それまでは、外出にはよく文庫や新書を1〜2冊持ち歩いていたものだが、電車で読めた試しがなかった。読み始めてもすぐに眠くなって諦めるか、かりに頑張って読んだ場合も、乱視状態になって目が疲れてしまう。あの「カタン、コトン」というリズムと振動が原因である。
また書店では本の一部を読んで「面白そうだ」と買うことが多かったが、面白いなら全部読んでしまえ、が実行できるようになった。結局全部読んでから「これをすぐにもう1度読みたいか、家に置いておきたいか」と自問自答するが、読んでしまうと、意外に買いたくない本もたくさんある。
本を読むと目が悪くなるという人がいるが、照明や姿勢に気をつけた上で速読すれば、本当に視力がほんの少し上がるようだ。毎日少しづつ視力が上がって近視が治ってしまう、という話ではないのだが、視野がとても明るくなり、夜でも比較的よく見えるようになった。
ブログブームが始まってからインターネットに張りつく時間が長くなっている方が多いと思うのだが、パソコンの画面で目を疲れさせずに、本と同じスピードで読めるのかどうか、というのが今回のテーマである。
最近はWeb上で無料公開される書籍テキストも増えてきた。例えば、岡田斗司夫の「オタク学入門」や、木村愛二の「アウシュビッツの争点」など。このようなテキストを速く読むにはどうしたらいいか。
めくり型ナビゲーションに関する覚え書き
長い文章を読む際に使われる伝統的なナビゲーションはスクロールだが、スクロールは使い勝手が悪い。移動を目で追わなくてはならないからで、移動した量がどれだけであるのか、把握する手間がかかるからだ。
まず、こまめにスクロールしながら読むというクセをやめたい。見える範囲を読みきってから、PgDnキーなどで「ページめくり」するのがよい。私はFirefoxというブラウザを使っているが、「user.js」という環境設定ファイルを書き換えて、マウスホイールのスクロール行数をデフォルトの2行から35行に変更してみた。ホイールをカチッと回すと「PgUp」「PgDn」と同じ効果があり、この「回転する感覚」が「本のページをめくる感覚」に近いので、とても調子がよい。
目が疲れる原因の1つに、Webページの「横書き問題」がある。モンゴル語やベトナム語の縦書きは、過去の産物となり、タテヨコの両刀だった中国語・朝鮮語も、横書きが主流になりつつある。縦書きの出版物があふれている国は、世界広しといえども、日本だけである。
『国語学』53巻1号(208号):「国語学と縦書き」
大きな言語で、縦書きを維持しているのは、すでに日本語だけになっている。少数民族の言葉には縦書きが若干残っているが、中国語や朝鮮語も横書きが原則になり、韓国でも、最後まで縦書きを維持していたある雑誌も横書きになった。日本では、新聞・雑誌・国語教科書など、多くはまだ縦書きを維持している。国語国文の世界でも縦書きが原則である。縦書き文化からみれば、日本語は最後の砦となっているのである。
アメリカに20年以上も在住するchoseiさんは、日本に帰国するやいなや「まぶたの痙攣」で苦しめられている。最初は「朝日新聞」の毒気電波を浴びたことが原因かと思われたが、日本の縦書き文化にも原因の一端あり、と疑っている。
Funahara Choseiさんブログ(2005/4/22)
まず日本の右まぶたのピクピクの痙攣の原因のもう1つの可能性の説が出て来た。それは日本語の文献が立て読みで、眼球の筋肉が上下運動に慣れてないのが原因と言う説だ。過去のログを読んでみれば分かると思うが日本に4週間滞在して、先日(20th)に帰米したが、日本での滞在の1週間目から右まぶたの上の筋肉が日本の新聞を読んだりすると痙攣をしだした。<中略>確かに上下に眼球を始終動かすのは慣れない眼球運動だ。日本語を読むのも最近インターネットの横読みのみになり、日本の文庫本もあまり読まなくなっている。特に日本の新聞なんて全く見るチャンスはない。フーム!考えてしまう。
この地球上でタテとヨコを自在にこなす民族は、日本人しかいない。日本の縦書き文化を守る上でも、今後、Webデザインで、1)縦書きタグの開発、2)ルビ用タグの開発、などが是非とも必要である。そうすれば、書籍のWebテキスト化も大々的に進めることができる。
現在日本で進行中の「ブログブーム」も、「読む側」の観点からもっと見直されてしかるべきであろう。ブログやHPが「本と同じ感覚」で読める日が早く来ないものか、と夢みながら・・・・・
おやすみなさい。
■追加1:不倒城:「ブログブーム」の特殊性(2005/5/12)
ブログブームというものが本当に存在したとしたら、それは極めて「バランスの悪い」ブームだということが出来る。「書く」人は増え続けているのに、「読む」人の数がそれに追いついていない。あるいは、「読む」人の訪問先は一定しており供給が偏る。<中略>
様々なブログの運営を見ていると、「書き手を増やす(ユーザーを増やす)」為のアピールは凄く凄く良く観るのだが、それ以外での「読み手を増やす」為のアピールというものを余り見かけない。
様々なブログの運営を見ていると、「書き手を増やす(ユーザーを増やす)」為のアピールは凄く凄く良く観るのだが、それ以外での「読み手を増やす」為のアピールというものを余り見かけない。
■追加2:白黒反転をどうにかして!
