2012年11月07日

音楽ビートジョギングで1000キロを突破

昨年8月から開始した音楽ビートジョギングだが、10月前半に総走行距離が1000キロを突破した。月平均で70キロを走ってきたことになる。

これだけの走りを可能にしたのは、何にも増して「音楽の力」だ。MP3プレイヤから聞こえる音楽のビートに合わせて走る。これは使えるかも!という新曲を見つけると、次の走りが待ち遠しくてしようがない。音楽が楽しみとなって、外に出てしまうのだ。

晩秋にふさわしい曲がほしくなってきたので、10月の新曲は Cecile Bredie の「枯葉(Autumn Leaves)」を選んだ。ピアノとパーカッションのイントロが晩秋の風情に私を誘い、英語とフランス語のボーカルにしんみりと浸りたい気分になる。

9月のヒットはエジプトの曲で、Amr Diab の「Tamally Ma'ak (I'm Always With You)」。哀愁のラブソングだが、アラビア語の歌詞はまったくわからないので、意味を考えずに声の響きに身を委ねることができる。

7月に仕入れた「Andrew Sisters - Medley」は、ジョギングタイムの最速記録につながった。私にとって少々ハイテンポ(♪=86-90)の編集曲だが、次々と展開していく陽気なダンスリズムに引かれて、それまで17分前後で走っていた3.5キロのコースで、最速を3回更新して15分9秒に! この曲の発掘のきっかけとなったのは、ドラマ Gilmore Girls の「3-7: They Shoot Gilmores, Don't They?」のダンスシーンだった。

一流の楽団やバンドを引き連れてジョギングができるという奇跡を想うにつけて、感謝の気持ちでいっぱいになる。世にマーチングバンドなるものはあっても、自分のすぐ後ろを伴走しながら演奏してくれるバンドは、いくらお金を積んでもなかなか見つからないだろう。

11月の大ヒットはリスト編曲のバッハオルガン曲・ト短調フーガ(BWV542)になりそうだ。テンポに揺らぎがあるピアノ曲はジョギング向きではないが、バッハは使えるものが多い。リストは難曲ばかりで、初心者ピアニストには高値の花ばかりだが、この編曲はとても気に入ったので演奏レパートリーに組み入れてみたい。

大学時代の同級生は、近々フルマラソンに出場するという。知り合いのギターの先生は、100キロウォーキングに参加したという。最近知り合ったピアノ友だちは、駅から会社までの3キロを走って通勤しているという。みんなよく走るものだ。

現在の私のジョギングコースは、3.5キロ、5キロ、6キロ、7.5キロ、8キロの5つで、人生史上の最長は中学校内マラソンの10キロだ。今のところ、フルマラソンやハーフマラソンにはほとんど興味がないが、音楽の力を借りて、1度は人生最長距離を更新してみようかな・・・と遊び心がもたげ始めている。


posted by ヒロさん at 14:57 | Comment(5) | TrackBack(0) | 四肢は百獣の王

2012年10月18日

ギルモア・ガールズのセリフに仕込まれた、ポップな固有名詞

いままで数々の英語TVドラマを見てきたが、ダントツでおもしろいのは Gilmore Girls(ギルモア・ガールズ)だ。現在、このドラマを教材にして「セリフの99%を理解する」という英語修行に挑んでいる。(10月中旬現在でシーズン4まで鑑賞を完了)

シーズン1に取り組み始めた3年前は、英語字幕なしではわからない部分が山ほどあったが、最近は、字幕なしで十分に楽しんでいる。しかし、ストーリーを楽しく追いかけられるというだけで、細々とした部分で不明点はいっぱいある。

英語をそのままに理解するための最後の砦は、固有名詞だ。ポップカルチャーの宝庫と言われる番組なので、エピソードの随所に放映当時の時事ネタや話題の人が仕込まれている。文学、音楽、美術、演劇、料理、食品、映画、人気TV番組のネタやほのめかし(allusion)もある。CMフレーズ、流行歌の一節などを引用されるとほとんどお手上げの感があるが、惚れ込んだドラマであればこそ、“精読”の楽しみは尽きることがない。

