2013年02月14日

ブライアン・グリーンの講義を聞く

声を聞いた結果、その人の思想や特定のジャンルに傾倒する、ということがよく起こる。私は人生の教科書として「エイブラハム」を精読しているが、これはエスター・ヒックスの声がカラダに響いた結果だ。アンチエイジング関連の学びでは、白澤卓二の明瞭な声が私の背中を強く押してくれた。「Inkheart(魔法の指)」という小説に嵌ったときも、リン・レッドグレイブ(Lynn Redgrave)が朗読する魔法のような声の使い分けに感動したからだ。

そして今度は、ブライアン・グリーン(Brian Greene)。1月に「アベンジャーズ」と「スタートレック」に関連する翻訳を引き受けたので、YouTubeで「Multiverse(多元宇宙)」と検索をかけたところ、彼の声がヒットした。私好みの明晰・明解・明朗な声だ。20分ほどの講演ビデオでは、インフレーション理論、ひも理論、多元宇宙の3つがわかりやすく説明されていたので、さっそく彼の著作「宇宙を織りなすもの(Fabric of the Cosmos)」の上下2冊を手に入れることになった。彼の「エレガントな宇宙(Elegant Universe)」が本棚で眠ったままなのに・・・

私にとってこの本は、宇宙・時間・空間の最新理論をしっかりと理解するための本ではない。群論を少し調べたときや数学の対称性をちょっとかじったときと同じで、パラパラとめくりながら、イメージを誘発させる比喩やたとえ話に感心するための本であり、わかりやすさの秘密を理解するための本なのだ。超遠方の星の距離を測るためのIa型超新星が「100ワット電球」にたとえられたり、物質テレポテーションの説明で映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のタイムマシン改造車「デロリアン」が登場したりと、とても楽しいのである。

彼が登場するビデオ番組を毎日1本眺める日課が続いているが、特によかったのは「Fabric of the Cosmos - 3. Quantum Leap」(2012年7月26日放映)電子のダブルスリット通過実験や、2つの粒子がペアになる量子エンタグルメントの背景や最新の研究がとてもわかりやすい。

量子エンタグルメントによるテレポテーションは、100年後に実現しているだろうか?「スタートレック」によれば転送装置の実用化は2139年だ。現在のバイオ・医学界ではクローニングの生命倫理が問題になっているが、テレポテーションは量子クローニングなので、生命体の転送は議論を呼ぶ。(クリストファー・ノーラン監督の映画「プレステージ」のようなことも起こるのか!)

この分野は1990年代から、もの凄いかけ足の進展だ。5つのひも理論を統合する「M理論」が登場したのが1995年。粒子1個のテレポテーションが2つのグループで達成されたのは1997年。宇宙が加速膨張していることが実証されたのが1998年(この研究の3人は2011年にノーベル賞)。

私のお気に入りのギルモアガールズにも、ひも理論は登場する。

<ギルモアガールズ7-2>(2006年10月放映)
ルークの妹: It's like that space-time-continuum thing. You're on a plane over here, and she's on this plane over there, and you were both never here nor there at the same time.(時空連続体みたいなものよ。あんたは平面のこっちにいて、彼女はこの平面のあっちにいて、あんたたちは、あっちとこっちの両方に同時にいなかったのよ)
妹の旦那: It's like string theory.(ひも理論みたいなもんだ)
ルーク: String Theory, what do you know about string theory?(ひも理論。ひも理論の何がわかってる?)

また、ギルモアガールズ7-6(2006年11月放映)でも、イェール大学の参観日(Parent Day)にインフレーション理論の講義場面が登場するので、素人にも本当にホットな話題というわけだ。


posted by ヒロさん at 16:44 | Comment(4) | TrackBack(0) | サイエンス+数学
この記事へのコメント
「ひも理論」はチンプンカンプンですが、
映画「バック・トゥ・ザ・フューチ」については、
コーラの自動販売機で瓶入りコーラを買った主人公が、蓋の開け方が分からずに戸惑っていると、
父親役の俳優が何気なく瓶を取り、販売機に付いている「栓抜き」で開けてやるシーンが、
とても印象的な場面として残っています。
それから「下着」の縫い取りの文字を本人の名前だと勘違いする女性(実は母親)のカットも巧いなぁと感じたものでした。(確か、カルバン・クライン)
Posted by ダダさん at 2013年02月23日 18:25
私も「ひも理論」がわからないので、ひもで装置をつくって開脚ストレッチなんかやってますが、「バック・トゥ・ザ・フューチャ」の主人公が時間ジャンプしたのは1955年。タダさんの幼年時代? カルバン・クラインからはお金もらってますね、この映画。このシーンのビデオクリップを見つけました。
http://www.youtube.com/watch?v=HRMJAbXmmpU
Posted by ヒロさん★ブログ主 at 2013年02月24日 17:39
こんなクリップもあるのですね。
1955年は、小学校低学年でしたが、その当時まだコーラという飲み物は知りませんでした。
友達の家で出されたサイダーに感激したものです。

母親の役を演じた女優さん、リー・トンプソンもいい演技をしていましたね。
50年代は遠い昔のはずなのに、初々しい高校生を演じて不自然さがありませんでした。
開脚ストレッチで思い出したましたが、
映画の中で、枯れも同じようなスタイルでギターを弾いていましたね。
Posted by ダダさん at 2013年02月24日 18:31
なるほど、本当にギターを弾きながら開脚ストレッチ!
http://www.youtube.com/watch?v=S1i5coU-0_Q
Posted by ヒロさん★ブログ主 at 2013年02月25日 06:00
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