2005年02月13日

北朝鮮クルーズ2:洗脳王、高橋哲哉の巻

ピースボートには2種類のクルーズがある。1つは金さえ払えば、基本的に誰でも自由に参加できるクルーズ。もう1つは「趣旨文への同意書」にサインしなければ参加できないクルーズ。2001年「南北コリア」クルーズは後者に属する。

この「同意書」では何に同意しなければいけないのかというと、「日本の過去の過ちを認め、朝鮮民族の南北分断の悲しみを自分のものとして、その解決のために私たちも努力する」といった内容を含む数項目の趣旨文に対する同意である。(現在、ピースボート関連の資料は何1つ持ち合わせがないため、現時点では記憶を頼りに書いていることをお許し願いたい。)

この構造は何かに似ていないか?

そういえば「国際女性戦犯法廷」の場合も、趣旨に同意する誓約書があり、この模擬法廷に参加できるのは、誓約書を提出した者に限られていた。単なる偶然であろうか?

この「南北コリア」クルーズには、世界1周でノリノリになった人たちが「この際、何でもみてやろう」という気持ちで数多く参加している。これにはちょっとした「仕掛け」もある。というのは、約150万の世界1周クルーズに参加すると、次回のクルーズでは約10万円分の優待割引が発生するのだ。3ヵ月という期間と150万円という予算を考えると、世界1周クルーズのリピーターは限られてくる。しかしながら「10日で15万円のコリアクルーズなら行けるじゃない、優待を使うと5万円でいいし!」ということで、船の楽しみを知った人には飛びつきやすいクルーズなのだ。同意書の文面ゆえに、待てよ、と考える人は非常に少ない。

以上の前提を踏まえて、ピースボートのクルーズ報告をのぞいてみよう。

2001年9月1日に人民大学習堂で開かれた「歴史教科書問題を考える」の講義についての報告である。

コゥさんは「『新しい歴史教科書をつくる会』の教科書には、朝鮮の歴史を歪曲している部分が40ヵ所もある」と指摘。「日本の右翼的な歴史家達は、日本の朝鮮支配を合理化するために歴史を歪曲、捏造している」と主張した。

という内容の講義であるが、質疑応答では(北朝鮮のシナリオとは)異なる意見も出てくる。

会場から出た意見も、「少数意見も尊重されるべきであるから、『つくる会』教科書も必要なのではないか」、「ほかの国々と仲良くしたかったら『つくる会教科書』 は絶対になくすべき」などさまざま。

このように「同意書」でスクリーニングをかけたはずなのに、北朝鮮の主張にタテをつく人も現れる。しかし最後は、

最後にコゥさんは「このような教科書をつくることは、日本にとって罪を積み重ねることになります。日本政府はそれを肝に銘じて、過去の罪悪を謝罪し、徹底的に補償してほしい。繰り返しますが、『つくる会』の教科書は撤廃すべきです」と強調した。

と結ばれることになる。

当ブログの2月7日「西野瑠美子とピースボート」でも紹介した東大の高橋哲哉氏にもう1度ご登場いただこう。彼はこの歴史問題のやりとりについて、以下のようにまとめている。

「つくる会」歴史教科書の影響も見られた。日本の侵略責任に関する歴史認識の深化を一つの目標とするクルーズなのに、「『つくる会』の教科書にも良い点がある」「面白くて分かりやすい」「新鮮な見方を提示してくれた」などという若者もいて、激論になった。しかし、平壌で元「慰安婦」被害者の李相玉さんの証言を聞き、ソウルで「ナヌムの家」を訪れ、ハルモニたちの日本大使館への「水曜デモ」の様子を見た人々のほとんどは、日本軍「慰安婦」問題の真実を理解したと思う。「つくる会」シンパだった若者の中にも、たしかに変化が感じられた。

つまり「日本の侵略責任に関する歴史認識を深める」という趣旨に同意して乗船しているはずなのに、「つくる会」を肯定する発言をするのはおかしい。しかしそんな異端児(右翼青年たち?)もこのクルーズの深い影響を受けて「日本軍『慰安婦』問題の真実を理解するようになる」ということだ。

ピースボートは立派だ。「国際女性戦犯法廷」のような左翼オンリーの糾弾集会とは格がちがう。世界1周で舞い上がった能天気な若者たちに「真実の歴史」を教える教育センターなのである。

(このクルーズをジャーナリストはどう捉えたのか。次回は、後藤和夫氏の北朝鮮リポートだ!)


■追加(2005/7/24):ヒロさんのピースボート特集
posted by ヒロさん at 08:14 | Comment(3) | TrackBack(3) | ピースボート
この記事へのコメント
TITLE: おっとろし〜
敵は昔から、こうやってオリのようなおバカな人間を洗脳し続けていたのか…
と今さらながら怖くなって来た。
オリもネットをやり始めて、最近やっと気づいたという相当なニブチン&無知だが
それだけにショックもでかい。
それにしても、体験者&関係者のヒロさんの話は面白い、ためになる、目から鱗。
このピスボートって、やっぱり想像通りの団体〜( ̄ー ̄)
だけど最初から「そういう思想」ではなく軽いノリで参加している人もいるとは思わなかった。
安易にみんな乗るな、洗脳されるぞ〜 と言いたい。 洗脳クルーズだなこりゃ
Posted by ザキ at 2005年02月13日 10:42
TITLE: 師匠、お元気?
ザキさん、というか師匠! お元気ですか。
お師匠の導きで、最近は書くスピードがほんの少し早くなってきました。
といってもこの「しがないヒロさん日記」は、羅針盤のない大海の小舟。はやく工作船のような高速艇になりたいです。
Posted by Hiro-san at 2005年02月13日 11:32
TITLE: そして脳天気な若者は、、
ってわけなんですねえ、おそらくは。

最初からそういうところとは分からないように、というのは定石。
いやー、カルトの入り口に似てるぞコレも…って。
Posted by 枇杷 at 2005年02月13日 11:58
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