最近、無料視聴サイトのGyaoで、たまたまシーズン3の「字幕版」と「吹き替え版」の両方が配信されていたので、お気に入りのエピソードの1つである「3-8:Let the Games Begin」(2002年11月放映)の固有名詞を網羅的にチェックしてみることにした。

■オープニング・シーン

直前のエピソードは24時間ダンスマラソン大会になっており、終了後に朝を迎えた主人公の母娘は疲労困憊で歩く気力も起こらず、行きつけのダイナーにやっとの思いでたどり着く。

ローレライ: We're lucky it wasn't snowing. It would've been The Donner Party all over again, but with slightly better hair.(雪降ってなくてラッキーよ。ドナー隊になるところだったのよ、髪だけはいくぶんまともだけど)

ドナー隊(Donner Party)はアメリカ西部開拓史の基礎知識。1846年に幌馬車で山越えを試みた約100人の一行が、雪で立ち往生となり、大量の死者を出し、生き残った人たちはカニバリズムを余儀なくされたという「悪魔の正餐」にも似たストーリー。

足がクタクタだったので、朝食を注文する場面でジョークを交える。日本語吹き替え版では「疲れ知らずのカモシカのような足をちょうだい」のようになっていた。英語ではどのように話しているか。

ローレライ: We need a couple of donuts, and, uh, some of those extra legs Heather Mills is sending over to Croatia. (ドーナツを2〜3個ちょうだい。それと、ヘザー・ミルズがクロアチアに送っている余分な義足もちょうだい)

Heather Mills(ヘザー・ミルズ)は2002年当時の話題の人。自ら義足をつけているモデル・社会運動家で、2002年6月にポール・マッカートニーと結婚。(2008年に離婚)

オープニング・シーンは何の脈絡もなく「ネタ」が挿入されやすいので、短い音節の固有名詞はなかなかキャッチできない。私は「Donner Party」と「Heather Mills」も、かすりもしない素通りに終わった。

■恒例の金曜ファミリーディナー

お腹がペコペコの状態で、両親宅の金曜ディナーに赴く。料理が出てくるのを待ちきれないので、「食欲が失せるものを何か思い浮かべればいい」という話になる。この世でもっとも食欲が失せる顔は Ari Fleischer(アリ・フライシャー) だという。2001〜2003年のブッシュ政権の報道官だ。ギルモア・ガールズは、反ブッシュ政権・反共和党で貫いており、共和党員の怒りを買っている番組だ。

母親エミリーから、あなたの空腹はそんなに大変なの、と聞かれ、オヤジギャクで応答する。

エミリー: You can't wait ten minutes for another salad? The situation is that dire?(サラダまで10分待てないの? 状況はそんなに大変なの?)
ローレライ: Right now it's 'your money for nothing and your chicks for free.'(今はね「あぶく銭を稼ごうぜ、女はタダで寄ってくる」なのよ)

質問の文末の「dire」があることから、Dire Staits(ダイアー・ストレイツ)という英ロックバンドが歌った「Money For Nothing」(1985年)の歌詞をつぶやいている。この種の一本背負いギャグは、まず拾うのが不可能。オヤジギャクで釣ってきた Dire Straits は1995年に解散しているが、2002年に一部メンバーが集まってチャリティーコンサートをしているので、これも時の人と言えるだろう。

主人公ローレライの父親リチャードは、その昔イェール大学の在学中に「Whiffenpoofs」という実在のアカペラグループに入っていたという設定になっている。

リチャード: I'm no Perry Como, but my shower hasn't kicked me out yet.(ペリー・コモには及ばないが、まだグループから追い出されていないんでね)

歌手・TVパーソナリティの Perry Como(ペリー・コモ)は2001年に死去しており、これも時の人だ。1909年から歌われているWiffenpoofs の伝統ソングをカバーしたことがある。

