (5)(質問に答え)7月7日の事件との関連、アル・カーイダとの関連は今のところ不明。検証には時間を要する。
    (6)救急車で運ばれた負傷者がいるとの情報はないが、1名の負傷者がいるとの報道があることは承知している。

    ■追加3(2006/7/25):911の真相解明に迫る!
  • ヒロさんの「911テロ」関連記事の一覧
  • posted by ヒロさん at 08:07 | Comment(9) | TrackBack(3) | 国際政治/謀略
    この記事へのコメント
    TITLE: 陰謀説
    1回目の時、オリも「なんか陰謀臭い」と8日の日記に書いたが、やっぱりその説が出ているのか〜。
    リュックしょっている映像、ちょっとした登山をするみたいで怪しさ満載(^^;)
    て言うか、あとで「そう言えばそんな男が…」と記憶に留めやすい目立ちすぎの格好。
    普通はビジネスマンらしい格好とか、もっと他に目立たない格好にすると思うし、
    911の時もそうだったが、早々とあっさりと犯人の面が割れたと言うのもなんか臭い…。
    それにしても、「同時間帯に地下鉄爆弾テロを想定した非常事態訓練を行っていた」
    って、そんなことがあったとはびっくり…。
    犯人が訓練のことを知り、それに乗じて紛れてやったと言う素直な見方も出来るが、
    あのリラックスした無用心なリュック姿、往復キップ、駐車チケットなど
    たしかに、訓練を利用した自作自演の陰謀にハメられた人たちのようにも見えるっス…。
    Posted by ザキ at 2005年07月22日 09:56
    TITLE: そこまでするか?
    あれだけ人が死んで、「自作自演」っていうのもなんだかなぁ、です。
    非常事態訓練は、サミットを狙ったテロに備えていただけでは?
    Posted by ストレンジャー at 2005年07月22日 16:46
    TITLE: 「自作自演」という言葉に囚われないように
    >あれだけ人が死んで、「自作自演」っていうのもなんだかなぁ、です。
    911テロでは約3千人の死者数です。

    >非常事態訓練は、サミットを狙ったテロに備えていただけでは?
    正確にいうと、公共向けの「防災訓練」ではなく、民間コンサルタント会社が、特定の企業向けに「地下鉄テロを想定した、避難訓練をやっていた」ということです。

    陰謀論の中で「自作自演」は究極の極論ですが、政府機関や警察内部に「協力者」がいるという見方は十分に可能かと思います。日本の中に潜む「協力者」もたくさんいるようですので・・・。
    Posted by Hiro-san at 2005年07月22日 17:05
    TITLE: トラックバックに感謝
    遠路はるばる?拙ブログの記事にお目を留めていただき光栄に存じます。とても興味深い記事が目白押しと拝察いたしました。これからもちょくちょくお邪魔させて頂きます。それはそうと、生物化学兵器の噂もちらほら、どうか御身辺に油断の無いように、ご用心下さい。まずは御挨拶まで。ありがとうございました。
    Posted by 旅限無 at 2005年07月22日 22:11
    TITLE: あるとすれば…。
    TBありがとうございます。自作自演説、最初のテロの場合どうでしょうか。あれだけの死傷者が出た状況で目的がよくわかりません。ただ先日の2回目のテロは負傷者が少なかったことから「自作自演説」が浮上してもおかしくないかもしれませんね。ただこの場合も自作とすれば目的が一体何なのか。
    Posted by ヨン様 at 2005年07月23日 08:31
    TITLE: 国民の自由の規制を狙う?
    Hiro-sanさま、先日は有難うございました(^_^)

    陰謀説は一笑にふされてしまいがちですが、
    優秀な英国の情報機関が今回みたいなへまをやるとは考えにくいですね。
    王立国際問題研究所やタビストック研究所の影がちらつく気がします。
    国連がわが国に批准を求めている「越境組織犯罪条約」というものがありますが、法務省が共謀罪というものを法制化しようとしています。
    こうしたテロを口実に国民の自由を規制していく狙いがあると感じます。
    Posted by なめ猫♪ at 2005年07月23日 12:25
    TITLE: 仮にそうだとしたら、非常にむごいですね
    >Hiro-sanさん

    仮に自作自演だとしたら、あまりにも非道で馬鹿で、人でなしの鬼のような政府ですね。イギリスという国が心底恐ろしくなります。政府何に協力者がいて何かしたとしてもです。
    9・11の場合は自作でも何でもないでしょうが、やはりサミットを狙ってそこまでするとは、やはり思えないです。このように単純に考えるのは、私が日本人でお人よしだからなんでしょうか?それとも、イギリスをはじめ、ヨーロッパ各国ではよくあることなんでしょうか?
    Posted by ストレンジャー at 2005年07月23日 21:35
    TITLE: 私は、911は自作自演説です
    ストレンジャーさん>
    >9・11の場合は自作でも何でもないでしょうが

    いえいえ、私は「911はペンタゴンの自作自演」説をとっています。しかし、アメリカ政府の閣僚がすべて共謀しているわけでもなく、ペンタゴン高官が全部グルなわけでもありません。強大な権力をもつ多国籍企業グループとペンタゴンの一部の上層部による、クーデター的な独断行動であると考えています。
    http://www.mypress.jp/v2_writers/hirosan/story/?story_id=933482
    911の謎(ペンタゴン自作自演説)については、上記のエントリで止まっているので、いずれ機会をみてまとめるつもりです。
    Posted by Hiro-san at 2005年07月23日 22:12
    TITLE: 私も911自作自演説です
    はじめまして。私も最初ニュースを見た瞬間からアメリカの仕業だと思っていました。フセインを騙してクウェートを侵攻させ、湾岸戦争を起こしてから、軍産複合体は、そろそろまた戦争を欲していると思っていましたから。その後、思った通りにアフガンやイラクを攻撃しましたね。
    軍産複合体は今やロックフェラー系のネオコンやアメリカによる世界支配思想PNACだと思います。アイゼンハワー政権下でベトナム工作を進めて来たラムズウェルド国防長官、チェイニー福大統領、ライス国務長官、ウォルフォウィッツ世界銀行総裁など、錚々たるメンバーが名を連ねています。そのバックにはロスチャイルドや陰の世界政府ビルダーバーグ・グループも見えますが・・・
    Posted by まゆみ at 2005年10月25日 16:45
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    ロンドン同時多発テロの背後にある組織の影
    Excerpt: 草莽崛起 ーPRIDE OF JAPANさんが興味深い記事を書いておられた。世界を動かす影の勢力についてあるコンサルタントの方の文章を引用する形で紹介されていたが、郵政民営化の影に国際金融資本の策略が..
    Weblog: なめ猫♪
    Tracked: 2005-07-22 17:40

    英ロンドンで再び同時爆破テロか
    Excerpt: ■[ロンドンで連続爆発 またテロか、1人負傷](共同通信) ロンドン中心部の地下鉄ウォレンストリート駅付近で21日午後1時(日本時間同9時)ごろ、小規模の爆発が起き、英スカイニューズ・テレビなどによる..
    Weblog: 裏板橋区188丁目
    Tracked: 2005-07-23 14:45

    ロンドンの次はエジプト
    Excerpt: ■米国が育てたパキスタンとアフガニスタンにまたがるイスラム武装・ネットワークは、タジク系の英雄マスードさんの暗殺以後、アラビアから追い出されたビン・ラディン系の影響下に入ったという経緯が一つあります。..
    Weblog: 旅限無(りょげむ)
    Tracked: 2005-07-23 18:25
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