Webで速読ができない理由として、1)パソコンは持ち運びに不便、2)パソコンのノイズ、3)画面のチラツキ、などもある。が、私が一番困っているのは、白黒反転文字(白抜き)で書かれているサイトである。これは適応可能なのだろうか? 書籍や雑誌で白抜き文字が流行しているなら、目が慣れるということもあり得るだろうが・・・。
■参考資料:
はじめまして。TB辿って拝見させていただきました。
面白い記事がたくさんあって、あ、これも読みたい、あれも読みたいというタイトルが並んでいて、あちこち覗いて楽しませて頂きました!
本を読む場合とパソコンで読むことの違いについて、そうそう、と頷きながら読みました。WEBで無料公開されている小説を読むことは本と感覚が違いますし、ルビの代わりに括弧の中に読みを入れたりしてあって、読みにくさが倍増します。パソコンで長編はとても読めそうにない、と思ってしまいます。(姿勢も常に一定ですから)
白黒反転についてのご意見、同感です。
本の場合、表紙が黒くても中身は殆ど淡色ですが、サイトはページとして統一させているためでしょうか、中身も黒ですよね。黒背景で文字が小さく設定されているサイトは中身を見ることなく立ち去ってしまいがちです。
今は魚屋パートですが本職はSEのkitsです。
SE時代、私の同僚の多くはプログラミングの際、画面を白黒反転にして仕事をしていました。長時間、プログラムソースコードの細かい文字を追いかけるには、黒の面積が多いほど目が疲れないようです。その際の注意事項はコントラストやブライトネスを低くすること。
ただ、マルチウィンドウ普及前の昔の画面(DOS等)は暗い背景に白文字でしたから、単にその習慣を引き摺っていただけかもしれませんが。。。
WEBサイトの作り手側も見易さを考えた色の指定をする必要はありますね。
Webデザインに使う場合、かなり注意を要する色です。
黒背景は透明感と清潔感を大切にしないと、たちまち困った方々が群がります。
その果てにBBSがめちゃくちゃになってしまうこともしばしば。
なるべくは淡色をすすめますね。そして極端な色を用いないことです…。
これはサイト管理者としての経験上なんですが。
小説の場合、PDFにしているサイトも多く見かけますが、やっぱり冊子が一番です。
ブラウザも縦スクロールはありますが、横スクロールというのがないじゃないですか。
(でも私は乗り物酔いをするたちなので、車や電車の中では本は読みません…)
影鷹という国産縦書きブラウザがあります。
現在開発中ですが、志は高い!