Whiffenpoof は架空の生き物の名前だが、発音が難解なところにつけ込まれて、主人公ローレライの茶化しの対象となっている。

ローリ: He's going for some nostalgia thing. For a reunion of, I don't know, the Whiffenhoofs.(おじいちゃんは懐かしい集まりで行くの。ウィッペンフーフだっけ?)
ローレライ: Poofs.(プーフよ)
ローリ: What? (なに?)
ローレライ: Whiffenpoofs.(ウィッペンプーフ)

「Poof」は「うんち」「めめしい男」の意味。あるいは「ふん!(なに、それ)」とバカにするときの言葉。後の場面で、ウィッペンプーフの懇親会に参加することを「プーフする」と動詞として使い、再度バカにしている。

母エミリーは、メイドに難癖をつけて次々とクビにしているが、この日、サラダを4回作り直させたことを見かねたローレライは、そんなことしてると、いつか使用人に恨まれて大変なことになるかもよと、建築家 Frank Lloyd Wright(フランク・ロイド・ライト)の自宅で起きた惨殺事件を生々しく語り始める。

1914年8月20日に実際に起こった事件で、使用人が家のドアと窓をロックした上で火を放ち、何とか外に逃げ出した人も斧で惨殺したという猟奇的な事件。同居している愛人、子供、自分の弟子など7人が死亡。ライト自身はたまたまシカゴに出張中で留守をしていた。彼はこの悲劇のあとに、日本に赴いて帝国ホテルを建てていたのだ。

■ダイナーの2階

ローリとジェスがつき合い始めたので、ルークがジェスにクギを刺す場面。

ルーク: On weekdays, you will have her home by nine. On weekends, you will have her home by eleven. Any evidence of alcohol, cigarette smoke, or anything else that Nancy Reagan would find unacceptable...(平日は彼女を9時までに家に帰せ。週末は11時までだ。アルコールや喫煙、ナンシー・レーガンが認めないようなことが発覚してみろ、そうしたらな・・・)

レーガン大統領夫人のナンシー・レーガン(Nancy Reagan)は、麻薬撲滅運動の推進で有名だが、少々過去の人だ。なぜここで引用されるのか、と調べると、2002年7月9日にレーガン夫妻が議会から名誉勲章を授与されている。

■イェール大学訪問に出発する前

イェール大学のあるニューヘイヴンで、おいしいレストランがないかな、とグルメガイドを開いているローレライ。

ローレライ: You haven't had a taco until you've spent some time at Hector's, crisp and meaty...(ヘクターズを訪れるまではタコスを食べたとは言えません。サクサクとして、お肉たっぷり・・・)
ローリ: Dirty.(いやらしい)

この会話は「ヘクターという店」→「お肉たっぷり」→「いやらしい」という展開で、ハンニバル・ヘクターを意識している模様。「羊たちの沈黙」の続編となった「ハンニバル」は2001年公開。

そして次は、1日の旅行だけれど、エミリーのチェックが入るから、荷物はあらゆる不測の事態に備えてちゃんと準備しておかないとダメだよと、ローレライがローリに諭す場面。

ローレライ: Never give her the opportunity to give you a thirty-minute lecture on how, if you'd brought the second bathing suit like she told you to, it wouldn't have mattered that the first one's strap broke in a freak poolslide incident that no one, including the Amazing Kreskin, could've predicted, you would've been covered.(彼女に30分のレクチャーをさせる機会を与えちゃダメなの。たとえば、言われた通りに2つ目の水着を持ってきていればね、変なプールサイドの事故で1つ目の水着のひもが切れちゃうなんていう、アメイジング・クレスキンとか誰も予想できないことが起こったとしてもね、何も問題もないし、ちゃんとカバーできたでしょうに、とか言われるの)

