2005年03月10日

渡部昇一vs本多勝一

ヒロさん、実はそのむかし、本多勝一先生のファン。ピースボートに乗ったときも、本多先生の素顔をよく知らなかったため、イタリア・ツアーでもこんな会話があった。

Nさん:「本多勝一は、やっぱりすごい冒険家ですよね」
ヒロさん:「本多勝一で一番よかった本は何ですか?」
Nさん:「そうね〜、『カナダエスキモー』とか、.....とか、....とか」
ヒロさん:「わたしは『アメリカ合州国』と『日本語の作文技術』かな」

このNさんはピースボートのNo2で、もの凄い読書量を誇る本格派の左翼論客だが、『アメリカ合州国』と『日本語の作文技術』は不思議と読んでいなかったようだ。ヒロさんの本多ファン度もあまりたいしたことがない。読んだことがあるこの2冊も、年の離れた兄の書棚からの借り本である。うちの兄の読書量は大層なもので、岩波新書(緑表紙)がほとんど全部揃っていたくらいである。

で、これに加えて、わが家の新聞は地元紙+朝日新聞+アサヒグラフ。今思い出しても不思議なのだが、小5のクラス交換日記で、ヒロさんは「文化大革命はすごい」と意味もわからず中国を絶賛していた。親の前では「天皇なんか、死ねばいんだ」と叫んで、「そんなこと、人前で絶対に言ってはダメですよ」とたしなめられた。中学1年になると「天声人語」を切り抜いてノートに貼り、知らないコトバ・漢字を全部書き出して、さらに全文を要約する、という涙ぐましいことをしていた。高1になると、いつも友だちに「今度の選挙では絶対に保革逆転だ」と熱弁し、結局逆転しないので落ち込んでいた。

別に日教組の変な先生がいたわけでも何でない。毎朝1本のヤクルトを飲みながら、朝日新聞1面の「顔面シャワー」を日課にしていると、知らず知らずのうちに、感受性豊かな青少年の脳裏に焼きついていくのである。新聞だけでもこんなに影響を受けるのに、日教組だらけの学校(特に中学)で授業を受けている生徒たちのことを想うと不憫でならない。

再びお話はピースボートへ。当時のヒロさんは、ピースボートの予備知識はおろか、本多勝一の『週刊金曜日』の存在すら知らなかった。2月4日に書いた「侵略→進出」はあった?の冒頭の会話のすべてを再現すると、実はヒロさん、こんな風にビビっていた。

ヒロさん:「Nさん、ピースボートの趣旨文はまずくないですか。教科書書き換えは誤報だったんですよ!」
Nさん:「あれは違うんです!」
ヒロさん:「渡部昇一もちゃんと書いてますよ」
Nさん:「渡部昇一なんて、チョー右翼じゃん!」
ヒロさん:「うぅ...(右翼と言われてコトバに詰まる)...まぁ、渡部昇一はいいとしても、桜井よしこも言ってるじゃないですか」
Nさん:「あの事件は誤報だったんです。でもそれとは別に書き換えは確かにあったんです!」

当時の私は「あら、ひどいじゃありませんこと。オタクさまの信奉する本多先生のことを、あえてチョー極左とはお呼びしませんけれど」みたいな皮肉を言う余裕もない。

日本に帰ってしばらくしてから、衝撃的な事件が2つあった。

1つは、ネットで「本多勝一研究会」というサイト見つけたこと。本多先生バンザ〜イ、かと思いきや、彼の「改変癖」を追及しているサイトであった。このサイトによると、本多先生は自著の改訂版を出すたびに、何の注釈や断りもなく、大量に文章を変更していくのだそうだ。そのため左翼ファンからも批判が相次いでいるのだという。彼のキャラクターというよりは、彼の出身である朝日新聞のキャラクターであろうか。

もう1つは、私がピースボート上で読み続けていた愛読書「マーフィー100の成功法則」(大島淳一著)のこと。私が持っていたのは能率大学出版の青表紙本であるが、この本はものすごいロングセラーで「一体この著者は誰なのかな、まだ生きているのかな、いつか会いたいな」と常々想っていた。ところが新しく出た三笠書房の文庫版のまえがきに、渡部昇一先生が「実は私が著者でした」と宣言しているではないか! 渋谷の書店で5分ほど呆然と立ち尽くしたことを覚えている。

そんなわけで、ヒロさんの中での「渡部昇一vs本多勝一」の勝負は、渡部先生の圧勝に終わった。左翼論客たちは、階級闘争や人権ばかりで、深い宗教性、精神性、潜在意識などを語れる人がどうして少ないのだろうか。ヒロさんの文体は、本多勝一の『日本語の作文技術』の影響をモロに受けているが、上級者コースである『日本語の書き換え(捏造)技術』を学ばなかったことは、不幸中の幸いといわねばならない。

追加(2005/3/11):本多勝一"噂の真相"同時進行版もお薦めです。

posted by ヒロさん at 07:05 | Comment(11) | TrackBack(2) | ピースボート
この記事へのコメント
TITLE: パソコンの前で
>もう1つは、私がピースボート上で読み続けていた愛読書「マーフィー100の成功法則」(大島淳一著)のこと。私が持っていたのは能率大学出版の青表紙本であるが、この本はものすごいロングセラーで「一体この著者は誰なのかな、まだ生きているのかな、いつか会いたいな」と常々想っていた。ところが新しく出た三笠書房の文庫版のまえがきに、渡部昇一先生が「実は私が著者でした」と宣言しているではないか! 渋谷の書店で5分ほど呆然と立ち尽くしたことを覚えている。