下記でソフトをDLして下さい。
影鷹
http://www.kagetaka.org/
このブラウザでご自分のサイトをみると面白い。
次の「国風文化」サイトはIEでも縦書き表示ができるという力技。
国風文化
http://www5f.biglobe.ne.jp/~kagetaka/
・・
こういうところへVCはお金を出すべきでしょうね。
白黒反転について補足します。
1日にパソコンを10時間〜15時間も使う人たちにとって、画面の輝度(ブライトネス)を下げておかないと、目がやられてしまいます。その意味で「黒背景の白抜き字」の方が目にやさしい、という意見ももっともなことです。問題は、「黒地白抜き」のサイトと「白地黒文字」のサイトを交互に「精読」した場合の影響です。「陽光燦燦の庭」と「地下室の書斎」を何度も往復するときには、目が慣れるのが結構大変です。が、これは目の虹彩(絞り)の調整力の問題なので、個人差がかなり激しい。
白地黒文字が必ずしも読みやすいとはいえません。背景の「白」と文字の「黒」のコントラストが激しすぎると、長文はやはり疲れます。その意味で、背景は淡い色があった方がよいと思います。「ヒロさん日記」でも背景の「White」は引用部分だけにして、あとは「ghostwhite」と「lavender」を使っています。
黒地白抜きサイトの場合も、もっと淡い「黒」を使うか、もう少し暗めの「白」を使っていただけると、長時間の精読に耐えられるようになるはずです。例えばこのサイト( http://www007.upp.so-net.ne.jp/rindou/ )の内容はすばらしいのですが、単純な「black」と「white」を使っているので、私個人としては疲れてしまいます。
シンプルなテキストサイトなら、CSSをいじってIEでの縦組み表示ができることを少し前に発見しました。その時につくったデモサイトは今は下ろしているのですが、興味ありますか?
上記の影鷹の面白いところは、画像の縦横比を判断して90度回転させて表示する仕様です。
レイアウトが変るだけで自分のサイトがまったく別のものになるのが面白い。
blog::TIAOを表示させた参考記事↓
http://blog.readymade.jp/tiao/archives/000236.html#more
http://bobodori.hp.infoseek.co.jp/nyumon/index.html
「縦書きサイト普及委員会」なんていうサイトも、かなり前からあったのですね!
TIAOブログ:http://blog.readymade.jp/tiao/archives/kagetaka0.2.html
90度回転させるにあたっては、句読点「、」「。」や撥音「っ」の位置が変わります。縦書きと横書きのフォントは、お互いに流用できるものもあるけれども、本来違うフォントなんですね。だんだん縦書きに興味が湧いてきました。
限りなく黒社会に近い駐在員(嘘)、DL3036@上海帮です。
元来、中国人、朝鮮人も縦書き文化だったはずなのですが。
事実、終戦直後の南韓北韓の新聞を見ると、ほとんど縦書きのようです。
(韓国は80年代頃まで縦書き文化が続いていたらしい。「殺人の追憶」がちょうど光州事件前後の話だが、当時の紙面が縦書き表示だった)
中国の九九の件は調べられませんでした。失礼。
初めまして。イクヤと申します。貴記事、大変興味深く拝読しました。私も、縦書きは守らなければいけない日本の文化だと思います。でも本当に、WEB上で縦書きはめったに見かけませんね。
そんな風潮に一石を投じたくて、「縦書きへの挑戦」( http://mkp.moo.jp/notoiku/column/60.html )という記事を書いたことがあります。このときは「縦書きHTML」というソフト( http://go.to/tategaki/ )を使いました。
実際にWEB上の記事を縦書きで書いてみて、まず丸いカッコが表示させられないことに難儀しました。余分なタグが使えないのでリンクも飛ばせないし、画像も貼れません。WEB世界は縦書きに優しくないと痛感しました。
ヒロさんのおっしゃるように、WEB上での自由な表現が可能な縦書きタグやルビ用タグが開発されることを願ってやみません。
今まで青空文庫をHTMLで横読みしてたのですが、今回のhiroさんの取り上げた話題を読んでから、さっきVoyagerのazur1.5をダウンロードしました。横読みに慣れていたので、don't care だったのですが、使用してみると日本の本よりも読みやすくベッドの中でパソコンを読むのに最高です。ベッドの中で最低2時間は何か読んでいるので、ものぐさ太郎みたいですが、でも一番楽な姿勢です。
日本の電子出版のパイオニア、ボイジャー社が満を持して発表したものですから「azur」はよくできていますよね。T-Time、azurでは縦書きだけでなく、フォントも読みやすい明朝体なのが素晴らしいです。わたしも愛用しています。
ヒロさん日記の配色が「azure(空色)」でいい選択ですよね、と褒められたのか思いました・・・が、違いました。
本日私もazurをインストールして、有島武郎の「生まれ出づる悩み」を縦書きで読みました。ひさしぶり〜!