こういう仮定法のセリフをハイスピードで一気にまくし立てられても、しっかり聞き取れたら英語上級。クレスキン(Kreskin)という人は「The Amazing World of Kreskin」(1970〜1975年)という番組で有名になった神秘家で、2002年6月にラスベガスにUFO大編隊が現れると予言していた。

■イェール大学キャンパス

ギルモアガールズは、美術・演劇・文学の話も充実している。

ローレライ: He's got the smart look down. The glasses, the furrowed brow, the ticky walk.(彼は頭のよさそうな顔つき。メガネ、ひそめた眉、刻むような足取り)
ローリ: The Kierkergaard.(キルケゴールばりね)

「キーカガー」のように聞こえる人名がキルケゴールとわかれば、ご喝采。

ローレライの父母はイェール在学中に知り合い、後に結婚している。学生当時のデートやプロポーズの裏話がポツポツと語られる場面だ。リチャードはデート相手をよく美術館へ連れて行っていたという。

ローレライ: Using Titian to score. Even Titian didn't do that.(ティツィアーノで色仕掛け。ティツィアーノだってそんなことしなかった)
リチャード: You shouldn't tell them this. They'll think I was some kind of lothario.(エミリー、こんな話はやめなさい。私が遊び人(女たらし)のように思われるじゃないか)

英語で「ティシャン」と呼ばれているのは、16世紀のイタリアのマルチ芸術家のティツィアーノ(Titian)。一方、ロサリオ(Lothario)は18世紀に人気を博した演劇「Fair Penitent」の登場人物。

リチャードはエミリーに対して「そういう君だって、何も知らない小娘だったわけじゃないだろ」と応戦して、別の人との婚約が決まりかけていたところに、エミリーがリチャードを奪い取った、という話に発展する。

リチャード: When you showed up at my fraternity party in that blue dress, I had no choice.(男子クラブのパーティーにあの青いドレスで来られたら、もうぞっこんだよ)
ローレライ: You stole my father with fashion.(パパの心をファッションで盗んだんだ)
エミリー: I can't believe you remember the dress.(あのドレスを覚えてるなんて信じられない)
ローレライ: I can't believe you were the other woman.(ママが略奪した方だなんて、信じられない)

「the other woman」は一般に既婚男性とつき合う不倫女性のことを指すが、ローレライはさらに、エミリーのことを Helena Bonham Carter(ヘレナ・ボナム・カーター)とも呼んでいる。

「バットマン」「猿の惑星」「チャーリーとチョコレート工場」などで知られるこの女優は、2001年から映画監督の Tim Burton とつき合い始めているが、これは略奪恋愛。

エミリーのスカートのボタンが取れたので、ローレライと一緒にお手洗いへ。

ローレライ: All right, then, I think there's a bathroom over there.(それだったら、あそこにお手洗いあるわ)
エミリー: What can we do in a bathroom?(お手洗いで何するの?)
ローレライ: Meet George Michael.(ジョージ・マイケルに会いに行くの)

クリスマスシーズンが近づくと、どこからともなく「ラストクリスマス」という曲が流れてくるが、Wham!のジョージ・マイケル(George Michael)の歌声だ。彼はトイレで猥褻行為を働いたとして1998年に逮捕されたが、これに関連する裁判が2002年12月3日に結審しているので、これまた話題の人だ。

エミリー: What do you intend to do with that paper clip?(クリップで何をするつもりなの?)
ローレライ: I intend to carve something really dirty into the bathroom door. What rhymes with Nantucket?(トイレのドアにすごくいやらしいこと刻みつけるの。Nantucket と韻を踏むのは何だっけ?)