今、ヒロさんのエントリーを読んで、パソコンの前で1分間固まっていました。渡辺先生すごいですね。ますますファンになりました。

ヒロさん<ピースボートについて興味深く読ませて頂いております。これからもご活躍をお祈り致します。
Posted by ぼちぼち123 at 2005年03月10日 08:45
TITLE: 初めまして、TB有り難う御座います
イギリスからですか、そんな遠くからのTBは初めてですね、何故かとっても嬉しいですよ、凄い時代になったもんだな〜。

私も団塊の世代に引っかかって居ります。
60年代には反戦フォークにはまってたんですが、幸いにも(笑)大学へは進学しなかったので、自分が全共闘世代だとは感じたことがありませんでした。
しかし、少し左巻きだったのは事実です。
そんな私も歳を重ねる毎に報道や読書によって、左巻きの発条が少しずつ解けてきたのを感じる今日この頃で御座います。
Posted by 海老名誠 at 2005年03月10日 12:47
TITLE: 元本多勝一ファン
私もです。元ファン・・・
でも、私が一番好きなのは「ニューギニア高地人」です。
Posted by ビアンカ at 2005年03月10日 22:53
TITLE: うちも昔、朝日とってた時期がありまして
子供のころは朝日読んでたりしましたよ。何も考えないで新聞だから書いてあることは信用できると思って読んでるから、じわじわと幼い脳に染み込んでくるんですよね…
本多勝一ですが、「アメリカ合州国」と、あと2冊くらい読みましたよ。中東を旅した記録かな、あれはひどかった。あれ読んで、「この人、思い込みが強すぎる?」「自分の見方が絶対だと信じすぎてない?」と思った。というか、「あー。。。あのタイプ、なんだな、このオッサンは」という、わりと勝手な感想を持ってしまって、それ以来警戒するようになってしまいましたね。

その本多勝一研究会はすごいですね。そこまでひどいとは知らなかったですよ。
Posted by nessko at 2005年03月10日 23:50
TITLE: ご無沙汰しております。
先日は激励頂きありがとうございました。
「マーフィ100の成功法則」は私も読んだことがあります。
渡辺昇一氏についてはかつて教科書の進出⇔侵略問題を論破した方ということを最近知りました。

本多勝一研究会も見てきました。朝日がある意味で最も熱い時代の象徴的な人物なんですね。ネットが普及しなければ、こういうことも分からないままだったのかもしれませんね。
Posted by FD3S at 2005年03月11日 00:24
TITLE: なるほどねえ。
>わが家の新聞は地元紙+朝日新聞+アサヒグラフ。

我が家は地元紙をずーっと取っております。新聞というのは一つの生活ツールで、特に田舎に於いてはそのお悔やみ欄など大変に重要な情報源の一つです。おそらく朝日を読みなれた人が読むと「遠慮深い」くらいに感じられるかも知れません。それでも新潟中越地震の報道のときには社説に「県人は我慢強すぎる、もっと叫べ!」と書いてましたけど。

それにしても、本多勝一氏は賛否多い方ですね…。

本多勝一噂の真相同時進行版
http://www.jca.apc.org/~altmedka/uwa-series.html

研究会サイトを読みながら海老反りまくりましたが、
かなりきている、と言う意味ではこのサイトも必見かと思います。
Posted by 枇杷 at 2005年03月11日 10:38
TITLE: 腰を痛めないように....
枇杷さん、まいど!! ご指摘のサイトも必見ですね。エントリに追加しておきましょう。あんまり反りすぎて、腰を痛めないように注意してくださいね。
Posted by Hiro-san at 2005年03月11日 11:03
TITLE: 著書が入手しづらいのが珠に瑕
渡部先生の文章を読んだことがない方むけに、代表的な文章をネタにした記事をTBしておきました。
Posted by haruhico at 2005年03月16日 02:00
TITLE: 渡部昇一はカトリック
>左翼論客たちは、階級闘争や人権ばかりで、深い宗教性、精神性、潜在意識などを語れる人がどうして少ないのだろうか

だって、左は、宗教を否定することから始まったんだから
ちなみに、日本だけじゃないけど、教皇庁の反共主義の影響で、
カトリックは右寄りになることが多い。
Posted by 通りすがりのウヨ(w at 2005年04月04日 14:17
TITLE: 渡部昇一先生の講演会
はじめまして。伊藤純子です。
来る10月28日(金)渡部昇一先生の講演会「次世代に伝えたい歴史と日本人の誇り」が群馬・高崎市高松町の高崎シティギャラリーで開催されます。近隣にお住まいで、関心がおありでしたら、ぜひお出かけください。詳細は私のブログをご覧ください。講演会のあと、渡部先生を囲んだ懇親会も開催されます。
Posted by 伊藤純子 at 2005年10月25日 21:47
TITLE: どの新聞が詳細を正確に伝えてくれるか?
長年購読していた朝日を他紙に変えてみた。毎日、読売、産経の順に6ヶ月廻す。
きっかけは報道というよりも記者の感想文が社説から始まり多く散見されるから
である。丁度記者会見で頭に乗った記者がどうでも良い事を正義の使者とばかり
に責任者を非難しているのに近い。朝日が本多勝一の優れているとこと劣って
いる所を書評なりに載せるなら読んでみたい。 TVも含め日本のメディアはもう
ひと踏ん張りし改善して欲しい。 手抜きが多い
Posted by 怖かったさん at 2006年09月21日 08:04
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