2013年12月15日

寂しい惑星(lonely planet)で学ぶ、日本観光の英語なり

京都・奈良の近くに住んでいると言うと、東北や関東の親類や友人に羨ましがられているが、生活空間がロンリーな田舎であることに加え、空き時間は「ピアノ」と「英語ドラマ」と「音楽ビートジョギング」で回転木馬のように過ぎ去っているため、京都の東山・嵐山探索や奈良の歴史めぐりはいっこうに実現していない。

観光地や歴史散策に疎くなっている証拠に、近鉄の大和西大寺駅はよく通過しているものの、この「西大寺」が「東大寺」と対比される寺・場所であることがまったく意識に上っていない。ロンドンで言えば「ウェストミンスター寺院」と「セントポール大聖堂」を知っているのに、「ウェスト」の意味が、あら、「west of the Minster (=大聖堂の西)」のことなのね、と理解していないようなものだ。

学生時代に通訳ガイド試験のために「日本観光」の英語をセッセと勉強していたことがある。扇子、ふすま、浴衣といった日常語や、五重の塔、鳥居、おみくじなど神社仏閣関連、将軍、明治維新、日露戦争のような歴史用語をいろいろとカバーし、マリモ、田沢湖、浅草寺、有田焼、吉野山をはじめとする記念物・地理・観光地などを簡潔な英語で説明できるように練習する。

練習するといっても、とにかくフレーズや短文の暗記、暗記、暗記だ。駅までの20分の徒歩は、ただひたすらノートや参考書を片手に、ブツブツとつぶやくのであります...。

その後、社会人になってサイデンステッカーの日本古典の英訳や、ライシャワーの「Japan」を買ってみても、冒頭の1割ほどでストップ。大枚をはたいて買った講談社の英文日本百科事典「Encyclopedia of Japan」も、あまり開かれることもなく、引っ越しのときに古本屋の奥の細道へ寂しく旅立っていかれました。(英語のつわものになるはずが、夢の跡...)

さて、この数年は海外の世界遺産や美術館・博物館の仕事が多く、「外」の世界を理解し、日本語に変換する作業に明け暮れていたが、最近は、日本観光や市場調査など「内」の世界を英語に変換する仕事が増えてきた。そこで、日本事情の英文をいろいろ収集し、只管朗読用にデータベース化している。

教科書は lonely planet の観光ガイド「Japan」。800ページを超える厚手だが、観光を切り口にした「日本百科事典」と言ってもよいだろう。この1冊を舐めるように読んで整理をしながら、ネットの日本観光サイトで補完していけば、ちょっとした観光オタクになれる。

lonely planet の英語表現も味わい深い。

Amerika-Mura, also known as Ame-Mura, is a compact enclave of hip, youth-focused and offbeat shops, plus cafes, bars, and a few discreet love hotels thrown in for good measure. The peculiar name comes from the presence of several shops that sprang up here after the war and sold various bits of Americana such as Zippo lighters and T-shirts. (2013年版 p341)
【訳】大阪のアメリカ村は「アメ村」とも呼ばれ、最先端で奇抜な若者向きのショップが集まる一角で、さらにカフェやバーに加え、お忍びのラブホテルまでしっかりと揃っている。アメ村という名称だが、この地域で戦後にショップが立ち並び、ジッポライターやTシャツなどさまざまなアメリカ製の商品が販売されたことにちなむ。

飛び地、陸の孤島、一角などを意味する「enclave」や、ナウい「hip」、奇抜な「offbeat」、高校では「思慮深い」なんて覚えたかもしれない「discreet」とか、ダメ押しで追加するときに使う「thrown in」や、計り売りで目方がちょうどになるように「おまけ」で付け加える意味の「for (the) good measure」とか、いい表現がバッチリ覚えられる。アメリカ製のものを「Americana」というのもグッド。

ただ、ネイティブが勢いで書いているところもある。「after the war」なんて言うと、アメ村が戦後の焼け野原で、進駐軍下ろしの商品でも売っていたかのようなの印象。「アメ村」は1970年頃からの現象なんですけどね。という私も、その昔、東京・上野近くの「アメ横」が「アメリカ横丁」だと思っていたいけない人。(だってあそこで、本当に米軍下ろしの寝袋を買いましたもの!)