クリップでスカートを仮止めしてあげるときの会話。ナンタケット島(Nantucket)はコッド岬の南方にある実在の島だが、「There once was a man from Nantucket」で始まるエッチな5行詩(limerick)が有名。江戸時代の卑わいな川柳みたいなもの。Nantucket は「fuck it」や「suck it」といった怪しいフレーズとゴロ合わせがよい。(Nantucket は、エピソード「4-16:Reigning Lorelai」にも登場する)

その後、大学の建物の中に入り、ローリがいきなり入学面接を受けることになる。

ローリ: I can’t believe the only name that popped into my head when he asked for my role model was Gloria Estefan.(尊敬する人を聞かれたとき、思い浮かんだ名前はグロリア・エステファンだけだったなんて、信じられない)

ラテン系歌手のグロリア・エステファン(Gloria Estefan)が言及されているが、これは少々不自然。マーケティングのタイアップの可能性もあり。

■スターズホローに戻る

ロリーがタバコを手にしたジェスを見つける場面。

ローリ: You going to smoke that or mind meld with it?(そのタバコ吸うの、それとも合体しようとしてるの?)
ジェス: It depends.(場合によりけりだな)

「mind meld」はスタートレックのネタ。バルカン人は相手に触れて「マインド・メルド(テレパシーによる精神融合)」をすることができる。ギルモアガールズは、過去の映画・ドラマのネタも多い。

ローレライ: Don't study so much that you get brilliant, go mad, grow a big bald egghead and try to take over the world, okay, because I wanna go shoe shopping this weekend.(あんまり勉強して、頭よくなって、気が触れて、でっかいハゲ頭になって、世界を征服しようとするなよ。いい、今週末は靴のショッピングに行きたいんだからね)

エンディングのたわいもない会話だが、「ハゲ頭になって、世界を征服する」とは、人気TVドラマ「Smallville」のレックス・ルーサー(Lex Luthor)のこと。若き日のスーパーマンを描いた「Smallville」も私のお気に入りのドラマだ。(Smallville のネタは、エピソード「3-21:Here Comes the Son」にもあり)

また、飲みものを出すシーンで「コーヒーとオバルチンよ」というセリフがあるが、これは広告かも。オバルチンは麦芽飲料。

以上で大体を網羅したつもりだが、まだまだ気づかない点がたくさんあるかもしれない。ヘザー・ミルズ、アリ・フライシャー、ダイアー・ストレイト、ペリー・コモ、ナンシー・レーガン、ヘクター、クレスキン、ヘレナ・ボナム・カーター、ジョージ・マイケルは、すべて放映時期に関係ある時事ネタであり、時の人だ。

ギルモア・ガールズを“精読”すると、10年前の英語圏の世相とポップカルチャーが見えてくるというわけだ。

posted by ヒロさん at 15:39 | Comment(9) | TrackBack(0) | Learning English

2012年09月16日

グレン・グールドの記憶 ― バッハ・バイオリンソナタ

やおら涼しくなってきたので、そろそろ芸術の秋に突入であろうか。

9月初旬にピアノ発表会に出場してみたが、主宰者の先生のコメントは「これからも『ピアノがだいすき〜』という気持ちを忘れずに、基本に戻って頑張ってほしい」とのことだった。

「基本に戻る」とは、バッハとツェルニーをもっとしっかりやれとのご訓辞のようであるが、そもそも私のピアノの原点はどこにあるかというと、グレン・グールドだ。

うら若き頃、新聞社のデスクでウォークマンで聞いていたのは、バッハのバイオリンソナタだった。日々のストレスから私を解放してくれたのはバイオリンの音色だったので、バイオリン曲ばかりを追いかけていたのだが、バッハのバイオリンソナタ6番ト長調にたまたま1曲だけ鍵盤のソロがあった。(→YouTube

グレン・グールドの演奏だ。ゆっくりと軽妙なタッチで演奏しており、大好きなバイオリンソナタの中で唯一のピアノソロであったこともあって、なぜかしら、心はグイグイと引き込まれた。ぼんやりとリラックスした気分で、「こんな曲を生きている間に弾けるようになったらいいだろうな」と強く思った。まだ、ピアノとは無縁の生活であったにもかかわらず。

