2012年05月05日

アメリカ革命は進行中、ロン・ポールに大逆転の可能性あり

共和党の大統領選は、ロムニーの勝利がほとんど確定したかのように見える。共和党全国大会(8月、フロリダ州タンパ)に送り出す各州の代議員数の合計が過半数の1144人に達すれば勝利宣言だが、ロムニーはすでに800以上を確保している。

選挙戦は、ロムニー、サントラム、ギングリッチ、ポールの4人の候補で戦われてきた。サントラムは約250人、ギングリッチは約150人の代議員を確保。一方、革命の旗手ロン・ポールは、ロムニーの10分の1程度の得票で、第1位になった州は1つもなく、泡沫候補の扱いだった。

ところが、4月後半になってサントラムとギングリッチが撤退を宣言したことで、勢力地図が一気に変わってきた。サントラムとギングリッチの支持層の票のほとんどすべてが、ロン・ポールに流れつつあるのだ。

ロムニー側にも少しは流れてもよさそうなものだが、絶対そうはならない理由がある。それはロムニーがモルモン教徒であることだ。サントラムを支持していたキリスト教保守の票は絶対に流れない。さらに、ギングリッチを支持していたティーパーティーの票も流れない。

ロン・ポールはただの1つの州も取れない、さっさと退場しろ、とメディアは繰り返してきた。しかし、5月初旬の時点ですでに5州以上で過半数を確保し、この数はさらに増えている。大票田のテキサス州(155人)とカリフォルニア州(172人)で勝利すれば、700〜900人は確保するだろう。

各州の選挙には予備選挙(primary)と党員集会(caucus)という2つの形式がある。党員集会は、町の代議員→市の代議議員→県の代議員・・・というように、選ばれた代議員がさらに上位の代議員を選ぶ積み上がり式なので、草の根運動の影響力が大きい。ロムニーの代議員は原稿棒読みの人が多いが、ロン・ポールの代議員はみな情熱的であるという。

このような結果、党員集会型の州ではロン・ポールは逆転勝利となっている。ルイジアナ州で70%以上、アイオワ州で70以上で最終決着した。また、ミネソタ州でも、ロムニーのお膝元のマサチューセッツ州でもすでに50%以上確保している。オクラホマ州とワシントン州も同様の勢いだ。

だが、ロムニーはあと300人ぐらいで“上がり”となってしまう。どんなに追撃したところで、あと1カ月半でひっくり返せるかどうかだ。今後、ロン・ポール陣営はどのような戦略を展開するのだろうか。以下、私の予想だ。
  • まず、最低5州を押さえたことで、共和党全国大会に「候補」として乗り出す権利を獲得した。これにより、共和党は完全な分裂選挙になり、今後もロン・ポールのメディアへの露出は高まる。
  • 1〜3月は何となくロムニー支持だったが、その後ロン・ポールに転向した人は増えている。だが、各州党大会の終了後は別候補に変えられないという“縛り”が多い。ただし、全国党大会の1回目の投票でロムニーが過半数を取れない場合、2回目の投票が行われる。2回目以降の投票には“縛り”がないため、ロン・ポール大逆転のシナリオもある。
  • 上記のような“縛り”は、大統領候補への投票にはあるが、副大統領候補にはない。隠れロン・ポール支持者を多く送り込めた場合、仮にロムニーが勝っても、副大統領候補を空白にして、ロムニーの顔を完全につぶすという戦略もあり得る。
  • ロムニーを失墜させたあとは、共和党を脱退して独立政党から立候補する。これでオバマとの一騎打ちになるわけだ。
夢物語に思えるかもしれないが、アメリカの政治地図は地方の草の根レベルで大きく変わり始めている。

ロムニーが演説集会を開いても数百人しか集まらないが、一方のロン・ポールはどこに行っても数千人で会場がいっぱいだ。ロン・ポール支持を公言して、地方選挙、国政選挙に出る議員も増加しているのだ。

■おまけ:
ネバダ州での戦いもおもしろい。同州で昨年10月にルールが変更され、第一次投票(2月)の得票比率をもとに28人の代議員を割り当てることになっている。つまり、ロムニー20人、ロン・ポール8人が確定なのだが、肝心の選出代議員の7〜8割がロン・ポール支持派になる可能性があるのだ。ロムニーに投票する“縛り”がある代議員は20人だが、うち半数はロン・ポール派ということもあり得る。共和党執行部は「ネバダ州の代議員をすべて無効する可能性がある」という脅しをかけるなど、戦いが進行中だ。

■追加1:
同じく党員集会型のアイダホ州は、勝者独占方式(winner-take-all)のため、すでにロムニーに全代議員38人が割り当てられることが決まっている。だが、州党大会(6月23日)で3分の2以上の賛成票があれば、これを覆し、38人のすべてをロン・ポールに切り替えることができる。現在、州大会の3分の2の得票をめざして、死闘が展開中。

■追加2:
州党大会の代議員の割り当てでは、「他候補に投票した場合は1万ドルの罰金」「今後8年間は共和党内でいかなる被選挙権も失われる」などの罰則があるという。確かに他候補に投票することはできないが、棄権する権利はある。隠れポール支持者は、共和党全国大会の1回目の投票で「棄権」を選択することで、ロムニーは敗北する。これがロン・ポール勝利の方程式だ。

posted by ヒロさん at 13:09 | Comment(4) | TrackBack(0) | 国際政治/謀略
この記事へのコメント
日本国内にも多くの「教会」があり、タレントの中にも教徒がいますが、
本場アメリカでもモルモン教は、やはり正統派とはみなされていないのでしょうか?
Posted by ダダさん at 2012年05月06日 10:18
モルモン教、ものみの塔、統一教会は、正統派どころか、キリスト教系の3大異端カルト。ただあからさまに言うと宗教差別になるのでメディアではこの話題は登場しませんけれど。
Posted by ヒロさん★ブログ主 at 2012年05月06日 12:16
オバマさんがアメリカ大統領として、初めて同性婚を認めたそうです。
宗教にうといので、良く理解できないのですが、
キリスト教では、同性の婚姻を認めているのでしょうか?
Posted by ダダさん at 2012年05月10日 12:58
オバマ大統領、リベラルの票集め! このお話は私のつぶやきを聞くよりも、ウィキペディアで「同性結婚」と入力したほうがタメになりそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/
Posted by ヒロさん★ブログ主 at 2012年05月11日 14:58
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