日本語の観光書やサイトはいっさい見ないで、lonely planet の英語のみで場所の雰囲気を想像するのも面白い。京都・祇園の建仁寺はどんなぐあいかな?

The painting of the twin dragons on the roof of the Hodo hall is also fantastic. Access to this hall is via two gates with rather puzzling English operating instructions (you'll see what we mean). (2013年版 p294)
【訳】法堂(はっとう)天井の龍2体の図もすばらしい。2つの門を通ってこのお堂に向かうが、とても謎めいた英語で説明手順が書かれてある(見ればわかります)。

こんな風に書かれてあると、雲龍図のことよりも、どんな笑える英語なのか気になってしようがないので、いつか行ってみたい。臨済宗では「法堂」を「はっとう」と読む。lonely planet にある別の臨済宗のお寺では「hatto」となっているので、「Hodo hall」は編集ミスかも。

そんなこんなで、わが家の実家は禅宗なので、同じ雲龍図を見るなら、まずは京都・右京の妙心寺にいたしましょうか。京都国際アニメミュージアムや大阪港の海遊館にも興味あり。平日の午前中が狙い目かな。



■lonely planet の由来は?
ひとり旅をもじったか、あるいは「観光地」をわざと「lonely」にして奇をてらったか。ブー、はずれ。創業者のウィーラー(Wheeler)夫妻が、当時の歌謡曲「Space Captain」に出てくる「lovely planet」という歌詞の部分を「lonely planet」と聞き違えて覚えていて、これいいね、とノリで採用したとか。耳の悪いネイティブですこと!2人の苗字はクルマを意味する「wheel」と関係があるから、まさに旅行向きのお名前。


posted by ヒロさん at 17:46 | Comment(4) | TrackBack(0) | Learning English
この記事へのコメント
早いもので、今年も残り二週間となりました。
さっき見た、お月様が真ん丸に近かったので、明日あたり十五夜なのかも知れません。

ヒロさんの「解説付き」で京都、奈良を散策してみたいものです。
でも、当方、英語が全くだめなので、何を言われてもチンプンカンプンですね。

随分と冷え込んでいます、風邪にご用心ください。
Posted by ダダさん at 2013年12月15日 21:31
冬の星座オリオン座のベテルギウスがもうすぐ超新星爆発で
満月と同じぐらいの明るさに輝くという話ですが、数年〜数十年内に起こることを
楽しみとしております。

2年前の今ごろは、右京は右なのか左なのか、東山は東なのか西なのか(笑)
何もわかっておりませんでしたが、そろそろ気持ちだけでも古都巡りに突入です!
そういいながら、京都マンガミュージアムで、マンガ読んでるだけかもしれませんが...
Posted by ヒロさん★ブログ主 at 2013年12月16日 00:12
ペデルギウスの「変貌」ぶりについては、ネット上で様々な憶測が流されているようですが、
星が、一つの星が宇宙から消えて無くなる、その実感が中々湧いてきません。
生きている間に、果たして見られるものやら…。
Posted by ダダさん at 2013年12月16日 09:43
天文学者にとって、星の消滅や、超新星の大爆発は珍しくもなんともない普通のことでしょうね。
ただ、ベテルギウスは地球にとても近く、有名な星座を構成しておりますから、少々騒がれます。
映画「スター」のピーター・オトゥールが亡くなったと話題になるようなもので、ちまたでは、
毎日、大災害とは無関係に、20万人以上の方がお亡くなりになっております。(実感できませんが)
ともあれ、我らがオリオンの大スターが「数ヵ月以内に爆発」というのは
流言飛語の流星群のようですので、しばらくは、冬の星座をじっくりと楽しめそうです。
Posted by ヒロさん★ブログ主 at 2013年12月16日 12:04
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