それから約20年後。イギリスに渡って1年目のある朝、とても不思議な夢をみた。FAXを受信する夢だったが、受信した紙をよ〜く見ると、文字ではなくて、楽譜だった。なぜかワクワクした気分になった。その日、買い物の帰りに隣り町の図書館に立ち寄ると、楽譜コーナーがあるのを見つけ、あれこれとめくっている間に、衝撃的な1冊を見つけた。「バッハ・バイオリンソナタ」の楽譜だ。



この楽譜との出会いがあまりにも衝撃的だったため、先生なしのピアノ1年目にもかかわらず、3カ月をかけてこの曲をコツコツと暗譜し、いきなり人前で演奏しようという無謀な試みまでやってしまったことは、以前に書き記した。(「本番」に強くなるコツ、「あがり症」を克服する知恵

そんな過去をちょっぴり振り返りながら、グールド先生の80才の誕生日を控えて、「グレン・グールドは語る」を読んだり、すべてのテレビ出演をまとめたDVD「On Television: Complete Cbc Broadcasts 1954-1977」を眺めたりしている。(テレビ出演のグールド先生は、おそらくプロンプトを読んでいるとはいえ、俳優顔負けの雄弁と長広舌!)

今日、もっとも印象に残ったグールド先生の言葉。

「どんなものでもいいから、そのときいちばん深く関わっているものに対して、まさにその瞬間に、ひたすら集中せざるを得なくなったとき、そこで発揮される集中力は、ある種の超越性を帯びるのです」(グレーン・グールドは語る、41頁)

素人の私がグールド先生から学べることは、何であろうか。
  • 演奏前に手と腕をお湯に漬けて温める・・・代用としてホカロンを使うべきか。あるは高速指体操としての指回し運動にするべきか。
  • 鼻歌を歌いながら演奏する・・・「歌うように弾け」というならば、ほんの少し本当に歌ってみる。瞑想ではハミングで集中力が高まるというではないか。
  • もっと鍵盤に近づいて的確にタッチする・・・両手を大きく開く曲でない限り、鍵盤にもっともっと接近してもよいかも。
  • イメージだけで自分の最高の演奏感覚をつかむ・・・お風呂の中で、あるいは部屋を歩き回りながら、イメージだけで片手演奏や両手演奏をやってみようかな。
  • 楽譜を徹底的にアナリーゼしてから、ピアノに触る・・・徹底的に楽譜を読み、暗譜を終えてからピアノに触る、っていう芸当できるかしら?
グレン・グールドの音楽家としてライフスタイルがよくわかる90分ビデオ、Thirty Two Short Films About Glenn Gould (1993) はお奨めです。

posted by ヒロさん at 16:39 | Comment(2) | TrackBack(0) | ピアノが好きなの♪

2012年07月28日

夏のお風呂は、元気マンマンにフェイシャル・エクササイズ

外は35度を超えているようだが、ルンルンと自転車を漕いで買い物に行ってきた。今日は風が流れているので、冷房も付けていない。

私の暑さ対策でヒットしているのは水風呂だ。シャワーではなく、ただ水風呂に入る。朝に入る、昼に入る、そして夜中に26度を超えているような日には寝る前にも入る。水風呂にはラベンダーのエッセンシャルオイルを数滴落とし、清涼感を引き出す。

石けん・シャンプーを使う温かいお風呂は、夜の6〜9時と早めに入って、出た後は「糖質ゼロの発泡酒」を飲む。現在のお気に入りはキリンの「濃い味糖質ゼロ」で、かりに1日3〜4本飲んでもお腹はいっさい張らない。

さらに最近始めたことだが、深夜を除き、お風呂ではイケイケドンドンの音楽を流している。その音楽に合わせて、顔のツボのマッサージ、首の運動、目の運動、口の体操、舌の体操・・・など、人にはとても見せられないようなことをいっぱいやる。まっ、もともとお風呂ではハダカなので、どうせ見せ物にはならないカラダだ、だったらもっと派手にやっちゃいましょー、というわけだ。

以前の私は、お風呂は「リラックス」や「癒し」というコトバに結びつける傾向があったが、発想の転換である。仕事中には、徹底的にリラックス系の音楽を流し、お風呂では元気マンマンにする。使っている曲は、たとえば以下のようなもの。
食事では、焼き肉、ショウガはいっさいやめる。ショウガの秘密を知ってしまった私は、夏には絶対に手を出さない。ショウガエキスや高麗人参エキスが入っているサプリ(例えばプラセンタドリンク)も、寝る前に飲むとカラダが火照って眠れなくなるので、午前中がいいかも。

■涼しくなる写真をプレゼント
ラクダで水辺のお散歩
北極と南極のオンザロック
先日の皆既日食の再現です
シンガポールの屋上プール
水の妖精

posted by ヒロさん at 16:30 | Comment(7) | TrackBack(0) | お風呂はハッピー

2012年06月24日

祝、視力回復 ― 眼鏡視力1.0、明度と鮮度がアップ!

昨日ジョギング後に簡単なストレッチを終えて、帰途につこうとすると、道路の白い線がやたらとまぶしくて、浮き上がって見える。なんじゃ、これは!と我が目を疑った。

家に帰ってメガネで窓の風景を見ると、おそらく1.2程度でなければ見えないであろう看板の文字が何とか読める。視力表を眺めてみると、いままで確認できなかった2.0の段に黒い点がしっかり見える。両目でちゃんと読めるのは0.9〜1.0だ。裸眼では0.2と0.3の間ぐらいであろうか。

「眼鏡視力が0.4から0.7へ」を書いたのが2010年9月20日なので、1年9カ月ぶりにさらにもう1段の視力上昇を確認したことになる。

一体何がこの変化をもたらしたのか。ここ数カ月の動きを振り返ってみたい。

■エイブラハム瞑想+スワイショウ
エイブラハム瞑想CDでは、リズミカルに吐く息を長めにするように誘導する。そして呼吸ともに、こだわりや抵抗が日一日と手放なされていく、というメッセージを受け取る。私はこれにスワイショウという前後の腕振りを組み合わせ、1日のスタートを必ず、この「瞑想スワイショウ」で始めることにした。(2012年5月7日より実践)

■ビート音楽ジョギング+目つぶり
音楽リズムと足のリズムを完全に一致させる音楽ビートジョギングに昨年夏からはまり出した。最近はタイム更新の気持ちは薄れ、ひたすら「快」を維持する走り方は何なのかを考えるようになり、瞑想を誘うような音楽を導入。走っているときに実際に目をつぶっている。

■TVドラマ「フレンズ」+スワイショウ
朝に肩がほぐれても、夕方になると左側の肩甲骨からじわじわと不快感が押し寄せてくることがある。(私の肩や肩甲骨のコリ状況は中学3年以来の重症なので、ほぐし切るには時間がかかるのだろう。)そこで、ダメ押しでスワイショウの時間を増やせるように、20分のお笑い英語ドラマを見ながら、スワイショウを実践。ビデオを立って見る、さらに腕を振りながら見る、ことにしてみたのだが、これがよかった。ときどき声高らかに笑いながら肩をほぐすというのは正解だ。

■ヨガ体操の頻度を増やす
もっともっと柔らかいカラダ!を目指したい私は、昔はできたが今はさっぱり・・・になってしまった鋤のポーズの完成に挑戦中。幸いいい写真がネットで見つかり、この人のポーズは美しいなぁ、と見とれながら、私もポーズの回数を増やしている。さらに、しばらくご無沙汰になっていた逆立ちのシルシアサナも復活。

■ホメオパシー目薬と蒸しタオル
ちょっと目が疲れたなと思ったときに、以前は薬局でよく見かける目薬を使っていたが、2カ月前からホメオパシー系の目薬に変更。また、蒸しタオルは朝時間があるときに、という程度だったが、夕方や夜など1日に何回でも実践することに。すぐに目薬に頼るより、蒸しタオルの方がずっと目の安らぎに効き目がある。

■片目つぶりと首回し
昨日から急に視力が跳ね上がったのはなぜだろう・・・で思い当たる新しいことと言えば、ジョギング中の片目つぶりを復活させたこと。鏡の前でやってみるとわかるように、あまり美しい表情にはならないので、人のいないところでお奨めだが、これは目の周りの筋肉のストレッチにもなる。さらにジョギング後や日常生活で、首を柔らかくする運動を強化していたこと。

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以上のような状況を踏まえ、もう1段の視力アップのための「今年2012年の展望」を語ってみたい。次の1段階は<眼鏡視力1.5、裸眼視力0.4 → メガネの交換>としてみたい。

★健康づくりは“仕事”と同等のプロジェクト
その昔、原久子の視力回復本の中で「視力回復訓練に1日2時間・・・」のような記述を読んで、毎日そんな時間が取れるわけがないじゃないか、と少々ムッとしたことがある。みな仕事、家事、人付き合い、メール・ネット、テレビなどにいっぱい時間を掛けているわけだが、視力回復を1つのプロジェクトと考え、他のプロジェクトとの並行処理を心がける。

★カラダを変える、変えたい、という意識を捨てる
健康のため、鍛えるため、やせるため・・・といったジョギングやヨガ体操は所詮長続きしないのではなかろうか。何かのためにするのではなく、それ自体が気持ちよく、面白くてしようがない、という方向を考える。スワイショウの回数を数えながら頑張っている人は、音楽や短めのお笑い番組を使った方が楽しくできる。「プロジェクト」とは、実は遊びのプロジェクトなのだ。

★イメージ瞑想は視力を上げる可能性
「瞑想スワイショウ」の最中は、目をつぶり、遠くの星やトンネルの出口をイメージしている。これ以外に、もしこうなったら面白いなぁ・・・という「心の映画」をリラックスした音楽を掛けながら15分程度行うのは効き目がある。うまく誘導ができれば電車の中でも可能ではなかろうか。この場合も「心の映画」自体を楽しみとし、変えるという気持ちを捨てることが大事。

★明暗法
目のレンズを調整する筋肉は不随意筋なので、筋トレで鍛えるぞ〜というわけにはいかない。だが、光の量を調整する絞り(虹彩)の筋肉は始終働いていて、要は「暗いところ」と「明るいところ」を繰り返し見る訓練で鍛えられる。虹彩とレンズ筋は連続しているので、虹彩を鍛えるとレンズ筋にも刺激がいく。ピンホールアイマスクを使って、明所と暗所と交互に見る訓練を研究中。

★お風呂とマッサージ
お風呂の中で顔のマッサージ、目を前後左右に動かす体操、さまざまな顔筋運動などを習慣化する。顔、首、肩、背中の流れを良くすれば、視力は上がるかも。

★メガネに感謝
メガネやコンタクトなしで星もハッキリ見える、本もスッキリ読める、というのが理想的だろう。だが、とりあえず、メガネやコンタクトという製品は日々役に立っているわけでありがたい存在なのだ。メガネやコンタクトをもっと大切に。私は数カ月前から、メガネケースに「メガネさん今日もありがとう」というシールを貼り始めた。感謝しながら、いつかメガネとお別れしましょ。

★人生のビジョンを明確にする
エイブラハム曰く、小さいころから視力がいつもボケていて、気分がすっきりしない人は、自分の気持ちと反対のことをああでもない、こうでもないと繰り返し、自分の人生のビジョンを曇らしている結果である、とのこと。私の思い当たるところで言うと、「世の中は汚い」「世間は見たくない」「人とつき合いたくない」と強く思ったことが、小学5年ときの急激な視力低下の引き金だったかな、と考えている。

■参考:
視力に関して言及しているエイブラハムのセミナーオーディオ

posted by ヒロさん at 15:11 | Comment(8) | TrackBack(0) | 視力回復への道
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